安息日
三連休初日の土曜日。私にとっては重い生理の二日目となった。出血量が激しく、私の身体からはおびただしい量の血が流出し、意識ははっきりせず、目の周りがチカチカする状況にまで追い込まれていた。仕事が休みであることがありがたいような、休日なのに自由に動き回れないことが悔しいような、そんな複雑な想いを抱えてもいた。休日ともなると、私はホットヨガのレッスンの予約を入れているのだが、今日はたまたま予約を入れておかなくて良かったとさえ思った。
おまけに、二日ほど前から親知らずが残っている奥歯のあたりが痛み始めたため、いつもお世話になっている近所の歯科を訪れた。ガンモは、私にまだ親知らずが残っていることを知って驚いていたが、確かこの親知らずは、もう何年も前に暴れ始めたときに別の歯科で少し削ってもらい、症状を抑えていたものだった。どうやらそれが再びにょきにょきと成長し始めたらしい。
歯科医は、私の親知らずの様子を見るために、レントゲンを撮った。レントゲンを見る限り、親知らずはまっすぐに生えているので、害はなさそうだということだった。痛みの原因は、親知らずが生えているのが歯ブラシの届きにくいずっと奥のほうなので、そこに歯垢が溜まり、炎症を起こしているということだった。
「こういうことは良くあることなんですよ。五日分のお薬を出しておきますので、それを飲んで様子を見てください」
と歯科医は言った。私は、かつてのように親知らずを削られると思っていたので、ひとまずほっと胸を撫で下ろした。生理の二日目に麻酔を注射されるのは御免被(こうむ)りたいと思っていたからだ。
家に帰り、食事を取ったあと、処方された薬を飲んでみたが、症状はほとんど変わらなかった。処方されているのは、化膿止めの薬である。この薬を飲んでも効果がないということは、私の歯茎は化膿を抑えるよりも、もっと別の方向へと進みたがっているのではないかと思えた。親知らずではないが、かつてガンモが同じような症状に悩まされたとき、薬を飲んでも一向に痛みが収まる気配がなかった。しかし、ガンモはしばらく苦しんだあと、ようやく膿が出て楽になったのだ。おそらく、私にもそれと同じようなことが起こっているのではないだろうか。こういうときはむしろ、薬を飲まずに膿が熟して弾けるのをしばらく待ってみたほうがいいのかもしれない。膿にもピークというものがある。ピークを過ぎれば、あとは下り坂だ。処方された薬が効かないのだから、無理に反対の力で抑え込むよりも、ピークがやって来るのを待ったほうが賢明だ。
一方、生理の出血量がおびただしいので、私は鉄分を補給するサプリメントを飲み、今日は一日中何もしないと心に決めてのんびり過ごすことにした。総合的に見れば、今回の生理が三連休に当たったのは好都合だったと言える。というのも、仕事をしている時期に生理の二日目が当たるとなると、タンポンの連続使用を余儀なくされるからだ。タンポンの連続使用は膣に負担がかかるので、できれば使用を控えたいところだが、外出してしまうとどうしても吸収率の高いタンポンに頼らなければならない。しかし、自宅で過ごせるならば、こまめにナプキンを取り替えればいいのだ。
私はこうしてナプキンの使用だけで今回の生理をやり過ごすことにした。すると、身体がとても喜んでいるのを感じた。まるで、麻酔を注射されずに済んだ私の歯のように、ほっとしているのだ。そして私は、これまでいかに自分の身体を痛めつけていたかを悟った。これまでの私は、安息日を設けずに、自分を奮い立たせて仕事に出掛け、トイレに立つごとにタンポンを取り替えていた。タンポンを使用していても、勤務先で生理の血液がズボンに付着してしまったこともあった。そんな日は無理して仕事に出掛けなくても、こうして自宅でのんびり過ごせば良かったのだ。
夜になり、ガンモが買い物に出掛けようと言って来たが、
「ごめん。お客さんが重いんだよ」
と言って、いったん断りかけた。しかしそのあとガンモは仕事で大きなイベントを控えていて、自宅近くの客先で徹夜作業の予定が入っていた。そんなガンモにお弁当を用意することもできなかったので、
「わかったよ。行こう」
と言って、お腹にカイロを貼って出掛ける準備を整えた。
ところが、いざ立体駐車場に降りてみると、数ヶ月ほど前にちちんぷいぷいのおまじないで治した私たちの三十万円ベンツのエンジンがまたしてもかからなくなっていた。ガンモはしばらく四苦八苦していたが、やがて諦めて車から出て来た。私たちは仕方なく、歩いて近所のスーパーに買い物に行った。
ご飯を食べてしばらくくつろいだあと、ガンモは二十三時過ぎに仕事に出掛けて行った。私の生理の二日目は、お腹に貼ったカイロのお陰でずいぶん和らぎ、翌日予約しているホットヨガのレッスンには参加できそうなくらいに回復していた。
※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m またしても更新が遅くなり、申し訳ありません。実は、この翌日、体重を計ってみたら、六百グラムほど減っていました。いつもよりもたくさん食べたくらいだったので、体重計に乗ったときは、それだけたくさんの血が出て行ってしまったのかと驚きました。それにしても、タンポンを使わないというのは、ストレスがなくていいですね。ナプキンは、「出て来るなら出ておいで。全部受け止めるから」という姿勢ですが、タンポンは、「できるだけ出てくれるなよ。やっかいだから」という姿勢なんでしょうね。だから、身体としては本当は出て行きたいのに、ストレスを感じてしまうのだと思います。ちょうど三連休の時期に出血の多い時期が当たったおかげで、いろいろな経験ができました。これからは、できるだけ安息日を設けたいと思います。
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