« 振り返り(1) | トップページ | 振り返り(3) »

2013.09.21

振り返り(2)

振り返り(1)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。先日の台風の被害がひどい地域がありますね。遅ればせながら、被害に遭われた地域にお住まいの皆さんにお見舞い申し上げます。天災の影響を著しく受けてしまうのも非常に辛い状況ではありますが、例えどんな状況に陥ったとしても、決して失うばかりではないと思いますので、その辛い経験から得られる何かを感じ取ってくださいね。それでは、振り返り(1)の続きを書かせていただきます。

 母の魂が肉体を去ってしまう一週間ほど前から、母は一日のうちに八百cc程度の尿しか出なくなってしまっていた。栄養補給が高カロリー輸液に切り替わるまでは、一日に二千ccを越える尿が出ていたはずだった。母は寝た切りの状態だったので、尿道カテーテルを通して尿を排泄していたが、多いときには尿を貯める袋がパンパンになり、通常の時間帯とは別の時間帯に、尿を貯める袋に貯まった尿を抜いてもらっていたほどだった。

 しかし、肺炎を引き起こし、口からの食事が止められてしまってからは、水分補給もままならず、一日千cc程度の高カロリー輸液で栄養と水分を補っていた。他に、脳浮腫を抑えるための点滴を受けていたが、それを水分補給と表現できるかどうかはわからない。看護師さんによれば、尿のほかに汗も出ているはずなので、一日千cc程度の水分補給で八百cc程度の尿が出ているのであれば、それほど問題視はされていないようだった。

 父や私は、母が口からものを食べることだけを禁じられていると思い込み、少しの間、吸い飲み(寝たままで飲める容器)を使って母に水やハーブティーを飲ませていた。あるとき、私が母にハーブティーを飲ませているところに看護師さんが入って来て、
「お茶をあげているんですか?」
と驚かれてしまった。私は、
「食べ物を食べさせてはいけないとは聞いていましたが、飲み物については聞いていなかったので、喉が乾いていると思い、飲ませました」
と言った。すると、看護師さんは難しい顔をしながら、
「ちょっと、聞いて来ますね」
と言って、いったん病室から出て行かれた。

 そして、間もなくすると、別の看護師さんを伴って、病室に戻って来られた。別の看護師さんは、とても優しい口調で、
「今は肺炎を引き起こしているので、口からの飲食物はすべて止めているんです」
とおっしゃった。私は、
「わかりました。すみません」
と言って謝った。

 しかし、私は、母が口からの水分補給を望んでいるのではないかという気がして仕方がなかった。そのことを優しい口調の看護師さんに告げると、
「そうですね。何を優先させるかということがとても難しいんですけれども、やはり今は、口元を湿らせる程度にしてあげて、口からは何もあげないようにしてください。」
と言われてしまったのだった。そこで、別の看護師さんに口元を湿らせる方法を教わり、ガーゼに水を染み込ませ、母の口元に持って行くようにしたのだ。母は、やはり口からの水分補給を望んでいたようで、私が水で湿らせたガーゼを母の口元に持って行くと、湿ったガーゼを口に含もうとした。

 当時の母は、微熱が続いていた。時折、咳もしていたが、かなり弱い咳だった。医師曰く、人間は、口からものを食べることで、体内の電解質を適切な状態に保っているのだそうだ。しかし、口からものを食べられなくなってしまうと、どんなに点滴で栄養分を補ったとしても、電解質の調整がひどく難しくなってしまうのだそうだ。実際、母はカリウムとナトリウムが極端に低下していた。そのため、元気がなく、咳をするにしても非常に力のない弱々しい咳しかできなかったようだ。私は、母が肺をかばって、弱い咳をしているのではないかと思っていたのだが、どうやらそうではなかったようだ。母のがんは、原発巣が肺であったとしても、肺にあるがんが極端に進行していたわけではなく、やはり転移性脳腫瘍のほうが深刻だったのだ。

 こうした状況に加え、母の魂が肉体を去ってしまう二日ほど前から、母は右足だけがひどく腫れ上がってしまったそうだ。父が二時間ほど掛けて、母の右足をリンパの流れに沿ってマッサージしてくれたようだが、一時的に腫れは引いたものの、またすぐに腫れ上がってしまったのだそうだ。

 父は、院長に母の右足を診てもらったようだが、院長は、
「循環系がようないね(良くないね)」
とおっしゃっただけで、特に何の対処もしてくださらなかったという。ひょっとすると院長は、次の日の午後に、院長とは別の医師が母の右足の腫れを診てくださることになっていたのをご存知だったのかもしれない。

 私は、母の右足だけがひどく腫れ上がっていると父から聞いて、母の右足に血栓ができてしまっているのではないかと心配していた。もちろん、魂が肉体を去って行く直前になると、足に浮腫(むくみ)ができてしまうことも知っている。しかし、片方だけの足が腫れ上がっているというのは、やはり血栓ができていたのではないだろうか。血栓ができると、血の固まりが肺に達したときに、命取りになってしまうのだ。これはあとからわかったことだが、寝た切りになってしまうと、血栓ができやすくなってしまうらしい。そして、血栓を予防するには、水分補給が大切なのだそうだ。

|

« 振り返り(1) | トップページ | 振り返り(3) »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18521/58217073

この記事へのトラックバック一覧です: 振り返り(2):

« 振り返り(1) | トップページ | 振り返り(3) »