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2011.12.30

映画『あぜ道のダンディ』

リュープリンという選択(7)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。更新が遅くなり、申し訳ありません。今年もたくさんの映画を鑑賞しましたが、鑑賞した本数があまりにも多過ぎて、年内にすべてのレビューを書き上げることができませんでした。年が明けてからも、しばらくの間は、今年鑑賞した作品のレビューをお届けすることになりそうです。(苦笑)

 本作を鑑賞したのは、七月二日のことである。ミニシアター系映画館にしては、積極的な宣伝がなされていたのは、石井裕也監督の作品だからだろうか。私は、石井裕也監督の映画『川の底からこんにちは』などの代表作を鑑賞していないので、特に贔屓目に見ることもなく鑑賞することができた。

 まず、タイトルが覚え易い。タイトルを象徴するかのようなポスターも劇場内に大きく掲載されていた。しかし実際は、ダンディな登場人物たちがあぜ道で何かをするわけではない。おそらくあぜ道とは、登場人物たちが住んでいる場所を象徴しているのではないだろうか。

 光石研さん演じる配送会社のドライバーの仕事をしている宮田には、浪人中の息子と高校三年生の娘がいるのだが、普段から家族のコミュニケーションがうまく行っていなかった。二人の子供たちは、間もなく東京の大学に同時に進学しようとしている。妻が三十九歳のときに胃がんで他界してしまったため、宮田は男手一つで二人の子供たちを育てて来た。そんな宮田には、田口トモロヲさん演じる真田という友人がいる。二人の子供たちとのコミュニケーションがうまく行っていないことに加え、宮田は最近、胃の調子が良くないのを実感していた。胃がんで亡くなった妻と症状が似ているため、自分は胃がんであると思い込み、真田にだけそのことを打ち明ける。

 まさしく、日本の家族を象徴するような作品だと思う。親子でも夫婦でも、一緒に生活していると、距離的に遠い関係の人たちよりも、様々な感情表現を省略してしまう傾向にある。まるで、大切なことを言わないことが美学のようになってしまっているのだ。しかし、そんな状況に甘えていると、本作のような家族になってしまう。

 おかしいのは、宮田が二人の子供たちとの距離を縮めようとして、四苦八苦するシーンだ。娘と一緒にプリクラでツーショット写真を撮りたいと願ってみたり、息子と一緒にゲームをするためにゲーム機を購入しても、息子が持っている機種とは異なるゲーム機だったり・・・・・・。何とかして子供たちとの距離を縮めようとして、とことん失敗して空回りしてしまう宮田を見ると、明らかに、今は親が子供に合わせようとする時代なのだろうかと感じてしまう。

 他にも印象に残っているのは、亡き妻が踊っていた「うさぎのダンス」を回想しながら踊るシーンだ。宮田にとって、妻の存在はとても大きかった。若いうちに妻を亡くしてしまっただけに、後悔も大きいだろう。もしも妻が生きていてくれたら、子供たちとの距離もこれほど開くことはなかったのにと恨めしく思っているかもしれない。「うさぎのダンス」が印象に残ったので、YouTubeで探してみた。

 子供たちは、早くも大学への進学を考える年齢になっていて、とても「うさぎのダンス」を踊るような年齢ではない。しかし、宮田の中で「うさぎのダンス」が妻との回想シーンとして流れたということは、妻との思い出は、まだ子供たちが小さい段階で止まってしまっているのだと感じた。

 数多くの映画に出演されている光石研さんだが、主演を演じたのは、実に三十三年振りのことなのだそうだ。いろいろなことがうまく行かずに、キリキリしている宮田を真田がなだめている。真田を演じているのは田口トモロヲさんだが、田口トモロヲさんというお名前はあちらこちらで拝見していても、こうして役を演じていらっしゃるお姿を拝見するのは初めだった。何ともキリキリした宮田のクッションになるような、良い役柄だと思う。

 さて、本作のテーマに同調できなくて申し訳ないのだが、「大切な人には本当のことを隠して生きる」というのがダンディな生き方ならば、私はその生き方には賛成きないと感じた。何故なら、表面だけを取り繕っているように見えてしまうからだ。表面だけでなく、もっと根本から人と繋がりを持つには、本当のことを隠さずに共有してしまったほうがいいように思う。子供たちとの間にできてしまった距離は、本当のことを言わずに過ごして来たツケなのではないかと、私には思えてしまったのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 「お金のことなら任せておけ」と断言する宮田の嘘を、息子は見破り、東京で暮らす部屋のランクを思い切り下げるのですね。本作は、そういう間接的な優しさが身にしみて来る作品なのでしょうね。ダンディを貫くことは、外見え的にはいいのかもしれませんが、どこか自己犠牲を払っているような気もしてしまいました。

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監督 石井裕也 光石研 (宮田淳一)森岡龍 (宮田俊也)吉永淳 (宮田桃子)西田尚美 (宮田の妻/美穂)田口トモロヲ (真田) 北関東のとある都市。宮田淳一には浪人中の俊也と高校3年の桃子の二人の子どもがいる。妻はすでに他界し、男手ひとつで育ててきた。しか...... [続きを読む]

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