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2015.05.20

映画『ピアノ・レッスン』

ホットヨガ(四四〇回目)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 有給休暇が余っているので、今度の金曜日は休暇を取って、久し振りに映画三昧の一日を過ごそうと思っています。映画の上映スケジュールとにらめっこしながら、一日の鑑賞予定を立てたのですが、どう頑張っても一日に五本までの鑑賞が限度でした。(苦笑)

 本作を鑑賞したのは、五月十六日のことである。本作もまた、U-NEXT<ユーネクスト> | 日本最大級のビデオ・オンデマンドで鑑賞した。

 実は、ずっと以前にレンタルビデオ屋さんで本作のビデオを借りて鑑賞しているのだが、U-NEXT<ユーネクスト> | 日本最大級のビデオ・オンデマンドに登場したので、何年か振りに鑑賞してみた。最初に鑑賞したときも、とてもいい作品だと感じたが、改めて鑑賞してみて、とても美しい作品だと思った。この美しさは、女性監督ならではの表現力から来るものかもしれない。

 言葉を発することができない女性エイダが小さな船に乗って、スコットランドからニュージーランドにお嫁にやって来る。彼女にとっては再婚で、娘のフローラと一緒だ。

 話すことができないエイダにとっては、ピアノが唯一の自己表現の手段である。それなのに、彼女の夫となるスチュワートは、浜から自宅までの道のりが悪いからと、浜にピアノを置き去りにしてしまう。もう、この時点から、物語の大切な要素が顔をのぞかせている。

 ピアノ以外の荷物は、数人の原住民の力を借りて、自宅まで運び込まれる。確かに、自宅までの道のりにはぬかるみなどもあり、足場が悪かった。しかし、見知らぬ土地で新しい生活を始めようとしているときに、エイダにとって唯一の自己表現手段でもあるピアノと引き裂かれてしまうというのは、この結婚生活がうまく行かないであろうことを暗に予測させる。

 そこからは、すべてが対比として描かれている。エイダのピアノを取り上げてしまった夫のスチュワートと、エイダとピアノと結び付けてくれた男性ベインズとの対比である。

 夫のスチュアートは入植者で、白人である。一方、エイダとピアノを結び付けてくれたベインズは、原住民のマオリ族と同化している。同化しているというのは、もともとは入植者だったが、現地に馴染んだということなのだろう。

 鑑賞する人が、登場人物の中の誰に自分を投影させるかはそれぞれだが、私はエイダの立場で作品を鑑賞していた。そのため、スチュワートがベインズ所有の土地を譲ってもらうために、ピアノとの引き換えに承諾したシーンはとても腹立たしかった。

 そこからエイダをめぐって、スチュワートとベインズの運命が大きく分かれて行くのだが、そもそも、スチュワートはエイダのことを本当に愛していたのだろうか。どうも、作品を鑑賞する限りでは、お互いに良く知らないままに結婚を決めたように思えたのだ。

 そのため、スチュワートの中にあるのは、エイダに対する所有欲のみであり、エイダを真に愛してはいないのではないかと感じた。

 その一方で、ピアノを武器にエイダに接近して行くベインズもまた、最初のうちはエイダに対する欲望しか存在していなかったように思える。何故なら、エイダに自分の欲望をぶつけて行く過程において、エイダがスチュワートの妻であることに対するためらいも描かれておらず、自らの欲望のみでエイダを求めているように思えたからだ。

 しかし、ピアノを弾くエイダが真のエイダならば、その真のエイダに最も近い存在であったベインズのほうが、スチュワートよりもエイダとの距離をどんどん縮めて行く。そこが何とも皮肉なところなのだが、何しろスチュワートは所有欲だけでエイダを愛してはいなかったのだから仕方がない。

 ベインズはエイダを理解し、エイダの欲しがるものを与えた。そこに打算が働いたと言えなくもないのだが、最終的には二人は愛の領域へと足を踏み入れただろうと思う。

 エイダを愛さないのに、自分のことを愛して欲しかったスチュワートは、ピアノ、そして、○(ネタバレ防止のため伏せ字)と、エイダにとって大切なものを次から次へと奪って行く。そう、愛さずに奪い続けるのだ。一方、最初は欲望から始まったものの、エイダを理解し、エイダが欲しがるものを与え、エイダを愛した愛人ベインズ。その対比が見事な作品なのである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 娘のフローラを演じていた子役の女の子は、オーディションで選ばれたのだそうです。素晴らしい演技力でした。古い作品なので、フローラ役の女の子も、今では立派な女性に成長しているのでしょうね。

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