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2013.07.31

映画『東ベルリンから来た女』

自転車のシフト(前編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。久し振りにカメのリュックを背負って出掛けたところ、エレベータの中で見知らぬおばさんに声を掛けられました。「カメのリュック? 背負っとるだけでも楽しいねえ」とニコニコしながら言ってくださいました。ちなみに、カメですが、「メ」にアクセントがありました。

 本作を鑑賞したのは、三月二日のことである。鑑賞したとき、私はこういう作品が好みなのだと実感した。こういう作品とは、表面的には激しさがなくても、心の中にいろいろな想いを秘めていて、言葉には現れて来ない作品である。

 ただ、邦題に惑わされて、主人公の女医バルバラがいる場所が良く理解できていなかった。私は、バルバラが東側から西側に移動して来たのだと思い込んでいたのだ。しかし、良く考えてみると、東側から西側への移動は容易ではない。それは、去年の夏休みに、ガンモとベルリンに出掛けたときに実感したことだ。

 ベルリンにある博物館は、どこも資料が豊富で、単に見るだけの博物館ではなく、詳細な資料を読んで体験する博物館だった。訪れた博物館の中には、東側から西側へ逃亡するための様々な試み(車のボンネットの中に隠れたり、熱気球に乗って逃亡したりなど)が紹介されていた。

 ベルリンの壁が崩壊してから二十年以上経過してもなお、ベルリンにはまだまだ華やかな雰囲気はなく、抑制されていた時代を感じ取ることができた。しかし、ベルリンは何だか変な場所だなあと感じていても、リアルタイムで消化することができずに、帰国してからずいぶん尾を引く場所であるように思う。

 東西ドイツの冷戦時代を描いた作品としては、映画『善き人のためのソナタ』が記憶に新しい。映画『善き人のためのソナタ』の中にも登場した東ドイツの秘密警察シュタージが本作にも登場する。

 映画『善き人のためのソナタ』の中でのシュタージの活動は、概ね盗聴に留まっていたが、本作のシュタージはもっといやらしい。西側への移住を希望したバルバラの住む家を家宅捜索したり、バルバラを裸にして、肉体をことごとく調べ上げたりするのだ。シュタージのそうした行為に反発できないバルバラもお気の毒である。これが国家権力というものなかと驚いてしまう。

 東ベルリンの大学病院から田舎の病院にやって来たバルバラは、西側への移住を望んだことで左遷という形になる。そのため、赴任先の病院でも他の医師やスタッフたちに心を開こうとしない。それでも、矯正収容所(強制収容所ではないらしい)から逃げて来た少女ステラや難病を抱えた少年マリオとの出会いを通じて、少しずつ変わって行く。バルバラは、彼らと出会うことによって、女医として、人間としての使命を思い出したようにも思える。

 そんな状況の中に、西側にいる恋人との密会を重ね合わせて、バルバラの中の医師としての責任と、女性としての望みを葛藤させるように描かれた、一見、静かでも内面は揺れ動く優れた作品なのだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m バルバラが自転車に乗って通勤する姿が印象的でしたね。何かを心の奥に秘めていることを匂わせる女優さんの配役もぴったりだと思いました。しばらく経ったら、DVDでじっくり鑑賞し直したい作品の一つです。

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