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2015.05.16

映画『パレードへようこそ』

カングージャンボリー2014(2)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 昨日は暑かったですね。仕事帰りに梅田で映画を鑑賞して帰宅したのですが、一週間前に同じように映画を観た帰りはとても涼しかったのに、ゆうべは暑かったです。今日は、ゆうべ鑑賞したばかりの作品のレビューを書かせていただきます。

 本作を鑑賞したのは、五月十五日のことである。劇場で鑑賞したばかりの作品である。

 LGSM(Lesbians and Gays Support the Miners)という炭坑労働者支援のためのレズビアン&ゲイ会がイギリスのサッチャー政権下において、募金活動を続けながら、閉鎖されようとしている炭鉱で働いている人たちを支えようとする実話をもとにした物語だ。

 いきなり、「ゲイ・プライド」を掲げたパレードのシーンが登場するので、ひょっとしたら、日本人にはわかりにくい作品かもしれない。「ゲイ・プライド」は、ゲイやレズビアンなどの同性愛主義者も、プライドを持つべきだとする思想のことで、ヨーロッパなどでは「ゲイ・プライド」を掲げたパレードが行われている。数年前にオランダのアムステルダムを旅行したとき、たまたま「ゲイ・プライド」のパレードの時期に当たり、街角で「ゲイ・プライド」のポスターを目にしたり、同性愛を支持する意味を持つピンクのものを身にまとった人を見掛けた。

「ゲイ・プライド」のポスター(アムステルダムで撮影)

同性愛を支持する女性(アムステルダムで撮影)

 本作の時代背景は一九八四年だが、日本よりも開けていると感じた。何故なら、「ゲイ・プライド」を掲げるパレードが行われたりして、同性愛を貫こうとしている人たちが「本当の自分」を隠していないからだ。もちろん、まだまだ偏見を持っている人たちも多いのだが、公の場で同性愛主義者であることを表明できるのは、同時期の日本に比べて進んでいると感じたのだ。

 一九八四年というと、ちょうど私が浪人中だった頃である。いや、正確には浪人中というよりも、いったん入学した大学を休学中だったのだが、再受験して入学した大学の写真サークルにホモの先輩がいた(ゲイではなく、確かホモだったと思う)。その先輩は、現役で入学していたので私と同い年だったが、芸術的感覚がとても素晴らしく、いい写真を撮る人だった。写真サークルでは、自分が同性愛主義者であることをカミングアウトしてはいたものの、やはり他の人たちとは価値観が合わなかったのではないかという気がしている。私自身はというと、同性愛に対してまったく偏見を持っておらず、むしろ支持したいくらいだと、本作を鑑賞して強く感じた。

 本作では、同じような境遇の人たちが同じ目的を持って集い、連携を強めて行く。その結び付きの強さは、日常では感じられないほど強いもので、鑑賞していてうらやましく感じるほどだった。「仲間」という意味においては、私自身は、人生を大きく変えてしまうほどの出会いをまだ果たしていないのではないかという気がした。

 本作の中では、閉鎖されようとしている炭鉱で働いている労働者たちを救うために、ゲイの男性がまず立ち上がり、募金活動を始める。しかし、ある程度の募金は集まったものの、その募金を活用してもらうまでには至らなかった。そこで、せっかく集めた募金を活用してもらうために、募金を受け取ってくれる労働者団体を探し始めるのだが、LGSM(Lesbians and Gays Support the Miners)の名前を耳にしただけで断られてしまうのだった。そんな状況の中、ある勘違いから、ウェールズの炭坑町ディライスの役場が募金を受け取ってくれることになった。そこから、LGSM(Lesbians and Gays Support the Miners)と炭坑町ディライスの繋がりの第一歩が始まる。

 とは言え、ディライスの人々も、最初は偏見に満ちた反応だった。鑑賞していても、「これはまずいんじゃないの?」と心配になるほど冷めた反応だった。思えば、両者は住んでいる場所が離れているばかりか、立場も考え方もまったく違っている。何とかして接点を持とうとしても、偏見のために場が凍り付いてしまったりする。鑑賞しながら、私は、「受け入れない」ということは、何ともったいないことだろう」と感じていた。違うものを受け入れることは、自分自身の器を広げることになるというのに・・・・・・。

 しかし、そんな心配も最初のうちだけで、やがて「接点」を見出した両者が互いに距離を縮めて行くプロセスを見守るのはとても心地よかった。それでも、最後まで頑なに受け入れを拒否する人たちもいた。

 本作の中では、LGSM(Lesbians and Gays Support the Miners)がディライスを訪問したり、逆にディライスの人たちがロンドンを訪問したりと、ロンドンとディライスを往復するシーンが何度も見受けられた。実際に、ロンドンとディライスはどれくらい離れているのか地図で確認してみたところ、こんな感じだった。

ロンドンとディライスの位置関係

 距離にするとおよそ二五〇キロで、車での移動時間は三時間二十分ほどのようだ。日本に置き換えると、横浜と名古屋を車で移動するようなものである。

 配役としては、ディライスの役場の書記を、私の好きなビル・ナイが演じている。役場の委員長を演じるイメルダ・スタウントンも実に個性的で良い。ダンスを披露するドミニク・ウェストも大変魅力的だ。英語としては、私が普段聞き慣れているイギリス英語と、ウェールズ語の違いをはっきりと感じ取った。

 また、ゲイになりたての若者ジョーが、両親の理解を得られないために家を出てしまうのだが、かつて同じような立場だったゲイの仲間がのちに母親と和解して行くのを見届けると、理解してもらうのに時間が掛かるだけなのだと安心する。しかし、その一方で、ゲイ同志の交際にはエイズという恐ろしい病気の問題が潜んでいることも匂わせている。

 万事OKでなくても、とにかく、これが実話というのだから素晴らしい。理解者が得られなくて問題を抱えている人たちに希望を与えてくれる作品である。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 「閉じているものは必ず開かれる」という教訓でも生まれそうな作品でした。大きなエネルギーを感じた人が、これまでの持ち場を離れて大きなエネルギーを感じる場所へと流れて行くことも理解できました。同じ意志を持った人たちの集まりは、何ものにも換え難い絆を育んで行くのですね。そんな出会いを果たせたら、きっと人生は大きく変わって行くのでしょう。

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