鳩のその後
愛シチュー博に出掛けている間に、我が家に鳩の巣が作られてから早くも三ヶ月余り。卵から孵ったモリゾーは、元気に巣立って行った。さて、その後は? と気がかりな方もいらっしゃることだろう。
実は、その後も毎日のように、親鳩たちが、巣のあったベランダに餌を食べにやって来ている。早朝からバサバサバサと音がして、餌箱に餌が入っていないかどうかを確認している。餌箱に、餌が入っていなければ、何度も何度も繰り返しやって来ては、餌箱の様子を確かめている。私たちは、ペットショップで鳩の餌をたくさん買い込んで、備えている。そして、朝、お弁当を作るときに、鳩に餌を与えているのだ。私たちが餌箱に餌を入れると、親鳩たちは、餌箱に向かって一目散に突進する。
私たちは、親鳩たちのことを、父ちゃん、母ちゃんと呼んでいる。
「あっ、母ちゃんが来た」
とか、
「父ちゃんが餌くれって、ホーホー、言ってる」
などと言いながら、鳩の様子を観察している。ガンモは休みの日に、父ちゃんが、クローバーを口にくわえているのを見掛けたそうだ。
「まるでスナフキンみたいだった?」
と私が尋ねると、
「そうそう。あれは絶対四葉のクローバーだよ」
とガンモは言った。私も、父ちゃんがクローバーを口にくわえている勇姿を見てみたかった。
鳩には、縄張りがあるのだろうか。他の鳩たちも、ときどき餌を食べにやって来るようだが、父ちゃん、母ちゃんが、他の鳩たちを追い払ってしまうのだ。ここから巣立って行ったモリゾーも、ごくたまに、父ちゃん、母ちゃんと一緒にやって来る。若いモリゾーは、まだ目が黒い。ここから巣立って行ったモリゾーでさえ、まるでお客さんみたいに遠慮しながら、父ちゃん、母ちゃんにくっついて、餌を食べている。
旅行に出掛けるときには、私は彼らに話し掛ける。
「旅行で二、三日、留守にするから、その間は餌をあげられないからね」
と。彼らがその言葉を理解してくれているかどうかはわからないが、私たちの不在が続いても、彼らは変わらずに、私たちのところにやって来る。父ちゃんだけが来ることもあれば、母ちゃんだけがやって来ることもある。こんなふうに、父ちゃんも母ちゃんも、ずっと同じパートナーと一緒にいる。鳩夫婦は、仲がいいのだろうか。
モリゾーが孵化したときの感動をまた味わいたくて、私たち夫婦は、また密かに、私たちのベランダで卵を産んでくれないかしらと心の中で思っている。ガンモが、巣になりそうな箱を用意して、ベランダに置いてはいるのだが、どうも気に入ってはくれないらしい。それとも、既に、どこか別の場所で、巣を作って雛を育てているのかもしれないが。
| 固定リンク




