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2012.02.05

映画『不惑のアダージョ』

まるみ流しゃっくりの止め方の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 高齢者の方が入浴時に脳卒中などを起こして心肺停止状態に陥る事故が増えているそうですね。原因は、脱衣場や風呂場と、浴槽内の温度差によるものらしいです。こうした事故を防ぐために、脱衣場やトイレに置く暖房器具を探していたのですが、場所を取らず、天井からぶら下げる明かりと一体になった暖房器具があると知り、実家の両親のために注文してみました。私の実家は古い木造なので、脱衣場も風呂場もトイレもひどく寒いのです。まだ注文したばかりですが、この効果に期待しています。

 今回は、二月四日に鑑賞したばかりの作品のレビューを書かせていただくことにする。梅田店のスタジオでホットヨガのレッスンを受けたあと、いつものようにミニシアター系映画館で映画を鑑賞することにしたのだが、その日が公開初日の作品で、しかも上映終了直後に井上都紀(いのうえつき)監督によるティーチインが行われるという。ティーチインとは討論集会のことで、言わば観客を巻き込んだトークショーのようなものだ。要するに、作品の鑑賞直後に、その作品の内容について、監督自身に質問できる場が設けられるのだ。

 私がしばしば足を運んでいるそのミニシアター系映画館では、ときどきこのようなイベントが開催されているのだが、舞台あいさつやトークショーが行われる回の上映はひどく混雑していることが多く、時にはチケットを購入できないこともある。しかし今回は、上映の二時間ほど前にチケットを購入したにもかかわらず、まだ満席ではなかったので、期待感いっぱいの鑑賞となった。ちなみに、上映終了直後にティーチインが行われるため、予告編の上映はなく、いきなり本編からの上映となった。

 同じ劇場で、本作の予告編を何度か観ていたのだが、シスター(修道女)が主人公なので、厳粛なシスターがいつしか神への道を踏み外してしまう作品なのだと勝手に思い込んでいた。しかし、実際に鑑賞してみると、私の予想とは違っていた。そんな先入観を持って鑑賞したからなのか、スクリーンの中で何か特別なことが起こりそうなのにとうとう起こらず、いつの間にか終わりを迎えてしまったような気がしてしまった。言わば本作は、映画『ヒミズ』の園子温監督が産み出す世界とは対極にある作品と言える。

 困ったことに、主人公のシスターからは、なかなか感情を読み取ることができなかった。イエスなのかノーなのかわからない。しかし、彼女はただ流されながら生きているだけでもない。それでも、どうやら「受け入れる」ことに関しては、私よりもずっと長けているように思えた。

 上映終了後に、劇場スタッフが井上都紀監督を紹介してくださり、三十分の予定でティーチインが始まった。井上都紀監督自身の口から語られて驚いたのは、本作が、女性の更年期障害をテーマに扱った作品であるということだった。

 現在、女性ホルモンの分泌を止める注射をしているため、まさしく私自身が更年期の真っ只中にいるようなものだが、情けないことに、主人公のシスターが更年期を迎えていることに、まったく気が付かなかった。映画サイトの情報によれば、主人公のシスターは四十歳で、他の人たちよりも早めの閉経を迎え、更年期にさしかかったようだ。なるほど、タイトルにある「不惑」とは、四十歳のことだった。そう言えば、「四十にして惑わず」という表現がどこかにあったような気がする。すなわち本作は、ずっと神に仕えて来たシスターが更年期を迎え、更年期による憂鬱と、身体や心の変化を受け入れながら、そうした苦悩から脱出して行く様が描かれた作品だったのである。

 本作の中で、シスターが何度も何度も婦人科の前を行ったり来たりするのだが、なかなか婦人科の門をくぐろうとはしない。見方によっては、そのあたりがとてももどかしい作品だとも言える。私ならば、迷わず中に入るだろう。

 もしも私が本作の監督を努めるならば、やはり最初は更年期を迎える前のはつらつとしたシスターを描き出し、やがて更年期を迎えたならば、みんなが長袖を着ているというのに、堂々と半袖で過ごす女性を描くだろうと思う。そして、寒い時期に半袖で過ごしているために、周りの人たちから、
「元気だね」
と言われて、
「本当は元気じゃないのに」
と憂鬱になるのだ。

 ティーチインの中で、監督自身もおっしゃっていたが、監督ご自身はまだ三十代の女性で、更年期は迎えていらっしゃらないらしい。しかし、いずれご自身も迎えるであろう更年期をテーマに作品を撮ってみたかったのだそうだ。

 誰かが挙手をして、
「男性の立場からはわかりにくい作品ですね」
と感想を述べた。私は内心、
「女性の立場からもわかりにくいですよ」
と思っていた。何しろ、監督からの説明を受けなければ、シスターの生理が止まり、更年期を迎えているなどとはまったく気が付かなかったのだから。もともと、シスターの感情の起伏が少ないのも、わかりにくい要因の一つとなっている。

 とは言え、会場内には、監督の熱烈なファンである男性もいらっしゃった。その方は、過去に本作を鑑賞され、やはりティーチインにも参加されているらしい。それゆえに、作品に対する理解もずっと深かった。

 ちなみに、本作でシスターを演じているのは、CoCoなどにも曲を提供していう柴草玲さんというシンガー・ソング・ライターなのだそうだ。監督曰く、最初に脚本があって、この役柄を柴草玲さんにお願いしたのではなく、柴草玲さんにこの役を演じて欲しいと思い、わざわざ脚本を用意されたのだそうだ。

 「何かご質問があれば・・・・・・」
と監督から呼び掛けていただいたものの、私自身が本作をあまり理解できていなかったために、せっかくのいいチャンスを活用することができなかった。今となっては、ちょっともったいない気もしている。

 ユリの花のめしべとおしべや、小学生くらいの女の子に落ち葉を渡して、「女性には決められた切符がある」と説明するシーン、それから、その小学生の女の子と一緒にお赤飯を食べるシーンがとても印象的だった。もちろん、女の子にとって、お赤飯を食べることは、生理を迎えたお祝いなのだろうが、更年期を迎えたシスターにとっては、新たな始まりを意味していたに違いない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 一つ一つのシーンはとても美しいと思えたのですが、やはり感情が読み取れないのがとても残念でした。更年期を迎えているから感情が読み取れないのかどうかも良くわかりませんでしたが、それでも、印象的なシーンはいつまでも心に残りそうな気がしています。

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» ■映画『不惑のアダージョ』 [Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ>]
処女のまま更年期を迎えたシスターが、40歳になり“性”に目覚めていく…。 などと書くと、どうもロマンポルノとかそういった雰囲気を感じてしまうかもしれません。 でも、この映画『不惑のアダージョ』はそんなジメジメとしたエロティックな作品ではありません。 1974年生ま... [続きを読む]

受信: 2012.02.27 23:32

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