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2011.10.11

映画『ミスター・ノーバディ』

ガンモの手作りサンドイッチの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 大分県議が絶叫大会で「セシウム牛いりません」と叫んだとかで、またまた話題になっていますね。最近は、何でもすぐにニュースになってしまう時代であります。言い換えると、言葉が部分的に切り取られ、独り歩きしてしまう時代と言ってもいいのかもしれません。そういう時代だからこそ、発言には気をつけなければならないと思うのに、またしてもこのような発言が話題になってしまうのは、とても残念なことであります。これからの時代、どんなときも愛をもって生きることが問われているような気がします。

 四月三十日に鑑賞した本作は、パラレル・ワールドを描いた作品である。パラレル・ワールドの扱い方が独特なので、鑑賞しているうちに、私はすっかり作品の世界に引き込まれていた。

 科学が発達し、人々が不死を得ている時代において、一一八歳の老人ニモが間もなく死を迎えようとしている。ニモは、全世界で唯一の「死んでしまう人間」なのである。街角の大きなスクリーンには、「もうすぐ死ぬ人間」としてニモの様子が映し出され、「死なない人間たち」によって見守られている。

 本作の解釈の仕方にはいろいろあることだろう。人は、死の危機を感じたときに、自分の人生を走馬灯のように振り返ると言われている。本作は、ニモの人生における、ありとあらゆる選択肢を想定したいくつもの走馬灯と言っても過言ではないのかもしれない。例えば両親が離婚したとき、どちらの親と一緒に暮らす選択をするかで、ニモの人生は変わってしまう。しかし、実際に選んだ人生がどちらの人生でであったのかを固定させてしまわずに、こんな選択肢もあったはずだと頭の中で思い描きながら、自分の人生を振り返ってみるのも有りなのかもしれない。あるいは、死を目前にして、人生の中で遣り残したことをニモが頭の中で想像(もしくは創造)することで、達成感を得ようとしているのかもしれない。

 ニモが送ったかもしれない幾通りもの人生の回想(もしくは想像/創造)は、とにかく面白い。おおまかに言ってしまえば、ニモには三人の女性たちとの出会いがあり、それぞれの女性たちと人生をともにするという別々の選択肢があった。アンナとは相思相愛だったのに、両親の再婚により、二人が兄妹になってしまい、禁断の関係に陥ってしまたという人生。別の男性と付き合っていたエリースに想いを伝えて何とか付き合うようになり、結婚に至ったものの、もともと情緒不安定だったエリースとはうまく行かなくなってしまったという人生。そして、その日初めて踊った子と結婚しようと心に決めたニモが、その日初めて踊ったジーンと結婚するものの、彼女のことを本当に愛しているわけではないと気付いていた人生。

 ニモが送り得たかもしれない三つの人生の中で、私はやはり相思相愛だったアンナと兄妹になってしまうという人生が最も情熱的で好感が持てる。やはり、二人の男女の想いがアンバランスな人生よりも、二人の男女の想いがバランスの取れている人生のほうを応援したくなるものだ。ニモとアンナは両親のいない隙に身体を重ねるものの、やがてその関係が両親の知るところとなり、愛し合っているはずの二人は引き裂かれてしまう。それでも、互いの中にはずっと相手に対する熱い想いが残っているという人生なのだ。

 いやはや、本当に面白い作品を鑑賞したと思う。間もなく死を迎えようとしているニモが実際に送った人生が、この中のどの人生であったのかは、もはや関係ない。ニモが自分の頭の中で自分の人生を回想あるいは想像/創造しているように、観客もまた、ニモの人生を一緒に回想あるいは想像/創造して本作を楽しむのだ。クルクルと切り替わるいくつもの人生に付いて行けなくなると、本作を楽しめなくなってしまうかもしれない。しかし、こんな表現方法があるのかと感心しながら本作を鑑賞すると、これほど楽しくユニークな作品はない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m あまりにも面白い作品だったので、友人に本作を薦めてみたのですが、やはりミニシアター系映画館でしか上映されていない作品でしたので、鑑賞しにくかったようです。私としては、こういう作品をもっともっと世の中に送り出して欲しいくらいなのに、作品の受け入れ先が少なく、結果的に敷居が高くなってしまうのは、とても残念なことですね。

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