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2012.01.02

映画『蜂蜜』

二〇一一年ライブ納めの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m オウム真理教の平田信容疑者が警視庁本部に出頭しようとしたものの、正面玄関に立っていた機動隊員にいたずらだと思われ、丸の内署に行くように指示されたそうですね。確かに、まさか本人が出頭して来るとは思ってもみなかったという動隊員の主張も良くわかります。同様のことが起こったとして、実際のところ、冷静に対処できる人が、果たしてどれくらいいるでしょうか。平田信容疑者がそのまま素直に丸の内署に向かったから良かったものの、何らかの形で彼が本人であることが確認された上で、気が変わって丸の内署に出頭しなかったとしたら、ちょっとした騒ぎに発展していたでしょうね。

 本作を鑑賞したのは、映画『あぜ道のダンディ』を鑑賞したのと同じ七月二日のことである。この日は本作の公開日だった。公開前から本作の予告編は劇場で何度も観ていて、その静かで美しい映像に大きな魅力を感じていたので、公開されるのを心待ちにしていたのだ。

 ただ、予告編を観て、何らかの期待を抱いてしまった人たちにとっては、本作は予想外の作品だったかもしれない。本作は、心のどこかで、もっと特別な何かが起こってもおかしくはないはずだと、勝手に想像を膨らませてしまいがちな作品である。しかし、実際はそのような作品ではない。決してドラマティックというわけでもなく、ただ静かに、登場人物たちの日常の中に、蜂蜜を取りに出掛けた男が戻って来ないという非日常が盛り込まれているだけなのである。そこには、実際に登場人物たちが、舞台となっている森の周辺で生活しているのではないかと錯覚してしまうほどリアルな生活感が漂っている。そして何と言っても、吸い込まれるような深い森の美しさには叶わない。登場人物たちは、その美しい森にものの見事に溶け込んでしまっている。

 蜂蜜を取りに行って帰って来なくなったのは、少年ユスフの父ヤクプである。ヤクプは、高い木の上に巣箱を仕掛けて蜂蜜を取る仕事をしていたが、もはや近場ではあまり蜂蜜が取れなくなってしまったために、自宅から更に遠い森に巣箱を仕掛けるために出掛けて行ったのだ。そして、とうとう帰って来なくなった。自宅には、ユスフと同様、夫の帰りを待つ妻のゼーラがいる。しかし、国民性なのだろうか。日本人女性ならば、夫の不在で泣き崩れるような場面でも、トルコ人女性のゼーラは気丈に息子のユスフと接している。一方、ユスフはと言えば、予告編では当たり前のようにミルクを飲んでいるものの、実のところ、ミルクはユスフにとって、苦手な飲み物だった。それでもユスフがミルクを飲んでいるのは、父の不在を心配する母を慰めるためらしい。とは言え、ユスフは、父ヤクプの失踪と同期して、声を失ってしまう。

 鑑賞された方たちのレビューを拝見すると、良かったと絶賛されている方と、眠くなるほど退屈だったと批判されている方で、意見が真っ二つに分かれてしまっている。言うまでもなく、私は「良かった」と絶賛する派である。むしろ、私はこういう静かな映画が好みなのだ。眠くなるほど退屈だったと批判されている方たちは、映画に対して常に能動的でいたい人たちなのではないかと思う。反対に、本作を高く評価している人たちは、監督の描き出す映画の世界をただ受け入れることに徹することで、ご褒美を受け取ったのだと思う。

 ちなみに本作は、ユスフ三部作と呼ばれる作品群の完結編で、第六十回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した作品なのだそうだ。ユスフ三部作というのは、文字通りユスフを主人公とした作品群で、本作のユスフはわずか六歳の少年だが、他の二作はそれぞれ青年、大人の時期が描かれているのだそうだ。私は、三部作と呼ばれている他の二作品は鑑賞していないのだが、これほど心地良い作品を生み出した監督の作品ならば、いつかDVDででも鑑賞してみたいものである。ただ、それは今よりもずっと先のことになるかもしれない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 主人公のユスフを演じている少年がかわいらしいですね。声を失ってしまった彼は、父の帰りを本当に楽しみに待っていたのだと思います。彼が言葉を失ってしまったように、森は何も語りませんが、それだけに、何もかも包み込むような説得力があります。とても情緒的な作品だと思います。

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