心惹かれたものたち
さてさて、当たり前の風景の続きである。
ひとまず買い物も済ませて落ち着いて来たので、私たちは昼食を取るために東京ビッグサイト内のレストラン街へと移動し、HさんとRちゃん、そしてガンモと私の四人でラーメン屋さんに入り、ラーメンを食べた。
空腹が満たされると、私たちはさきほど馴染みのお店で購入した戦利品を取り出して、カメラ談義に花を咲かせた。今回、私が購入したのは、進研ゼミ小学生講座のチャレンジ3年生の付録で「かんさつカメラ」という二台のプラスチックカメラである。「かんさつカメラ」という名前の通り、何かを観察するカメラなのだが、私から見ても、これらのカメラはとてもユニークだった。
かんさつカメラ(1)
夏のかんさつカメラミニトランク(1)
夏のかんさつカメラミニトランク(2)
一般的に、カメラメーカー以外で製造されたカメラは、カメラというお決まりの枠を超えたものに仕上がっている。ソニーのデジタルカメラなどがその典型だろう。これは、進研ゼミが教材の付録として製造したもので、「かんさつ」という目的を果たすための構造となっている。
たいていの場合、中古カメラには取扱説明書がついていない。むしろ、取扱説明書がついていることのほうが珍しい。当然、私の購入した「かんさつカメラ」にも、元箱付きではあるものの、取扱説明書なるものはついていなかった。そこで、三人寄れば文殊の知恵ではないが、カメラそのものを手に取っていじくり回しながら、その使い方をあれやこれやと検証して行ったのである。実際、その場に居たのは四人だったので、文殊以上の知恵が出たはずである。
文殊以上の知恵を出し合った私たちは、カメラについているフィルターが万華鏡のような役目を果たすこと、そのカメラを使って接写できるように、ギリギリまで被写体に寄れるような設計がなされていることなどを発見した。どうやら、接写することを「かんさつ」と呼んでいるようである。「かんさつ」用のツールは、普段はカメラの中に仕舞い込まれている。いざ、接写を行う段階になって初めて、そのツールを引っ張り出して使用するのである。
かんさつカメラ(2)
夏のかんさつカメラミニトランク(3)
前出のカメラのほうが前期型で、後出のカメラのほうが後期型だろうと誰かが言った。何故なら、後出のカメラのほうが、「かんさつ」用のツールが、よりコンパクトに仕舞い込まれていたからだ。
私は、「かんさつカメラ」の不思議が一つ一つ解明されて行くことが楽しくて仕方がなかった。そこに居た全員が、まるでそれぞれの役割でも持っているかのように、「かんさつカメラ」の不思議を次々に解明して行ったのである。
食事のあと、売り手のKさんに再会したので、私は息を弾ませながら、
「あのカメラ、最高ですよ」
と言った。するとKさんは、
「すっげーうれしいですよ」
と喜んでくれた。Kさんは、あのカメラの良さがわかる人に買って欲しいと思っていたようだった。おそらく、「かんさつカメラ」の不思議を解明しないまま手放してしまったであろうKさんに、「かんさつカメラ」の不思議を写真を交えて説明したいような、そんな衝動に駆られた。
私たちは、骨董ジャンボリー内の別のお店もくまなく回った。その中でもいくつか心惹かれた品物があるので、ここでご紹介しておきたい。まずは、かわいいペンギンのソルトケースだ。その他にも、何故か、ホーロー製の台所用品に心惹かれた。
「心惹かれる台所用品を少しずつ集めて、楽しい台所に変身させるというのはどうだろう」
とガンモに提案すると、
「そんな夢みたいなこと言ってんじゃないの」
とすぐに却下されてしまった。
続いて心惹かれたのは、○○酒店などと書かれた布製のお酒入れである。おそらく、お酒が割れないように、配達のときに使用されたか、お得意さんに配られたものだと思われる。大きさは、ちょうど小学生が学校に持って行くような水着入れと同じくらいである。私は、固い布で作られたバッグが大好きなので、このお酒入れにも心惹かれ、買おうかどうしようか迷いながら、何度も手に取ったり戻したりしていた。何故、迷っていたかと言うと、どうせ買うなら、もう少し大きな入れ物が欲しいと思っていたからだ。しかし、開催最終日で一つ千円に値下がりしていたので、思い切って二つ買った。「気になるものは買ってしまえ」である。袋の取っ手のところがちょうど水着入れと同じような紐になっているので、いずれ、手芸用の太い紐と付け替える予定である。
もう一つ、とっておきの心惹かれるものに出会った。それは、このブログのプロフィール画像でも使用している歓喜天である。塗金された立派な歓喜天がアジア雑貨のお店に並んでいるのを発見したのだ。歓喜天は、いつ見てもいいものである。値段を尋ねてみると、三万九千円だと言う。お店の人は、
「最終日なので、少しお勉強しますよ」
と言ってくださったのだが、私はうーんとうなった。私が持っている歓喜天も、十数年前に骨董店で見つけ、確かお勉強してもらって三万円くらいで購入した覚えがある。他に坐像も持っているし、歓喜天のコレクターになるのはもうやめよう。そう思って、お店の人に、
「いえ、やっぱりいいです」
とお断りしてその場を立ち去った。かつての私が歓喜天に心惹かれて購入したように、あの歓喜天は、歓喜天好きの誰かの目に留まっただろうか。
私たちは、最終便の飛行機で神戸空港まで飛ぶことになっていた。会場内をゆっくりと回っているうちに夕方になったので、私たちはHさんとRちゃんたちと再会を約束して、会場をあとにした。それからりんかい線に乗り、天王洲アイルで東京モノレールに乗り換え、羽田空港へと向かった。Hさん、Rちゃん、お会いできて本当に楽しかったよ。また会おうね。
神戸空港行きの最終便は満席だった。今回はスカイマークエアラインズを利用したのだが、こちらが恐縮してしまうような過剰なサービスがなくて、とても心地良かった。大手の航空会社であれば、搭乗直前に搭乗券を自動改札に通す作業を、制服を身にまとったお姉さんが代行してくださるのだが、スカイマークでは自動改札に搭乗券を通す作業もセルフサービスだった。また、機内食や飲み物のサービスもなく、羽田-神戸間という一時間程度の短い時間を逆にゆったりと過ごすことができた。また、大手の航空会社では、録画された救命衣などの説明が大きなスクリーンに映し出されるのだが、スカイマークは実演なのである。これもまた新鮮で楽しむことができた。
サービスのないことが返って喜ばれることなど、あまり思いつかないのではないだろうか。スカイマークがそうしたサービスを行わない代わりに、大手の航空会社よりも運賃が抑えられているのは、利用客にとってはありがたいことである。これこそが、真のサービスかもしれない。
※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 長い旅行記を読んでくださってありがとうございます。途中、ココログのメンテナンスで休憩が入りましたが。(笑)骨董ジャンボリーは、商品を手に取って見るのも楽しいですが、お店の人や同じ視点を持った仲間たちとのコミュニケーションもまた楽しいですね。売り手から、「今年も来ると思ってたんだよ」という暗黙の了解を感じられることが、買い手にとっての最大の喜びかもしれません。
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