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2012.03.02

一人、また一人(14)

頑固もののガンモ(後編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 少し間が開いてしまったのですが、今回は、およそ二年振りに一人、また一人(13)の続きを書かせていただきます。

 あれから早くも二年の月日が流れようとしている。まだ皆さんにはご報告していなかったのだが、実はその間に、私の所属している派遣会社から、新たに二人の派遣社員が採用された。そのうちの一人は、二年前に派遣契約を終了させられた派遣仲間のポストに就いたので、私としては何とも複雑な気持ちだった。あれほど急いで派遣契約を終了させたというのに、わずか一年程度で体制が変わってしまったことに、戸惑いを覚えたものだった。

 しかし、私のそんな複雑な気持ちをよそに、新たに仲間に加わった二人の派遣仲間たちは、私の中から私自身とも言える大切なものをどんどん引き出してくれる貴重で有り難い存在だった。そのため、休日に三人で飲みに行ったり、職場では話せないようなことをメールで交わし合ったりもした。私は、この五月で現在の派遣先での就業期間がちょうど十年になるのだが、これまで現在の派遣先でいろいろな派遣仲間たちとの出会いを果たして来たものの、彼女たちほど中身の濃い付き合いに発展したのは初めてだった。

 しかし、昨年末あたりから、何となく派遣先企業の中で「予算が厳しい」という声を聞くようになった。私もとうとう現在の派遣先との契約が終了してしまうのだろうかという不安を抱えながら派遣先企業の様子をうかがっていたところ、つい先日、派遣会社の営業担当が、私たち派遣社員の次期の契約更新について話を伝えにやって来た。

 派遣先企業に派遣会社の営業担当がやって来ると、派遣社員が一人ずつ営業担当と個別に面談をする。その順番はいつも、その派遣先企業に就業した順である。すなわち、私が一番の古株なので、いつも私が一番に呼ばれるわけだ。

 派遣会社の営業担当は、派遣先企業の上司らと話をした直後に、私に声を掛けてくださった。立ち話も何なので、一階にある打ち合わせスペースに向かう途中で、派遣会社の営業担当から、驚くべきことを聞かされた。何と、私を含めた古株の派遣社員は次期も契約更新がなされるのだが、私と仲の良かった二人の派遣社員が契約終了になってしまうというのだ。

 それを聞いた途端、私は階段を降りていた足を止め、そこに立ち止まった。営業担当も、私が彼女たちと仲良くさせてもらっていることを良く知っていたので、一緒に立ち止まって、
「辛いですよね」
と言った。私は、
「そのことを、これから二人に伝えなければならないんですよね」
と営業担当に言った。営業担当も、このようなことを派遣社員に伝えるのはとても辛そうだった。その後、一階の打ち合わせコーナーで営業担当と話をしたのだが、私は最初から最後までずっとため息をついていたのだ。

 私が面談を終えたあとは、まるでバトンを渡すかのように次から次へと派遣仲間を呼んで、すべての派遣社員が営業担当との面談を終えた。契約終了になってしまう派遣仲間が営業担当と話をしているとき、彼女たちがどんな気持ちで営業担当の話を聞いているのかと思うと、私の胸は潰されそうだった。

 営業担当との面談が終わったあと、契約終了になる派遣仲間の一人と女子トイレで会った。私は彼女の顔を見るなり、こらえ切れない思いが募り、涙目になってしまった。彼女に声を掛けたもののの、何と言ったかは覚えていない。ただ、この結果がとても残念で、彼女たちがいなくなってしまえば、とても寂しくなることを伝えたように思う。
 しかし、彼女は私よりもずっと気丈で、この契約終了をむしろポジティブにとらえていた。私は、どんなときも被害者になろうとはしない彼女の強さをひしひしと感じ取った。

 その夜、もう一人の派遣仲間も含めて、職場で会えなくなる寂しさをメールに綴って送付したのだが、そのメールに対してもらった返事もまたずいぶんポジティブだったので安心した。彼女たちに言わせてみれば、この結果に一番衝撃を受けて落ち込んでいるのは、他の誰でもなく私らしい。職場で会えなくなっても、こうして連絡を取り合うことができるのだから、心配しなくていいというようなことまで言われてしまった。どうやら私は、一人でメソメソしてしまっていたらしい。

 彼女たちとの職場での分かれが辛いのは、彼女たちとは心の世界を共有することができたからだと思う。これは、とても簡単なことのようでいて、これまで職場で出会った人たちとは実現できなかったことである。だから、彼女たちと職場で会えなくなってしまうのがこんなにも寂しいのだろう。

 しかし、私自身も彼女たちとの職場での分かれを、もっとポジティブにとらえてみようと思う。新たなステップへと踏み出すために、職場で顔を突き合わせてコミュニケーションを取るという古い皮を脱ぎ捨てようとしているのかもしれないのだから。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 一人でメソメソしていて、何だか情けないですね。(苦笑)今回のことは、これからももっと関係を発展させて行くための新たなステップなのかもしれません。二人ともとてもポジティヴな姿勢なので、きっと次の仕事もすぐに決まるでしょう。ポジティヴな彼女たちを応援したいと思います。

人気blogランキングには、もともとブログの書籍化を夢見て参加させていただきました。まだまだほど遠いですが、私の夢を応援してくださると、大変うれしく思います。
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