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2011.10.08

映画『ペーパーバード 幸せは翼にのって』

スピリチュアル系の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 小学校の給食で豆乳を使って調理すべきところを、豆乳入りの料理を味見して「おいしくない」と判断した主任調理員が、牛乳パックの牛乳を加えて調理し直した結果、牛乳アレルギーの男子生徒が病院に運ばれるという事件が起こったそうですね。女性ホルモンについて勉強されている方ならば、牛乳はエストロゲン過多に傾いてしまうため身体に良くないとご存知のはずなので、おそらく普段から避けていらっしゃると思います。しかし、私自身の子供の頃のことを振り返ってみると、牛乳は当たり前のように給食に出ていましたし、もちろん、調理にも使われていたと思います。何となく、牛乳を加えた主任調理員が加害者で、牛乳アレルギーで病院に運び込まれた男子生徒が被害者のように映ってしまいがちですが、果たしてそうなのでしょうか。これは、考えさせられる問題ですね。

 今回は、本日鑑賞したばかりのスペイン映画のレビューをお届けしたいと思う。劇場で上映されている本作の予告編を何度となく観ていたのだが、実のところ、それほど鑑賞したいという感情は沸きあがって来なかった。それでも、三宮店でホットヨガのレッスンを受けたあと、ちょうど良い時間帯に上映されているのが本作だったので、鑑賞することにしたのである。

 一九三〇年代のスペインでは、独裁者として知られるフランコ政権のもとで内戦が起こり、多くの人たちの尊い命が奪われた。喜劇役者のホルヘの妻や息子も爆撃に遭い、亡くなってしまう。妻子を喪った深い悲しみを背負ったホルヘは、しばらくマドリードを離れ、劇団からも遠ざかる。

 およそ一年後、オーディションを受けるために再び劇団を訪れたホルヘは、かつての劇団員たちや相棒のエンリケとの再会を果たす。そのとき、同じくオーディションに訪れていた九歳の少年ミゲルは、内線中に両親を喪い、面倒をみてくれている大人はいるものの、心に孤独を抱えていた。そこでエンリケは、ホルヘにミゲルと三人で一緒に暮らすことを提案し、三人の生活が始まる。しかし、妻子を喪ったホルヘの心の傷は思いのほか深く、ミゲルを亡き息子と重ねてしまい、時には冷たく接してしまうのだった。

 実は、エンリケは同性愛主義者である。かつては同じ同性愛主義者の恋人がいたようだが、今は関係が切れている。あからさまには描かれていないものの、エンリケの心の中にはホルヘへの想いが存在しているようにも見て取れる。しかし、ホルヘのほうはもともと同性愛主義者ではなく、また、喪った妻子への想いが強いために、エンリケの想いには気付かない振りをしていたのかもしれない。そんな二人の間にミゲルが加われば、一組の夫婦と子供のように見えなくもない。だから、三人が擬似的な家族のように平和に暮らしながら、芸人としての技を磨いて行く物語なのかと思っていた。

 しかし、物語は決して平和だけには留まらない。フランコ政権に対し、強い反発心を持っている人たちがいるということは、何となく伺える。内線で妻子を喪ったホルヘも例外ではない。そのため、フランコ政権下の軍人たちは、ホルヘがフランコ政権への“反体制派”であるとして、劇団に内偵者を送り込み、監視体制に入る。

 本作は、人間関係の描写が素晴らしいのに加え、本編で流れる音楽もまた格別である。上映前には本作のテーマソングが何度も劇場で流れていたのだが、その親しみ易い旋律に強く惹かれた。あとから知ったことだが、本作の監督であるエミリオ・アラゴンは、もともとは音楽家であり、本作が映画の初監督作品なのだそうだ。しかも、本編の中でホルヘたちが歌うフランコ政権のことを暗に批判した替え歌も、実際にそのフランコ政権の時代に歌われていたものではなく、本作のためにエミリオ・アラゴン監督自身が創作したものだそうだ。その歌の中には、「一フランでは生活できない」という歌詞があるのだが、「一フラン」のことを「フランコ」と言うらしく、「フランコ政権下では暮らせない」という意味も込められているらしい。また、音楽という観点で言えば、同じく本編の中で歌手ロシオを演じているカルメン・マチの歌も素晴らしい。彼女はまるで本物の歌手であるかのようだった。

 劇団が、独裁者フランコの前で芸を披露することができると決まったあたりから、スクリーンはにわかに騒がしくなり、やがて、クライマックスへと導かれるのだ。クライマックスを経て、穏やかなラストシーンを迎えたとき、私が足を運んでいた劇場内では、すすり泣きの声がいくつも漏れ聞こえて来た。私自身も胸の奥のほうからじわじわとこみ上げて来るものがあり、思わず涙した。涙が出て来たのは、エミリオ・アラゴン監督自身の実のお父さまが登場されたシーンである。そのシーンが終わると、過去の回想とともにエンドロールに入ったのだが、エンドロールが終わり、劇場内が明るくなってもなお、帰り支度を整えながら鼻をすすっている人たちがいた。

 ホルヘを演じているイマノル・アリアスという役者さんのことは知らなかったのだが、エンリケを演じていたルイス・オマールとロシオを演じていたカルメン・マチは、映画『抱擁のかけら』に出演していた。また、ミゲルを演じていたロジェール・プリンセプは、何かの作品で見たことがあると思っていたところ、映画『永遠のこどもたち』でシモンを演じていた子役の男の子だった。

 スペイン語は、何だか早口で騒がしいイメージがあるのだが、確かに早口で騒がしく聞こえても、心に深いものを残して行ってくれる作品はいい。鑑賞し終わってはっきりと感じたのは、このような作品には滅多にお目にかかれるものではないということだった。多くの人たちに鑑賞して欲しい素晴らし作品だというのに、おそらく都市部にあるミニシアター系映画館でしか上映されない作品に違いない。私には、そのことが残念に思えて仕方がなかった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 何故、泣いてしまったのかは自分でも良くわからないのですが、おそらくキーワードは「回想」でしょうね。映画の中で過ぎて行った何十年もの年月を、映画の登場人物とともに過ごして来たような気持ちになったのかもしれません。本当にいい映画でした。

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