2013.02.21

最近のベランダ事情

ガンまる、ノロウィルスに感染する(後編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。またまた更新が遅くなってしまいました。実は、とても書きたいことはあるのですが、内容が内容なので、書くのを控えていました。インターネットは、とても便利な道具である反面、検索エンジンにより、不特定多数の人たちを容易に受け入れてしまえることから、書きたいことを避けてしまうことも多々あります。さて、今回は、久し振りにカテゴリの記事を書かせていただくことにします。

 カテゴリの記事の更新がしばらく止まってしまっていたのには、理由がある。それは、帰巣本能の記事を書いたあと、父ちゃんとの辛い別れがあったからだ。

 父ちゃんは、負傷して帰って来たあと、しばらく我が家のベランダに住んでいたのだが、あるときぷっつり姿を見せなくなった。三人目(三羽目?)の母ちゃんの姿が見えなくなり、長いこと独身でいた父ちゃんだったが、どこかで四人目の母ちゃんを見付けて巣作りでもしているのかとも思っていた。しかし、それならば、せめて昼間くらいは餌を食べに我が家のベランダにやって来るはずだった。しかし、そんなことさえもなくなってしまったのだ。おそらく、どこかで命を落としてしまったのだろう。そのことがショックで、なかなかカテゴリの記事を更新することができなかった。何しろ、私たちと父ちゃんとの付き合いは、丸六年にも及んだのだから。

 父ちゃんは、鳩として、とても用心深かった。鳩にもいろいろな性格があることは、これまでにも書いて来た通りだが、私たちが寝室の窓を開けると、待ちかねたように窓辺にやって来て、餌を与えようとする私たちの手に強烈な鳩パンチを食らわして来るやんちゃな鳩もいる中で、父ちゃんは私たちとの距離を適度に保っていた。そんな姿は、紳士そのものだったのだ。

 今は、父ちゃんと三人目の母ちゃんとの間に生まれたであろう娘と、かつてTKMYの夫だった雄の鳩(キッコロ亡きあとにTKMYが再婚した鳩)が棲みついている。その夫婦は、またまた我が家のベランダで卵を産み、何と、寒い冬だというのに卵が二個も孵った。生まれた二羽のヒナたちは、両親から元気に餌をねだる時期も過ぎ、もはや自分で餌を食べられるようになっている。まだピィピィと鳴いてはいるものの、彼らが巣立って行くのも時間の問題だろう。

 私たちはこのベランダで、何羽もの鳩の誕生を見守って来たが、姿を見せなくなって、おそらく命を落としたと思われる鳩がいたとしても、しばらくするとその鳩と同じような性格の雛が生まれて巣立って行く不思議に驚いている。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 雌の鳩は、自分がお腹をすかせていることに対してプライドがないですね。そのため、私たちにしきりに餌を求めます。しかし、野生の鳩ですので、餌を探す能力を衰えさせないように、私たちもできるだけ甘やかさないようにして過ごしています。

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2011.06.26

帰巣本能

映画『しあわせの雨傘』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m あまりにも暑い上に風もなかったため、とうとう我が家もこの夏初めてのクーラーを稼動させてしまいました。六月からクーラーを稼動させるのは、我が家では異例のことであります。この夏が、去年のように猛暑にならなければいいとは思っていますが、六月の時点で既に気温が三十度に達していますので、心配ですよね。私のように上半身のほてりを抱えている方もいらっしゃるかと思いますが、例え猛暑であっても、できる限り工夫して涼しくお過ごしくださいね。

 父ちゃんのことを記事に書くのは、ずいぶん久し振りのことである。そう、「ガンまる日記」で父ちゃんと言えば、我が家のベランダに棲み付いているの父ちゃんのことである。思えば父ちゃんとの付き合いも、今年で丸六年になる。

 父ちゃんは、かつて三代目母ちゃんと夫婦の契りを結んでいたが、一年ほど前から三代目母ちゃんの姿が見えなくなり、それ以来、ずっと独身を通している。これまでの父ちゃんならば、すぐにどこかの鳩の社交場で新しい嫁さんを見付けて来ては再婚を繰り返していたのだが、再婚もせずに単独で行動するようになったのである。鳩の世界では三回までの婚姻しか認められていないのか、はたまた、三代目母ちゃんのことを猛烈に愛していて今でも忘れられないでいるのか、あるいは、実際は若い雌の鳩に何度もアタックしてはいるものの、老体のためにもはや相手にされていないのか、それとも、生殖機能が衰えてしまっているために、もはや雌の鳩を追い求めなくなったのか、それは私たちにもわからない。

 そんな父ちゃんは、マンションの大規模修繕が終了したあと、私たちの部屋のベランダにしばらく単独で棲んでいた。一時期までの、父ちゃんと歴代の母ちゃんたちの間に生まれた子供たちとのにぎやかな共同生活を思えば、ベランダに父ちゃん一羽だけというのは、ずいぶん平和で静かなものだった。

 ところが、ちょうど六月に入った頃だったろうか。父ちゃんの娘夫婦(これまたややこしいのだが、一時的に今は亡きTKMYの婿となったイケメンくんが、TKMY亡きあと、TKMYの妹と結婚した)と一緒に我が家のベランダに棲み始めた。父ちゃんにしてみれば、これまで自分だけでこのベランダと私たちに与えられる餌を占有できていたものだから、自分の縄張りを守るために、毎日のように娘夫婦たちと激戦を繰り広げていた。

 そんなある日、突然、父ちゃんの姿が見えなくなった。雄の鳩は、昼間のうちはどこかに出掛けていても、暗くなる前に必ず帰って来る。ちなみに、雌の鳩ならば、どこかに巣を作って卵を産んでいる場合、夜間に卵を温める当番なので帰って来ない。しかし、縄張り争いを繰り広げるほと我が家を気に入ってくれていた父ちゃんが帰って来なくなってしまったのである。私たちは、父ちゃんの身の上に何かが起こってしまったのか、それとも、父ちゃんの娘夫婦が父ちゃんを追い払ってしまったのかと思い、娘夫婦に、
「父ちゃんはどこへ行った? あなたたちが父ちゃんを追い出したの?」
などと問い掛けていた。しかし、そんな私たちの問い掛けに対し、娘夫婦が答えてくれるはずもなかった。

 それから二週間近く経った頃だろうか。私が寝室のベッドの上でくつろぎながら、ノートパソコンを広げて書き物をしていると、ベランダから父ちゃんの鳴き声が聞こえて来るではないか。かれこれ六年もの付き合いになれば、それが父ちゃんの鳴き声かどうかはすぐにわかる。私はガンモに、
「父ちゃんの声だ! 父ちゃんが帰って来た!」
と言って、寝室の窓を開けた。するとガンモもすぐに窓辺に掛け寄って来て、ベランダの様子を確認した。

 そこには確かに父ちゃんの姿があった。しかし、負傷しているのか、左側の肩と言うべきか、羽が下に下がっていた。おまけに歩き方も何だかぎこちない。その様子からして、父ちゃんが、命からがら飛んで来たように見えた。いつもならば、私たちが寝室の窓から顔を出すと、餌をもらえるとばかりに喜び勇んで窓辺に飛んで来るのだが、帰って来たばかりの父ちゃんは、ベランダの下から私たちのいるベランダの窓辺を見上げるものの、ベランダの窓辺までは飛んで来られない様子だった。それでも、マンションの五階にある私たちの部屋のベランダまで飛んで帰って来たのだから、父ちゃんとしてもかなり踏ん張ったのだろう。

 ガンモはすぐに台所からベランダに飛び出して、お腹を空かせているであろう父ちゃんのために餌を与えた。おそらく父ちゃんは、しばらく餌にありつけていなかったのだろう。餌箱をがつがつと突付きながら餌を食べた。父ちゃんは思うように飛べないようだったが、食欲はあるようなので、ひとまず安心である。餌で空腹を満たした父ちゃんは、今は亡きTKMYやキッコロが巣を作っていた排水溝のあたりを陣取り、身体を休めていた。ガンモは父ちゃんのために、排水溝のすぐ近くに餌の入った餌箱と水の入った水入れを置いた。

 朝、起きて父ちゃんの様子を確認してみると、父ちゃんはまだ排水溝のあたりにいた。夜が明けても飛び立って行こうとしないということは、やはり身体が弱っているのだろう。相変わらず左側の肩が落ちていて、歩き方もぎこちなかった。良くもまあ、そんな状態で我が家に帰って来られたものである。

 ガンモは、
「俺は父ちゃんの介護があるから、旅行には行けない」
などと冗談を言った。しかし、その後、やむにやまれぬ事情により、数日間、家を空けることになった。そのときガンモは、帰宅する頃になると、
「父ちゃん、大丈夫かな」
としきりに心配していた。そしてガンモは帰宅するや、ベランダに出向き、父ちゃんの様子を見に行った。父ちゃんは、これまでよりも元気そうだった。ただ、出掛ける前に餌箱にたっぷり入れておいた餌は、きれいになくなってしまっていた。父ちゃん以外の鳩が餌箱を突付いたのかもしれない。ガンモが餌箱に餌を入れると、父ちゃんは夢中で餌箱を突付き始めた。

 その後、父ちゃんは順調に回復し、朝になるとベランダから飛び立って行くようになった。父ちゃんの身に何が起こっていたのかはわからないが、とにかく父ちゃんは命からがら我が家のベランダに戻って来て、餌を食べて元気になりつつあるようだ。これらのことからも、どうやら父ちゃんの中に、我が家のベランダが自分の住処であるという認識があるのはほぼ間違いないだろう。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 父ちゃんは、去年の秋にマンションの大規模修繕が行われているときにも、おそらく修繕に使われていた塗料の匂いを嫌ってだと思うのですが、しばらく私たちのマンションのベランダから離れていました。それでも、大規模修繕が落ち着くとまた戻って来ました。そして今回は、おそらく飛べない状態になっていたために、しばらく戻って来られなかったのでしょうね。これまで、父ちゃんの歴代の母ちゃんたちが帰って来なくなったことが何度かあるので、ひょっとすると父ちゃんの身の上にも何かが起こってしまったのではないかと心配していたのですが、何はともあれ、我が家に戻って来てくれた上に体力も回復したので、安心しています。

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2010.11.22

マンションの大規模修繕(10)

忍者紀行(2)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 隠し庫の説明の部分で、最初は「障子のレール」と表現していたのですが、どうもしっくり来ないので、「ねえ、障子を収めるレールって何て言うの?」とガンモに尋ねてみました。するとガンモはすかさず、「敷居だよ」と答えました。「ええっ? ほんとに敷居?」と半信半疑で調べてみたところ、確かに敷居でした。敷居という言葉があるのは知っていましたが、自分の知っている敷居と今回の隠し庫の説明に該当する敷居が結び付きませんでした。どうやら敷居と鴨居はセットになっているようですね。(苦笑)では、マンションの大規模修繕(9)の続きを書かせていただきます。

 マンションの大規模修繕もそろそろ終盤に差し掛かって来た。それを敏感に感じ取ったのか、あるとき父ちゃんが我が家にやって来たかと思うと、かつてのようにベランダの手すりのところにペタンと座り込み、日向ぼっこを始めた。あまりにもリラックスしているその様子に、私は、
「父ちゃん、今夜あたりから、ここに帰って来るんじゃない?」
とガンモに言った。ガンモも父ちゃんの様子を確認して、
「あの雰囲気だと、そうかもな」
と言った。

 そして夜になって、寝室のカーテンを開けてみると、確かにそこには父ちゃんの姿があった。私はガンモに、
「父ちゃん、いるよ!」
と報告した。父ちゃんは、私と目が合うと、ちょこんと首をかしげた。久し振りに我が家のベランダに帰って来た父ちゃんは、まさしくそこで寝ようとしていたのだ。私は父ちゃんの帰還にうれしくなり、すぐに寝室の窓を開けて父ちゃんに餌を与えた。かつてモリやキッコロたちと一緒に飛び立って行った父ちゃんは単独で帰って来たらしく、ちょっとおどおどしていた。父ちゃんにしてみれば、自分が快適に過ごしていた私たちのベランダに突然足場が組まれ、やがてパサパサとしたビニールで窓が覆われたかと思うと、シンナーの臭いもきつくなり、一体何が起こったのか理解できない状況だったのではないだろうか。そして、父ちゃんなりに危険を察して、仕方なく我が家のベランダから離れたのだろう。しかし、シンナーの臭いが収まって来るとともに、父ちゃんはこうして帰って来たのだ。

 マンションの大規模修繕は着々と進み、やがて不要になった足場も完全に撤去された。足場が撤去され始めたのは、父ちゃんが我が家のベランダに帰って来てからすぐのことである。父ちゃんは、そろそろ足場が撤去されることを知っていたのだろうか。工事を担当してくださる業者さんに聞いたのかもしれないし、マンションのエントランスに設置されている工事用掲示板を見たのかもしれない。ただ、きれいになったベランダに対する遠慮はないようで、早速汚してくれている。しばらく我が家を離れていても、相変わらずといったところだ。

 思えば父ちゃんは、私たちが愛シチュー博に出掛けて不在にしている間に、初代母ちゃんとともにベランダに置いてあったガンモのごみ箱に巣を作ったのだ。あれから早くも五年半の月日が経過しようとしている。父ちゃんが我が家から一度離れて帰って来たことで、父ちゃんとの絆も絶対的なものに成長しつつあるように思えるのだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ガンモの予測通り、父ちゃんは我が家に帰って来ましたね。現在は、かつて一緒に暮らしていたキッコロやモリたちとは別行動のようです。これが彼らにとって、事実上の巣立ちとなったのかもしれません。三番目の母ちゃんがいなくなってから、父ちゃんはまだ独り身ですが、ここでまた新しい母ちゃんと結婚して、雛たちを産み育てて行くのでしょうか。

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2010.11.10

マンションの大規模修繕(8)

保険屋さん(7)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。保険屋さんに、「選択肢の一つとして、先進治療を受けるチャンスを見逃して欲しくない」と言われたときには、実のところ、唖然としてしまいました。何故なら、私自身が医療保険の申し込みをしたときには、私にとってほとんどメリットのない保険内容を提示して来たからです。保険というものが、あたかも相手のことを真剣に考えているようでいて、結局はビジネスに活かされていると私はとっくに気付いているというのに、それでもなお、ガンモのことを真剣に考えているような口調で語られるのは、ちょっと腹立たしい気がしました。それでは、マンションの大規模修繕(7)の続きを書かせていただきます。

 九月から始まったマンションの大規模修繕は、滞りなく着々と進んでいた。共有部分の塗装および補修が行われるにあたり、まずは損傷している箇所が徹底的に点検され、工事を担当してくださる建設会社独特の方法で、マンション内に「しるし」が付けられた。損傷の状況を示す数字や記号なのだろうか。マンションの共有部分のあちらこちらには、いろいろな色で書かれた数字や記号が点在していた。

損傷の状況を示す「しるし」

 しばらくすると、マンションのドアや窓などがパサパサとしたビニールで一斉に覆われた。いよいよ塗装が始まるらしかった。そのために、汚してはいけない部分をパサパサとしたビニールで覆ったのだろう。

塗装時に汚れてはいけないところは、パサパサとしたビニールで一斉に覆われた

 まず、最初に塗られたのは、金属部分の錆(さび)止めだった。赤褐色の錆止めが、ガスメーターの扉などを始めとする金属部分のあちらこちらに塗られた。錆止めは、少しはみ出している箇所もあったが、あとからその上に別の塗料を上塗りするため、問題はなかった。

 やがて、私たちの寝室の窓も、パサパサとしたビニールで覆われた。そのため、私たちは部屋の中が暑くても、窓を開けることができなかった。この頃はまだ今ほど涼しくはなく、仕事から帰宅したあとも、そして寝るときも、窓を少し空かして涼を取り入れていた頃だったので、窓を開けられないのは辛かった。私は、
「窓を開けられないなら、思い切ってエアコンをつけようか」
とガンモに提案したのだが、ガンモの調査によると、エアコンの室外機までもが既にパサパサとしたビニールで覆われているらしかった。ということは、暑くても窓も開けられず、エアコンも使用できないということだ。もう秋に差し掛かっていたので、窓を開けられなくても蒸し風呂状態になるほど暑くはなかったのだが、上半身にほてりのある私には厳しい修行のようにも思えた。ガンモでさえも、窓を開けられないのは暑いとぼやいていたくらいだった。

 寝室の窓がパサパサとしたビニールで覆われてしまうと、ベランダに住んでいる父ちゃんたちの様子もわからなくなってしまった。台所からベランダに通じるガラス戸もパサパサとしたビニールで覆われてしまったため、寝室の窓と同じように開けることができなかった。もちろん、緊急時にはパサパサとしたビニールを打ち破ってもいいことになってはいるのだが、鳩の様子を見るためや、涼しい風を部屋に取り込むために、工事担当の方たちがせっせと施したパサパサとしたビニールを打ち破って窓を開けるのは、さすがに憚(はばか)られた。

 私たちは、ベランダに父ちゃんたちがいるのか、毎朝、毎晩、耳を澄ました。しかし、どんなに耳をそばだててみても、父ちゃんたちの羽の音は聞こえなかった。父ちゃんたちは、今でもベランダの外にいるのだろうか。本格的にマンションの大規模修繕工事が始まったので、ベランダで大人しくしているのだろうか。それとも、工事担当者の方たちにより、ベランダからすっかり追い払われてしまったのだろうか。私たちはやきもきしながら、窓を開けることのできない日々を過ごした。

 数日経つと、ガンモが、
「ビニールを打ち破らないにしても、窓だけでも開けてみると涼しいよ」
と教えてくれた。パサパサとしたビニールで窓が覆われていても、挑戦してみると、ほんの少しだけ窓を開けることができた。ただ、窓を開けることができても、そこにはパサパサとしたビニールがあるだけなのだが、窓をまったく開けないでいるよりは、少し風が入って来たのである。私たちは、パサパサとしたビニールと窓の隙間から入って来る風に助けられた。その状態で、ベランダの音に耳を澄ましてみたが、やはり羽の音も、父ちゃんたちの鳴く声も聞こえては来なかった。

 一週間か十日くらい、そんな状態が続いただろうか。ある日、仕事から帰宅すると、窓に張り巡らされていたパサパサしたビニールがすっかり撤去されていた。私たちは喜び勇んで窓を開けてみた。しかし、ベランダは壁も塗り替えられ、床のシートもきれいに張り替えられてものの、父ちゃんたちの姿はそこにはなかった。

 次の朝になっても、ベランダからは羽の音も父ちゃんたちの鳴く声も聞こえては来なかった。父ちゃんたちは、どこで寝ているのだろう。みんなで一緒にいるのだろうか。私たちはそのことが心配で心配で、窓を開けては外の様子を窺い、父ちゃんたちが帰って来ればいいのにと寂しい気持ちを募らせていた。

 ある日、朝から羽の音がバサバサと聞こえて来た。私は慌てて、まだ寝ているガンモを起こした。ガンモが寝室の窓を開けてみると、ベランダには父ちゃんたちがいた。どうやら、どこかで無事に寝泊りしているようだ。私たちは久し振りに、父ちゃんに餌を与えた。いつものように、父ちゃんは餌箱の中から、とうもろこしを上手に狙って突付いた。

 そんなことがあったので、父ちゃんたちはてっきり私たちのベランダに帰って来るものだと思っていたのだが、その日の夜になっても父ちゃんたちは帰っては来なかった。その代わり、毎朝ではないのだが、ときどき早朝にやって来た。相変わらず、他の鳩たちを元気に追いかけ回しているところからすると、「ここは俺の縄張りなんだからあっちへ行け!」と言っているのだと思う。私たちはその度に父ちゃんに餌を与えた。

 以前と変わったことと言えば、かつて父ちゃんたちが住んでいたベランダの壁は塗り替えられ、床のシートもきれいに張り替えられていることだ。もしかすると父ちゃんたちは、きれいになったベランダに遠慮しているのだろうか。いや、そうではなく、おそらく父ちゃんたちはシンナーの臭いが苦手で、私たちのベランダから遠ざかってしまったのかもしれない。

 私は、父ちゃんたちがいなくて寂しかったが、ガンモは、
「ここは父ちゃんたちの通り道なんだろうし、時々餌を食べに来るということは、ここのことをちゃんと覚えてるはずだから、きっと工事が終わって足場も取れたら、また戻って来るよ」
と言った。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m マンションの大規模修繕は順調に進んでいます。おかげで、マンションの見栄えもずいぶんきれいになったのですが、ベランダに父ちゃんたちの姿はありません。(苦笑)時々遊びに来るにはいいけれど、夜、安心して眠るには、シンナーの臭いがあまりにもきつ過ぎるのかもしれません。果たして、マンションの大規模修繕が終わったあと、父ちゃんたちは帰って来るのでしょうか。(笑)

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2010.11.03

マンションの大規模修繕(7)

映画『トイレット』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 公式サイトによれば、本作の撮影はカナダで行われたそうです。えっ? ということは、物語の舞台もアメリカではなくカナダで、三人の孫たちも実はアメリカ人ではなくカナダ人だったりするのでしょうか? そして、「ばーちゃん」の財布の中に詰まっていたのも、アメリカドルではなくカナダドルだったのでしょうか? ただ、三人の孫たちが話していた英語は、バリバリのアメリカ英語だったように思います。(苦笑)

 マンションの大規模修繕が始まってから、市のゴミ処理施設に粗大ゴミを何度か持ち込んだものの、私たちの部屋の玄関の外にはまだまだいろいろなものが並んでいた。玄関の外はマンションの共有部分にあたり、今回の大規模修繕の対象エリアとなっているため、本来ならば、できるだけ片付けておかなければならない。しかし、もともと家の中には置けないものを玄関の外に出しているわけなので、どれを取ってもすぐには片付けられないものばかりである。

 とは言え、このまま大規模修繕に協力しないままでいるのも良くないと思い、またまたガンモが率先して片付けを始めた。ところが、モノが多い我が家は、いくら片付けても片付けてもなかなか片付かなかった。それでもガンモは、最終的には玄関もきれいに片付け、どうしても撤去できないものは台車に載せていつでも移動可能なようにした。また、父ちゃんたちが住んでいるベランダも、塗装が行われることになるため、何度も掃除を繰り返した上にきれいに整えた。

 工事を担当してくださる方たちは、とても丁寧に作業を進めてくださっていた。私たち区分所有者に対して、工事がどの程度進んでいるのかを工事用掲示板およびポストに入れられるお知らせにより示してくださった。また、マンションの中で私たちと顔を合わせることがあっても礼儀正しく、とても好感が持てた。

 しばらくすると、玄関や我が家のベランダにも工事を担当してくださる方たちが立ち入るようになった。そのため、平日、仕事に出掛けて行くときは、寝室のカーテンを閉めて、窓もしっかり施錠しておいた。平日はそれで良かったのだが、問題は休日である。私はそれほど気にも留めていなかったのだが、寝室にいるとき、ガンモは工事を担当してくださっている方たちの気配をベランダに感じると、声を潜めて話すようになった。私が、
「ここは私たちの家なんだから、もっと正々堂々としてていいんじゃないの?」
と言うと、ガンモは、
「ウチはまだまだ掃除が行き届いてないから、工事担当の人たちに存在を知られるのが恥ずかしいんだよ」
と言った。そして、あたかもアムステルダムでひっそりと潜伏生活を送っていたアンネ・フランクのように、息を潜めて、家の中には誰もいないかのように振る舞った。私が、ベランダで作業をされている工事担当の方たちに聞こえるくらいの大きな声で話をすると、ガンモは声を立てずに人差し指を口の前に立てて、「シーっ」という素振りを見せた。私は、大規模修繕が始まっても、家をきれいにすることに対してあまり神経質にはならなかったが、せっせと片付けをしているガンモは、いつの間にか私たちの生活を客観的に振り返っていたのだろう。それに対し、私は常に私たちの生活を主観でしか見ていなかったと言えそうだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m このあたりに私たちの性格の違いが出ていますよね。(苦笑)あるとき私はガンモに言いました。「ガンモとの生活はあまりにも楽チン過ぎる」と・・・・・・。そのため、私はガンモにすっかり甘えてしまっているのだと思います。更に、「ガンモがもっと亭主関白で厳格な人だったら、私は日々の生活にストレスを感じてすっかり痩せ細って、今みたいな幸せは実感できていないだろうと思う」とも言いました。今の私たちの状況は、夫婦生活があまりにも楽チン過ぎて、ついつい怠けてしまったのですよ。(苦笑)でも私は、例え家の中が片付いていなくても、ガンモとのこのような生活が本当に面白くてたまらないのです。

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2010.10.26

マンションの大規模修繕(6)

マンションの大規模修繕(5)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。モリがあまりにもかわいいので、私は思わずモリを抱きしめてやりたくなるのですが、鳩は犬のようにはスキンシップを好まないんですよね。それもそのはずで、もともと鳩には親から与えられる愛情の中に、スキンシップが存在していないからだと思います。彼らは夫婦でも親子でも、嘴(くちばし)でチョンチョンチョンチョンと相手の身体を優しく突付いて、身体の掃除をすることで愛情を示しているようです。私たちにも嘴があれば、モリの身体を嘴でチョンチョンチョンチョンと突付いてやるのですが・・・・・・。それでは、マンションの大規模修繕(5)の続きを書かせていただきます。

 マンションの大規模修繕の工事が進んで行くにつれ、私たちは葛藤を繰り返していた。ガンモは、
「工事が終わるまで、父ちゃんたちにはどこかよそへ行ってもらったほうがいいと思う」
と言った。確かにその通りかもしれない。塗りたてのペンキの上を鳩がぺたぺたと歩いてしまっては、工事担当の方たちも作業をやりにくいだろう。とは言え、父ちゃんたちが安心して寝られる場所は他にあるのだろうか。

 私は鳩の代表である父ちゃんに、ポストに入っていたお知らせの紙を見せながら、この紙には鳩の撃退法が書かれていること、工事が終わるまでは、どこかよそに行ったほうがいいというようなことを話して聞かせた。いくら日本語で話し掛けても、鳩の父ちゃんに通じるはずもないのだが、とにかく私たちは、これから先、どうしたらいいのか模索していたのである。

 先に、具体的な行動に出たのはガンモだった。ガンモはある日、鳩のいるベランダに向かって水を撒いた。その水は、モリをいじめていた夫婦にかかったようだ。父ちゃんたちも含めたすべての鳩たちは、これまでにないガンモの態度に驚いて、バサバサとどこかに飛んで行ってしまった。

 すべての鳩が飛び立って行ったベランダは、しんと静まり返っていた。いつもならば、騒がしいくらいにバサバサという羽の音がして、ときどきグルグルと怒ったような、まるで何か訴えているかのような鳴き声も聞こえているはずである。しかし、その夜はすべての鳩たちがどこかに飛んで行ってしまったので、ベランダはとても静かだった。

 もしも私たちが本当に鳩の存在を迷惑に感じているならば、彼らが去って行って、ひとまずやれやれと思えるのだろう。しかし、私たちは違った。羽の音も鳴き声も聞こえない静かなベランダをひどく寂しく思った。とりわけ、水を撒いたガンモの落ち込みは激しかった。私たちは寝室の窓を開けて、どこにいるとも知れない父ちゃんに向かって、
「父ちゃん、帰って来い。ごめんな、父ちゃん」
としきりに語り掛けた。しかし、その夜は誰もベランダには帰って来なかった。

 翌朝、早朝から、羽の音がバサバサと聞こえて来た。私たちはうれしくなり、すぐに窓を開けてベランダを確認した。すると、そこには父ちゃんとモリ、そしてキッコロがいた。三羽はバラバラではなく、どこかで一緒に一夜を過ごしていたようだ。私たちはみんなに謝り、すぐに餌を与えた。たった一晩でも、にぎやかな彼らが不在になると、こんなにも寂しい思いをすることがわかった。こんなに寂しい思いをするくらいなら、例えマンションの大規模修繕中であったとしても、彼らを追い払うのはやめよう。私たちは、そう決心したのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 私たちは一時的に、人間としての立場を優先させてしまいました。その結果、こんなにも寂しい思いをしてしまったのですね。もう、こんな寂しい思いをするのはいやだと、私たちはこのときはっきりと感じたのです。

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2010.10.25

マンションの大規模修繕(5)

映画『東京島』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 私としては、何となく不完全燃焼とも言える作品でありました。しかし、女優としての木村多江さんの発声方法にはとても魅力を感じました。やはり、女優さんであるだけに、美しく発声するための訓練を受けていらっしゃるのだなあと思いました。それでは、マンションの大規模修繕(4)の続きを書かせていただきます。

 その後、モリはすくすくと育ち、しばらくはぴいぴいと雛特有の鳴き声を発しながらも、次第に産毛も取れて行き、私たちに対していっちょまえに鳩パンチを食らわすようになった。その鳩パンチがまたかわいいのだ。これまで、我が家からは何羽もの雛たちが巣立って行ったが、モリのようにかわいい鳩パンチを食らわす鳩には出会ったことがなかった。大人の鳩が鳩パンチをすると、バシッと激しい羽の音がするものだが、モリの鳩パンチは、まだ子供であるがゆえにひどく弱く、まるで自分の羽をばたつかせているだけのような戯れにも似た実に頼りないものだった。私たちはモリに、
「そんな鳩パンチ、全然痛くないよ」
と言って笑った。

 また、モリは鳩パンチの威力が弱いだけでなく、嘴(くちばし)で突付く力も弱かった。初代キッコロも、現在のキッコロも、私たちが寝室の窓を開けると、まるで乗り込むように寝室に入って来て、私たちの手をしきりに嘴で突付いた。彼らに嘴で突付かれると、時には痛みさえ感じることがあったものだが、モリに嘴で突付かれても、ただくすぐったいだけだった。鳩パンチ同様、私たちはモリに、
「突付かれても痛くないよ」
と言って笑った。

 そんなモリも、生まれてからしばらくの間は、父ちゃんからのピジョンミルクで育っていた。モリが父ちゃんと並んで餌箱を突付いて大人の鳩の餌を食べるようになったのは、実は私の与えた餌が最初だった。モリが父ちゃんの横に並んで私の差し出した餌箱に初めて頭を突っ込んだとき、すぐさまガンモにそのことを報告すると、ガンモは自分が与えた餌がモリにとっての初めての大人の鳩の餌ではなかったことをひどく悔しがった。しかし、その後、ガンモの差し出す餌箱からも餌を食べるようになったようだ。

 不思議なことにモリは、これまでにないほど人懐っこい態度で私たちに接して来た。我が家に住み着いている鳩でも、警戒心の強い鳩は、決して私たちに餌をねだろうとはしない。しかし、私たちに慣れた父ちゃんや、今はもういなくなってしまった三代目の母ちゃん、そしてキッコロ、モリは、私たちの差し出す餌箱から、餌をパクパク食べる。餌を食べている間の彼らはとても無防備になっている。しかし、そんな無防備な姿を私たちにならさらしても良いと信頼してくれているようなのだ。

 私たちが差し出す餌箱から餌を食べるようになったモリは、私たちが寝室の窓を開けると、部屋の中に入って来て、窓辺に置いている扇風機の上にちょこんと乗ったりするようになった。私たちが止めなければ、扇風機さえも越えて部屋の中にまで入って来てしまいそうだった。これまでいろいろな鳩に出会って来たが、これほど人懐っこい鳩は見たことがない。確かに三番目の母ちゃんがいなくなってから、父ちゃんがピジョンミルクをたくさん出せるようにと、父ちゃんにせっせと餌を与えて来ただけに、私たちは自分たちもモリの子育てに加わっているような気になっていたものだ。モリにもそのことがわかっていて、私たちに対して人懐っこい態度を示してくれているのだろうか。

 ところで、マンションの大規模修繕は着々と進み、鳩たちの住むベランダにも、足場を伝って工事を担当してくださっている業者さんが何度か足を踏み入れたようだ。そして、あるとき、私たちの部屋のポストに、工事を担当してくださっている業者さんから、お知らせが入っていた。それは、他のマンションで効果があったという鳩の撃退法だった。工事を担当してくださっている業者さんは、私たちがのベランダに鳩が住み着いて困っていると思い、私たちに鳩を追い払うための方法を伝授してくださったというわけなのだ。それを読んだ私たちは、とても複雑な気持ちになった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ポストに入っていたお知らせを読んだとき、人間としての立場と、鳩の立場の両方について考えました。私たちの中では、鳩との共同生活が成り立っていましたが、世間から見れば、鳩は迷惑な存在なんですよね。このあと私たちは、人間としての立場を守ろうとするとき、鳩を追い払う行動に出るべきなのかとひどく葛藤することになったのです。

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2010.10.19

マンションの大規模修繕(4)

映画『キャタピラー』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。実は、本作の監督を担当された若松孝二監督は、多くの方たちから支持されている監督さんなんですよね。そういう意味で、戦争を背景に、最初から男女のすれ違いを描くつもりだったのだとすれば、監督のその計算が見事に生きている作品だと思います。ただ、私は、作品の中に感動を求めていたのかもしれませんね。それでは、マンションの大規模修繕(3)の続きを書かせていただきます。

 父ちゃんと三番目の母ちゃんは、あれからせっせと子作りに励み、自分の産んだ卵をお腹にくっつけて割ってしまったりしていた頃の母ちゃんとは見違えるほどに子育ての達人になった。そんな中でも不思議だったのは、父ちゃんと母ちゃんの柄(がら)から、かつてのキッコロ柄が生まれたことである。以前から「ガンまる日記」を読んでくださっている方は、キッコロについて良くご存知だろうと思う。私たちは、キッコロ柄の雛が生まれたので、その雛にキッコロと名付けた。何故なら、かつて私たちがキッコロと呼んでいた鳩は、もういなくなってしまったからだ。また、寝室の窓を開けると私たちの手を突付いて来るなど、柄だけでなく性格までもキッコロに良く似ていた。

 それからしばらく経った頃、母ちゃんはまたしても卵を産んだ。そして、新たに生まれたのが、現在、我が家で最も若い鳩である。私たちはその鳩に、モリと名付けた。何故、モリかというと、私たちのベランダからは既にたくさんの鳩たちが巣立って行き、もはや新しい名前を思い付くことができなくなってしまったため、父ちゃんと一番目の母ちゃんの間に生まれた最初の雛に付けたモリゾーから取ったのである。

 さて、マンションが大規模修繕に入る少し前のことである。モリがまだ雛の頃、三番目の母ちゃんが帰って来なくなってしまった。子育てがまだ完全に終わってもいないのに、帰って来ないということは、きっと母ちゃんの身に何かが起こったということだ。私たちは、かつてTKMYにそうしていたように、残された片親の父ちゃんにせっせと餌を与え、たくさんのピジョンミルクを出して、雛が育つよう促した。

 というのも、マンションの大規模修繕が始まってしまえば、私たちの部屋の周りにも足場が組まれ、まだ飛べない雛を残して、父ちゃんたちがベランダに出入りできなくなってしまう可能性もあったからだ。私たち人間はピジョンミルクを出すことができないので、雛の子育ては父ちゃんに任せるしかなかったのである。

 父ちゃんにせっせと餌を与えながら、雛がまだ小さい頃に、夫である初代キッコロがいなくなり、片親だけで雛を育て上げたTKMYのことを思い出した。あのときも私たちは、TKMYにせっせと餌を与え、ピジョンミルクを出すように促したものだった。そのTKMYは、我が家のルーフバルコニーで冷たくなった状態で見付かった。あれは突然死だったのか、それとも、どこかで何か悪い餌を食べさせられたのか、それは未だにわからない。もしかしたら、父ちゃんの三番目の母ちゃんもまた、TKMYのようにどこかで命を落としてしまったのかもしれない。私たちは、モリの成長して行く様子を見守りながら、私たちの部屋の周りに足場が組まれてしまう前に、モリが飛べるようになることを祈っていた。

 この頃になると、ガンモはマンションの大規模修繕に備えて、何度も何度もベランダの掃除をしてくれていた。足場が出来て、工事担当の方が私たちのベランダに立ち入るようになれば、ベランダにある鳩の糞は、工事の邪魔になるだろうと思ったからだ。

 あるとき、ベランダがひどく騒がしいので見てみると、キッコロよりも前に生まれた鳩が、夫婦でモリをいじめていた。ガンモは、モリのためにモリのいる巣の上に庇(ひさし)を作っていた。その庇があれば、モリは雨の日でも濡れずに済んだし、カラスなどの外敵から、とりあえずは姿を隠すことができた。夫婦は、その庇の中で小さくなっているモリを、庇の外に突付き出しているのだ。

 ガンモは、
「多分、今の巣の場所を自分たちの巣にしたくて、モリを追い出そうとしているんだろう」
と言った。確かに、それならば筋が通る。夫婦のモリへの攻撃は次第にエスカレートして行ったので、私は時々ベランダに出て、夫婦がモリのいる巣を狙わないように見張ったりした。とは言え、モリは夫婦に追い掛け回されながら、少しずつ小さな羽をばたつかせていた。そして、ベランダの手すりのところくらいまでは飛べるようになった。

 ガンモはモリが早く飛べるようにと、いつものようにモリを抱えて高い高ーいをして、ベランダの外の景色を見せてやった。ガンモの高い高ーいと、夫婦がモリを追いかけ回したことがプラスに働いたのか、足場が組まれる前にモリは飛べるようになった。やれやれ、これで足場が組まれて父ちゃんが私たちのベランダに出入りできなくなってしまったとしても、モリは自分でどこかに飛んで行って、餌を探せるだろう。私たちは、ひとまず安心したのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m これまでの流れからすると、雛がいる場合、父ちゃんや母ちゃん以外の鳩たちは、雛に対してとても寛大でした。もちろん、子育てを手伝ったりはしませんが、少なくとも、雛をいじめるような行為はこれまで見受けられませんでした。だから、夫婦の鳩がモリをいじめていたことに驚いたわけです。ガンモの言うように、モリがいるところに早く巣を作りたくて、モリを追い払いたかったのかもしれませんが、ひょっとすると、「マンションに足場ができるから、早く飛べるようになれ!」と言って突付いていたのかもしれません。(笑)

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2010.10.16

マンションの大規模修繕(2)

映画『ボローニャの夕暮れ』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m ボローニャは、本作の監督を担当されたプピ・アヴァティ監督の故郷なのだそうです。なるほど、自分なりの表現方法を持っていらっしゃる方は、ご自身が発表する何らかの作品で故郷を表現したくなることがあるのでしょうね。それでは、マンションの大規模修繕(1)の続きを書かせていただきます。

 いよいよ大規模修繕のための工事が始まろうとしているとき、マンションのエントランスには工事用掲示板が設置された。その掲示板は、私たち区分所有者に対し、工事を担当してくださる建設業者が、工事の進み具合などを掲示するために使用された。また、工事用掲示板とともに、工事用ポストも設置され、工事を担当してくださる建設業者から私たち区分所有者に対してしばしば問い掛けられるアンケートの回答を回収するために使用されることになった。

 まず、最初に問い掛けられたアンケートとは、サッシロックの必要個数である。サッシロックとは、サッシを施錠していない状態で、サッシの間に挟み込んでサッシをロックするための便利グッズである。大規模修繕の工事が始まると、マンションの周りに足場が組まれるため、その足場を昇って第三者も外から侵入可能になってしまうことから、泥棒などにも狙われ易くなるらしい。おそらく、マンションの低層階に住んでいらっしゃる方たちは、普段からこまめにサッシを施錠していらっしゃるかと思うのだが、高層階に住んでいらっしゃる方たちは、外部からの侵入者をほとんど想定していないのではないだろうか。そのため、ちょうど涼しくなった今の時期などは、サッシを少し空かせた状態でお休みになっている方たちもいらっしゃるかもしれない。そこで、足場が組まれたとしても外部からの侵入をできるだけ防げるように、大規模修繕の工事が終わるまでの間、工事を担当してくださる建設業者がサッシロックを貸し出してくださることになったのである。私たちもサッシロックを三個申し込み、早速、貸し出されたサッシロックをサッシに取り付けて、第三者が外部から侵入できないように守った。

 工事を担当してくださる建設業者は、工事用掲示板のほかにも、ことあるごとに私たち区分所有者に対し、工事の日程などを細かく知らせるチラシをそれぞれのポストに投函してくださった。また、大規模修繕の工事が始まる頃には、マンションで使用しているエレベータにビニールが張られた。おそらく、工事用の道具をエレベータでせっせと運ぶことになるため、エレベータを汚さないように気を遣ってくださったのだと思う。工事を担当してくださる建設業者のこうした慎重で友好的な歩み寄りから、私たち区分所有者は、初めての大規模修繕に対して抱いていた不安が少しずつ和らいで来たように思う。私たちは、工事を担当してくださる建設業者に対し、好感を抱き始めていた。

 さて、大規模修繕を行うための足場は、マンションのエントランスのあたりから少しずつ組まれて行った。私たちの住んでいる部屋は、マンションのエントランスから一番遠い場所にあるため、足場が組まれ始めてから私たちの部屋の周辺の足場が組まれるまでは、何日も掛かった。私たちはそれまでの間に、父ちゃんに何度も何度も話し掛け、このマンションは今年、大規模修繕が行われることになっていたこと、大規模修繕が行われている間はマンションの周りに足場が組まれるので、父ちゃんたちの出入りに支障が出て来るかもしれないことなどを話して聞かせた。父ちゃんがそれを理解してくれたかどうかはわからないが、少しずつ足場が組まれ始めてからは、最近、どうも様子がおかしいということには気付いていたようだった。

着々と組まれて行く足場

 そして、私たちの部屋の周りにもとうとう足場が組まれた。私たちの部屋は角部屋で、父ちゃんたちが住んでいるベランダの更に奥にはルーフバルコニーが付いている。ルーフバルコニーについては、ご存知の方も多いかと思うが、マンションの屋上が単なる平面ではなく、段々畑のようになっているのをご覧になられたことがあるだろうと思う。私たちの住んでいるマンションも段々畑のようになっていて、五階以上の角部屋に住んでいる人たちにはルーフバルコニーが付いているのだ。ルーフバルコニーは、下の階の敷地が全面バルコニーになっているため、それなりに広い。しかし、荷物の多い我が家は、ある時期からルーフバルコニーに出入りすることさえも困難になり、最近ではほとんど活用できていない。かつてはルーフバルコニーに設置したテーブルとベンチまで食事を運び、そこでガンモと一緒に食事をとっていたこともあった。また、子供用のプールに水を貯めて、水浴びしたこともあった。家庭菜園に目覚めたガンモがプランターに野菜を植えていたこともあった。しかし、最近はそうした生活からすっかり遠ざかってしまっていた。

 私たちの部屋の周りに組まれた足場は、ルーフバルコニーがあるために、完全に部屋を取り囲むようにはならなかった。そのため、足場が組まれも、父ちゃんたちが出入りできるスペースがわずかに残されていたのだ。そのため、父ちゃんたちはわずかに残されたそのスペースから、私たちの部屋のベランダに自由に出入りしていた。中には、組まれた足場に昇ってはしゃぎ回るやんちゃな鳩もいた。

足場が出来上がったあとの我が家のベランダ。一番手前にいるのが父ちゃん

 ひとまず、足場が組まれても、父ちゃんたちの住処を奪うことにはならなかったことで、私たちは一安心したのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 工事を担当してくださる建設業者の方は、こうした工事にかなり慣れていらっしゃるとお見受けしました。自分たちの進捗状況を常に私たち区分所有者に示しながら工事を進めて行く姿にはとても好感が持てました。大規模修繕の工事は何ヶ月も掛かりますので、今後もストレスのないように工事を受け入れて行くことができそうです。

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2010.10.10

マンションの大規模修繕(1)

映画『インセプション』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 他人の夢の中に入り込むために、自分自身も眠るという発想は面白いですよね。そんな高度な技を使えるならば、せめて自分だけでも覚醒している状態でもいいとは思うのですが、数人のプロジェクトを組んで、仲間たちと一緒に眠りに入り、任務を遂行しようとするんですね。自分も一緒に眠り込んでしまうと、自分の夢の中に、自分と同じような実力を持った人が入り込んで来やしないかと、冷や冷やしないのでしょうか。(苦笑)

 私たちの住んでいるマンションも、築十二年が経過した。そこで、かねてからの計画だったマンションの大規模修繕が行なわれることになった。マンションの大規模修繕とは、専門の業者にお願いして、共有部分を中心に、マンションのコンクリートのひび割れの修繕や、外観のタイルの張替え、通路やベランダ、それからバルコニーなどの壁や床の塗り替えを行なっていただくというものだ。私たち区分所有者は、こうした大規模修繕のために、修繕積立金をせっせと貯めていた。

 以前にも書いたが、私たちの住んでいるマンションは、早いうちからマンションを建設した会社の子会社であるマンションの管理会社と縁を切り、自主管理に入った。それは、マンションの管理会社に支払う手数料を節約し、将来的に行なわれる大規模修繕のための少しでも多くの積立金を貯めるためでもあった。そのため、マンション管理に関する多くのことを、一年ごとに区分所有者の中から当番制で選出される管理組合の役員が自ら行なっていた。

 今年はマンションの大規模修繕が行なわれることが決まっていたので、マンションの管理組合は臨時総会を開き、私たち区分所有者に対して、大規模修繕に関する説明と大規模修繕に掛かる費用の承認を求めた。そのときの説明によれば、マンションの大規模修繕を担当してくださる建設業者が決まったとのことだった。そして、工事を仲介してくださる業者さんから、私たちのマンションのあらゆる箇所を専門的に点検してくださった結果報告が行なわれた。それによれば、私たちのマンションは、標準的なレベルで建物のいろいろなところにひび割れなどが発生しているそうだ。大規模修繕の工事を行なうことにより、これらのひび割れを補強することができるという。そして、それらの修繕に掛かる費用についても説明がなされた。それらの説明を聞いた私たち区分所有者は、これまでせっせと貯めて来た修繕積立金の中から、マンションの大規模修繕に掛かる費用として数千万の予算を承認した。

 実際に工事が始まったのは、九月に入ってからのことである。工事を仲介してくださる業者さんの話によれば、夏の間はエアコンを使用するため、エアコンの室外機のあるベランダなどに立ち入る必要のある工事がなかなかはかどらないのだそうだ。そのため、こうした修繕工事は、エアコンの室外機が稼動しない秋から冬に掛けて行なうのが望ましいらしい。

 今回の大規模修繕の対象となるのは、主に共有部分であり、個々の部屋の中までは対象とはならない。しかし、共有部分を修繕するといっても、ベランダやバルコニーなどは個々のプライベートエリアに存在しているはずである。そうした個々のプライベートエリアに工事担当の方たちが立ち入る場合、夫婦共働きの私としては、毎回、立ち会わなければならないのかと心配になってしまった。そこで、説明に来られていた仲介業者の方に質問してみたところ、大規模修繕が始まると、マンションの周りに足場が組まれるため、その足場から個々の共有部分であるベランダやバルコニーに出入りできるようになるとのことだった。そのため、立ち会いは必要ないという。ただ、各戸の入口のドアの塗装を行なうときだけは、ドアを開閉する必要があるため、立ち合いが必要なのだそうだ。

 私は、ドアの塗装以外は立ち合いが必要ないと聞いて安心したものの、マンションの周りに足場が組まれるということについて、少々不安を覚えた。何故なら、ここしばらくの間、他に書きたい記事がてんこもり状態だったために、改めて記事には取り上げていなかったが、私たちの住む部屋のベランダには、鳩の父ちゃんたちがずっと住んでいたからだ。マンションの回りに足場が組まれることになれば、父ちゃんたちはベランダに出入りできなくなってしまうのではないか。そんな不安が心をよぎったのである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 街を歩いていても、マンションの周りに足場が組まれ、修繕工事をしているのをしばしば見掛けますが、あれはマンションが建設されたときからの計画によるものだったのです。それにしても、足場を渡り歩くような仕事は、高所恐怖症の私にはとてもできない仕事であります。(苦笑)

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