子供の頃に夢中になった本

2006.12.14

『いやいやえん』

 幼稚園の頃に読んで以来、ずっと心の中に残っていた本がある。それがとても有名な本だったということを知るのは、ずっとあとになってからのことである。図書館に置かれているのは何度か見掛けたが、どうしても手元に置いておきたくて古本屋を何軒も回ったが、なかなか見つけられなかった。インターネットが普及してから、ネットオークションに出品されているのをときどき見掛け、何度か入札してみたものの、何度入札しても落札することができなかった。それほど人気の高い本だったようである。そう、その本の名前は、『いやいやえん』である。

 幼稚園のときに初めてこの本を読んだのだが、同じ幼稚園に通っていた男の子で、幼稚園になかなか顔を出さなかった子がいた。この本の中身とは少し違うのだが、私はその男の子とこの本のタイトルを関連付けて記憶していた。だから今でも、『いやいやえん』というと、その男の子のことを思い出すのである。ちなみに、その男の子の名前は、しげるではなかった。

 この物語の主人公であるしげるは、ちゅーりっぷほいくえんに通っている。この本の中の九十パーセントは、しげるの日常が描かれている。しかし、「いやいやえん」と付けられた最終章だけは、ちゅーりっぷほいくえんに行くのを嫌がったしげるが連れて行かれた特殊な幼稚園のことが描かれている。つまり、最終章の「いやいやえん」は、しげるの非日常を綴った章なのである。

 実は、九十パーセントの割合で描かれているしげるの日常よりも、わずか十パーセントしか描かれていない「いやいやえん」の章のほうがインパクトが強い。幼稚園の頃の記憶を辿ってみても、この最終章の記憶が最も強烈だった。自分もあの「いやいやえん」に連れて行かれてしまったらどうしようと心配していたのである。だから、大人になってこの本を読み返したとき、あまりにも普通の書き出しに拍子抜けしてしまったのだ。

 私が持っている『いやいやえん』は、一九九八年に印刷された新しいものだが、この時点で第93刷と印刷されている。ということは、今は既に百刷を超えてしまっているかもしれない。長年探し続けたそんなポピュラーな本をようやく見つけたのは、何と地元の古本屋さんだった。自分の手元にやって来てからというもの、今でも何度も読み返している好きな本の一つである。

※今回は、記事を二つ更新させていただきました。これにより、しばらくの間、一日遅れで書いていた日記が、ようやく現代に追いつくことができるようになります。これからは、更新が0時を回ったときだけ、日付と時間の更新をしたいと思っています。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 『いやいやえん』は、一度聞いたら忘れられないタイトルです。『いやいやえん』が発表されたのは、何と一九五九年七月のことだそうです。私が初めてこの本を読んだ一九七一年の時点で、既に発売から十二年も経っていたことになります。しかも、それ以降も、実に多くの人たちに支持され続けています。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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2006.12.13

『ぼくは王さま』

 今日は、思い切って記事を二つ更新しようと思う。それにより、一日遅れで書いている記事が現在に追いつくかもしれない。

 きな粉の予感にも書いた通り、私は子供の頃、きな粉にお砂糖をかけたおにぎりを食べるのが大好きだった。そして、将来出会う男性もまた、きな粉にお砂糖をかけたおにぎりを食べるのが大好きに違いないという予感があった。結婚するまでに何人かの男性に出会ったが、どの男性も、きな粉にお砂糖をかけて食べるという習慣はなかった。しかし、ガンモがまさしくその人だった。不思議な予感もあるものである。

 大人になるに従って、私は次第にきな粉にお砂糖をかけたおにぎりから遠ざかってしまった。しかし、そんな私にも、子供の頃からずっと好きな食べ物がある。たまごである。

 今日、ここで皆さんにご紹介するのは、寺村輝夫さんの『ぼくは王さま』シリーズである。私と同じように、いや、私以上にたまごが大好きな王さまの話である。

 王さまはとてもわがままで、たまごやきを食べてさえいれば機嫌がいい。勉強からは逃げるし、嫌いな食べ物もある。まるで子供のような王さまである。しかし、何故か憎めない。それは、王さまがいつも一つの方向を向いていて、その方向に向かってまっしぐらに進み、計算がないからだと思う。

 他の登場人物としては、だいじんやはかせがいる。彼らはいつも、王さまのわがままに振り回されているのだが、王さまを本気で嫌う人はいない。王さまを主人公とする物語は、二通り存在するのではないだろうか。一つは、『ぼくは王さま』シリーズのように、子供のようにわがままな王さまに対し、理性的なだいじんとはかせ。もう一つは、威厳を持った王さまに対し、媚びへつらうだいじんとはかせ。この物語は、紛れもなく前者である。

 文庫本に描かれている和歌山静子さんの挿絵もいい。憎めない王さま、王さまの言葉にあたふたするだいじんやはかせが描かれている。シリーズでキャラクターが統一されているだけに、本当にどこかの国でこのようなたまご好きの王さまがだいじんやはかせを振り回しているのではないかと想像してしまうくらいだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 何を隠そう、私は今でも図書館に行くと、児童書コーナーで長時間過ごすことがとても多いのです。そんな幸せな時間の中で、ついつい手にとってしまうのが、この『ぼくは王さま』シリーズなのです。子供の本は、夢があっていいですね。(^^)

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2006.12.12

『ハンカチの上の花畑』

 何を隠そう、私は小学生の頃から本を読むのが大好きだった。小学校の教室には学級文庫と言って、図書館の本とは別枠で貸し出しが行われている本があった。私は毎日のように学級文庫から一冊、図書館から一冊と、合計二冊の本を借りては、家に帰って読みふけっていた。オリジナルのお話(今で言うショートショートのようなもの)を書き始めたのもこの頃だった。原稿用紙に鉛筆で書いたお話が、今でも私の手元に残っている。

 小学校の頃、一番熱心に読んでいたのは、モーリス・ルブラン原作のアルセーヌ・ルパンシリーズだった。確か、南洋一郎氏が翻訳された子供向けのハードカバーで、小学校の図書館にあったこのシリーズはすべて読み尽くしたはずだ。堀口大學氏もモーリス・ルブラン原作のアルセーヌ・ルパンシリーズを翻訳されていたのだが、私には、南洋一郎氏訳の子供向けの訳本が一番読み易かったのである。実は、大人になってから、古本屋さんでこのシリーズをせっせと集めたおかげで、我が家にはこのシリーズのほとんどの本が揃っている。

 ガンモもまた、小学生の頃に、学校の図書館にあったこのシリーズの本を読みふけっていたようだ。しかし、読んでもあとに残らないことがわかり、これ以降は読書をするのをやめてしまったそうだ。一方、本の面白さに取りつかれていた私は、小学校六年生のときに図書委員会の部長をつとめた。中学生になっても本好きは変わらないだろうと思っていたのだが、この頃になると、読むことよりも書くことに夢中になっている。課外活動として新聞部に入部したり、友人と演劇に夢中になり、自分で脚本を書いて、自作自演のテープを作成したりしていた。とにかく書くことが大好きで、文化祭でも自分の書いた小説やエッセイなどを展示していた。

 高校に入学してからは、一気に生活が変わった。一年生の頃から受験のことを考慮したクラス分けがなされ、受験ムードが漂う中で、大学受験には関係のない読書や創作からは次第に遠ざかってしまった。ただ、中学のときに目覚めた演劇をやりたくて、課外活動は演劇部に入った。更に、授業の中で行われる部活動として、文芸部に所属していた。しかし、それらの活動を行う時間も、二年、三年になると、次第に受験勉強の時間に塗り替えられて行った。

 高校生のとき、私は汽車通学をしていた。電車通学ではなく、汽車通学というのがミソである。今は合併して一つの市になっているが、当時は別々の市である隣の市に高校があったのだ。私は、汽車で片道二十五分ほどかけて通学していたのである。田舎なので、汽車は一時間に一回しか運行されていない。できる限り、その時間の汽車に間に合うように学校を出るのだが(汽車通学の生徒たちからは、四時の汽車とか五時の汽車とか呼ばれていた)、時には間に合わないこともあり、次の汽車の時間までおよそ一時間、街の中や学校近くの図書館で時間を潰すことが多かった。そうした場所で、どうしても手にとってしまうのが、受験勉強にふさわしい本ではなく、子供の頃に読んで面白かった本だったのである。前置きが長くなったが、今回から、「子供の頃に夢中になった本」という新しいカテゴリを追加してお送りしたい。

 一番最初にご紹介するのは、安房直子さんの『ハンカチの上の花畑』という作品である。安房直子さんと言えば、『ハンカチの上の花畑』よりも『きつねの窓』のほうが有名かもしれない。夢のある、とてもいい作品を書かれている作家さんである。『きつねの窓』は、教科書にも採用されているようなので、ご存知の方も多いのではないだろうか。

 『ハンカチの上の花畑』は、子供心をくすぐってくれるとても夢のある作品である。郵便屋の良夫さんが、酒屋のおばあさんからつぼを預かる。このつぼに向かって、「出ておいで 出ておいで 菊酒つくりの小人さん」と呼びかけると、つぼの中からおろされた小さなはしごをつたって小人の家族が降りて来て、ハンカチの上に菊の苗を植える。そして、ハンカチの上の花畑で育った菊をつぼの中に収穫し、収穫を終えた小人の家族が一人ずつつぼの中に帰ってしまうとおいしい菊酒が出来上がっているというとても不思議な物語だ。おばあさんからつぼを預かるとき、良夫さんは二つの約束をする。一つは、小人が菊酒を作っているところを誰にも見られていはいけないということ。もう一つは、出来上がった菊酒を人に売ってはいけないということ。果たして、良夫さんはおばあさんとの約束を守ることができるのだろうか。

 つぼの中から小人の家族が出て来てハンカチの上に菊の苗を植えて菊酒を作るという発想は、とても夢があって楽しい。これからの未来を背負って行く小さなお子さんたちに是非とも読んで欲しい作品の一つである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 子供の頃に夢中になった本の中で最も心に残っているのが、この『ハンカチの上の花畑』です。子供の頃に読んで以来、ずっと心の中に残っています。もちろん、大人になってからも何度も読み返しました。アルセーヌ・ルパンシリーズも一生懸命読んでいたのですが、本を読んでいる最中は思い切り楽しむことができても、心の中に感動が残らず、すぐにストーリーを忘れてしまったのです。しかし、『ハンカチの上の花畑』は、子供の心の中に何かを残してくれる作品です。そして、何かが残ると、私のような空想好きな人間に育って行くのかもしれません。(笑)

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