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2012.07.27

映画『ヘルタースケルター』

ファースト・イレッサ(8)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 久し振りに届いた友人からのメールに、母の病状を気遣う言葉が含まれていて、とてもうれしく、そしてとても有り難く思いました。中には、まるで腫れ物には触りたくないかのように、敢えてその話題を避けようとする友人もいれば、母の病気のことを伝えたときに丁寧なお見舞いの言葉をもらったというのに、何ヵ月か経ってみると母の病気のことなどすっかり忘れてしまって、初めて耳にしたかのような態度を取る人もいます。これらの出来事を通して、人とどのように付き合って行くかについて、常に考えさせられています。

 今回は、今日鑑賞したばかりの本作のレビューを書かせていただくことにする。

 ここのところ残業続きだったのだが、今日は上司が早めに仕事を上がるというので、私も上司と同じ時間に仕事を上がることになった。派遣社員の私は、上司が職場に残っていなければ残業できない決まりになっているのだ。

 せっかく早めに仕事を上がることができたので、いつものミニシアターで奥深い作品を鑑賞したかったのだが、上映スケジュールが合わなかったため、自宅の最寄駅まで移動して、自宅近くの大型映画館に出向き、本作をレイトショーで鑑賞したというわけだ。

 本作は沢尻エリカちゃんの芸能界復帰作ということで、公開前からかなり注目されていた作品で、およそ二週間前に公開されてからも、かなり話題に昇っていた。金曜日の夜のレイトショーは、いつもほどんど混まないのだが、今回は最前列まで埋まっていた。いつもは空席が多く、ゆったりと鑑賞できるのに、私の隣にも人が座っていたので、何となく緊張気味で鑑賞に臨むことになった。

 驚いたことに、映画館に足を運んでいる人たちの多くは、二十代か三十代の女性たちばかりだった。それだけ女性たちに、主演の沢尻エリカちゃんの人気が高いということなのだろうか。彼女は確かに美しく、本作の主人公りりことかぶるところもある。

 美しいモデルとしてトップスターの座についたりりこには、全身を美容整形しているという大きな秘密があった。また、美容整形された状態を保つために、免疫抑制剤を服用し続けなければならなかった。その上、りりこは美容整形の後遺症にも苦しめられていた。完璧な美しさを手に入れてしまったばかりに、その美しさを維持することに細心の注意を払わなければならなかった。

 本作で扱われているのは女性の美しさだが、面白いのは、見た目の表面的な美しさだけが描かれ、内面の美しさはどこにも描かれていないことである。それどころか、ようやく手に入れた見た目の美しさを保つために、りりこは人には言えないようなことも重ねて行く。見た目の美しさとは裏腹に、りりこの内面は、公にはできないものばかりだったようだ。それもそのはずで、最初から全身美容整形という特殊な手段を使って、本来の自分とはまったく別の自分を作り上げてしまっているために、創造物としての新たな自分を守ることに必死なのだろう。

 そんなりりこと対照的に、水原希子ちゃん演じる天然の美しさを放つ後輩モデルも登場する。いろいろな雑誌の表紙が、りりこから彼女へと切り替わって行く。

 そんな中、窪塚洋介くん演じる恋人の南部貴男が別の女性と結婚することを知る。りりこと南部との大胆なラブシーンが話題になっている本作だが、りりこの目にも南部の目にも、互いに相手を心から愛しているときに放つ目の輝きがない。そのため、二人は欲望レベルで結び付いているのだと思っていたが、やはりその通りだったようだ。

 モデル事務所の所長を演じている桃井かおりさんは、実にはまり役である。また、いつもは圧倒的な存在感を放つはずの寺島しのぶさんも、今回は主役を食わないりりこのマネージャーという地味な役柄だ。メイク係の新井浩文くんも、ずいぶんはまり役である。

 個性豊かな登場人物が多い中で、本作に似合わない至ってノーマルで真面目な登場人物も出て来る。大森南朋さん演じる検事の麻田誠である。彼は、美容整形クリニックをめぐる事件を追っているのだ。

 本作には、まるで美しさを求める女性たちの聖地であるかのように、渋谷の街が象徴的に写し出されている。私は、そこに写し出されている渋谷の街並みに驚いた。結婚前までは東京に住んでいて、渋谷にも良く自転車で出掛けていた私だったが、いつの間にかMEN'S 109ができていた。かつての渋谷と言えば、109のほかには西武百貨店や丸井が象徴的だったというのに。

 渋谷の街が移り変わって行くのと同じように、ギャルたちの興味の対象もまた移り変わって行く。誰も、いつまでも同じ場所に留まり続けることはできない。そのことを理解した上で、親から受け取ったものや、緩やかに変化して行く自分自身を受け入れることができれば、りりこの人生もまた違ったものになっていたかもしれない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 普段、愛に溢れた生活をしている人が本作を鑑賞すると、本作の中に何らかの愛を探し出そうとして見つけ出せず、辛くなるかもしれませんね。私は最初から、本作の中に愛を期待してはいませんでしたので、大丈夫でした。(苦笑)しかし、ここに描かれていることに嫌悪感を抱くまでには至らなくても、もう一度観たいと思えるような作品ではなかったですね。

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「ヘルタースケルター」★★★☆ 沢尻エリカ、桃井かおり、大森南朋、 寺島しのぶ、綾野剛、水原希子、 新井浩文、鈴木杏、寺島進、哀川翔、 窪塚洋介、原田美枝子出演 蜷川実花監督、 127分、2012年7月14日公開 2012,日本,アスミック・エース (原題/原作:ヘルタースケルター) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 「色んな意... [続きを読む]

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