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2013.11.26

振り返り(17)

これも一つの別れの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。今日は、今の私に最もしっくり来る内容が書かれているブログを二つ、ご紹介させていただきます。阿部 敏郎さんのいまここと雲 黒斎さんのもっと あの世に聞いた、この世の仕組みです。どちらのブログも男性が書かれていて、常に、私が参加しているブログランキングの上位に位置しています。お二人はブログを通じて出会い、コラボセミナーも開催されています。そのコラボセミナーの映像を貼り付けておきますので、お二人の紡ぎ出す世界が心地良いと感じられる方はご鑑賞くださいませ。それでは、振り返り(16)の続きを書かせていただきます。

 ほとんど眠れないままの夜が明けた。父は、母が亡くなる前日の夜も、また、通夜のあともほとんど寝ていないというのに早々と起き出して、実家に帰って行った。そして、母のお棺に入れるために、母が庭で大事に育てていた花を摘んで来てくれた。また、早朝から営業しているスーパーにも寄って、母が大好きだったスイカや免疫力アップのために食べていたバナナを買って来てくれた。

 私はというと、七時過ぎに母の兄弟に電話を掛けた。有り難いことに、母の三人の兄弟全員に電話が繋がり、十一時からの葬儀に参列してくれることになった。母が亡くなったことの電話連絡を母の従姉妹らにお願いしていたのだが、昨日のうちに電話連絡がつかなかったことと、また、気が付いたときには既に二十三時を回ってしまっていたので、夜遅くに電話を掛けるのは控えたことを添えておいた。とは言え、母の妹には、夜遅くても知らせてくれたら良かったのにと言われてしまった。

 私たちは朝食を軽く済ませ、斎場で使用させてもらった布団を片付けた。九時から納棺の儀が行われることになっていたので、母のお棺の中に入れてあげる想い出の品々をまとめたりして過ごした。

 九時前になると、前日の夜に打ち合わせをした女性の斎場スタッフが来てくださり、納棺の儀が行われた。納棺の儀とは、映画『おくりびと』で有名になった儀式である。とは言え、田舎の小さな斎場なので、映画『おくりびと』ほど本格的なものではなかった。

 納棺の儀には、何人かの親戚の人たちも集まってくれていた。女性のおくりびとは、私たちに、
「これから皆さんにもお手伝いいただいて、納棺の儀を行いたいと思います」
とおっしゃった。更に、
「故人には、今の皆さんのお声が聞こえていると言われております」
ともおっしゃった。私はそれを聞いて安心した。例え一方通行であったとしても、私たちの感じていることが母に伝わればいいと思っていたからだ。

 女性のおくりびとが、母の寝ている掛け布団をはがすと、両手を組んだ母の身体が見えて来た。病院から斎場に運ばれたとき、母のあごは大きな白いシュシュのようなもので固定されていたが、両手も同じように、白いシュシュのようなもので固定され、両手を組んだ状態が保たれていた。そして、その下にはドライアイスが置かれていた。まだ暑さの残る九月の初めだったので、もはや機能が停止してしまった母の身体の状態を保つために、こうしてドライアイスで冷やされていたのだった。

 母が脱ぎ捨てた肉体には、仏衣と呼ばれる、死後の旅立ちに必要なものを着けることになっていた。納棺の儀に集まって来てくれた親戚の人たちも手伝ってくれて、母に仏衣を着せてあげた。

 私は、母の左足に足袋を履かせてあげた。足袋の紐は、ほどけないように固く結び切った。手や顔と同様、母の足もまた、体温を失い、冷たくなってしまっていた。母は、もう生きてはいないのだと認識するしかなかった。悲しいことに、母の右足は、亡くなってからもひどく腫れ上がったままだった。もしかすると、この右足にできてしまった血栓が命取りになってしまったのかもしれないと思うと、腫れ上がった右足を見るのはとても辛かった。

 両足には足袋と脚絆(きゃはん)を履かせ、手には手甲(てっこう)と呼ばれる、田植えをする人たちが着けているようなものを着けた。どの結び目も、固く結び切るように女性のおくりびとに言われた。そして、頭には三角布をかぶらせ、母があの世に行くのに必要な六文銭を頭陀袋(ずだぶくろ)の中に入れた。

 こうして旅立ちの準備が整うと、母の下に敷いていた布団を数人で持ち上げ、母の亡骸をお棺の中にゆっくり収めた。そして、お棺の中には、母の好きだったものを次々に詰めて行った。お米などは母の手の届くところに入れて、果物などの水分の多いものは、母の足元に置いた。実家の庭で母が大事に育てていた花も、母が良く着ていた普段着も入れた。伯母が見付けてくれたロングスカートも、弟が母のために買った花の図鑑も入れた。そして最後に、母の着物をそれらの上からそっと掛けた。

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