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2005.12.03

三朝温泉

 朝八時にガンモの会社の人がガンモを迎えに来てくれて、ガンモは出掛けて行った。私も、ゆうべのうちに終わらなかった下調べやホテルの予約などを済ませたあと、十時前には家を出て、三宮から鳥取行きの高速バスに乗り込んだ。鳥取行きの高速バスは、好きなアーチストのライブが鳥取で行われるときに良く利用している。この高速バスは、トイレも付いている便利なバスであるが、何となく遠慮があって、トイレを利用できなかった。途中のサービスエリアで十五分ほどの休憩があり、トイレと簡単な昼ごはんを済ませた。

 およそ三時間で鳥取に着き、鳥取から米子方面に向かう山陰線に乗り換えて、倉吉(くらよし)まで出た。いつもはガンモが時刻表や観光地図を持ってくれているのだが、行き当たりばったりで計画性のない私は、それらを持っていなかった。そのため、倉吉に着いてすぐに連絡していた三朝(みささ)温泉行きのバスに乗り遅れてしてしまい、次のバスまでおよそ五十分も待つことになってしまった。

 ようやく三朝温泉行きのバスに乗り込んだとき、時刻はもう十六時前だった。三朝温泉までおよそ三十分、バスに揺られ、ラジウム温泉のある三朝温泉までやって来た。降りたバス停の目の前に公衆浴場があったので、私はそこを利用することにした。中に入ってみると、選択の責任に書いたような状況になっていた。そう、鍵のかからないオープンなロッカーだったのである。しかし、五十円で鍵のかかるロッカーがあるのを見つけた。私は考え抜いた末、そこに貴重品を入れることにした。

 公衆浴場ということで、利用客は地元の人たちばかりだった。みんな、顔なじみの人たちなのだろう。新しい利用客がやって来ると、ごく自然にあいさつが交わされていた。このような状況で、盗難など起こるはずがない。だから、宇奈月温泉の公衆浴場にも、鍵のかからないロッカーしかなかったわけだ。ようやくそのことがわかったというのに、私は五十円かけて貴重品を鍵の掛かるロッカーに入れてしまった。そのことがとても恥ずかしく思えた。私の取った行動は、地元の人たちに対して、「私はあなたたちを信頼していませんよ」ということを示す態度だったのだ。

 ラジウム温泉は、ラジウムが崩壊してできるラドンが、ある濃度以上溶け込んだ温泉のことである。ラドンは、弱い自然放射線を出すガスの元素ということらしいが、微量な放射線なら、身体の細胞を活性化させる働きがあると言うのだ。ラドンによって細胞が活性化され、新しい細胞がどんどん増えて、新陳代謝が活発になるらしい。こうした効果は、放射線のホルミシス効果と呼ばれているらしい。

 私は先週、広島に行き、放射線の恐ろしさを目に焼き付けて来たばかりだ。ところが、三朝温泉では、微量の放射線が人体の細胞を活性化させる働きを持っていると言う。欠乏→飽和→過剰というそれぞれの状態があるときに、欠乏と過剰がネガティヴな結果をもたらすのだとしたら、陰陽がどこかで接点を持ち、繋がっていることの証なのではないだろうか。

 さて、ラジウム温泉の効果だが、確かに、森林浴を体験したかのようなリフレッシュした気分を味わうことができる。これは、放射線の電離作用によって、マイナスイオンが発生するからだそうだ。ホテルに帰ってから、身体がだるくなる症状が出た。おお、これは! と思ったのは、鍼灸治療で体験している身体のだるさと同じような感じだったからだ。このだるさが取れたときに、私の身体はいつもパワーアップしている。身体のメカニズムとは、実に不思議なものだ。

 睡眠不足だったため、ホテルにチェックインしたあと、少し眠った。身体のだるさが、快眠へと導いてくれた。二時間ほど眠って目を覚ますと、身体がすっきりしていた。三朝温泉には、飲泉もあり、ちょろちょろと流れている温泉を手持ちのペットボトルなどに入れて持ち帰ることができる。私は、持っていた小さなペットボトルに飲泉を入れ、ホテルに持ち帰って飲んでみた。たくさんのミネラルが含まれているとあって、確かに硬い。それでも、身体が拒絶反応を起こさないので、私の身体はこの硬さを受け入れているのだろう。

 まだ、たった一回だけの入浴だけなので、筋腫に対しては、はっきりとした効果は現れて来ないが、ハードなスケジュールをこなしている割には身体が元気である。もっと滞在すれば、もっと元気になれるのではないだろうか。そんな気がしている。

 ガンモとは、電話でちょこちょこ話をした。ガンモは、会社の人たちと旅行に行っても、大浴場には入らない。みんなの前で裸になるのが恥ずかしいのだそうだ。だからガンモは、身体に刺青があると会社の人たちには思われているそうだ。

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