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2011.08.15

映画『わたしを離さないで』

PIN or sign?の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 私たちの夏休みは終わってしまいましたが、世間はお盆休みらしく(苦笑)、通勤電車はガラガラでした。お盆を外した時期に夏休みを取ると、混雑を避けられるという利点もありますが、こうした季節感と言いますか、昔ながらの行事の感覚が薄れてしまいますね。

 もう少し、シドニーでの出来事を綴ってから映画のレビューを書かせていただこうかと思っていたものの、鑑賞した映画のタイトルをメモしている手帳を見てみると、次に書かせていただくレビューが本作に当たっていた。私は、本作を鑑賞した直後から、早く本作のレビューを書きたくてうずうずしていたのだ。こんなにも不思議で魂を揺さぶられるような作品に出会ったというのに、鑑賞してから何ヶ月もの間、レビューを書かずにいたのだから、私はかなり我慢強い方だと思う。

 作品が扱うテーマとしては、少し変わっている。寄宿学校ヘールシャムに所属する三人の子供たちが主人公なのだが、世間一般の子供たちと比べてどこか様子が違う。教育方針なのか、子供たちを外の世界に触れさせようとはしていないし、子供たちの会話の中に、親や兄弟の話題も出て来ない。物語が進んで行くうちに、ヘールシャムに所属する子供たちが特別な使命を背負って生まれて来たことを知る。実際にそんな人生があるとするならば、何と心の痛む話だろうか。そんな特異な物語を考え出した原作者は、日本人の作家さんらしい。

 そう言えば、少し前に、本作とはまったく別のアプローチではあるものの、本作と似たようなテーマを扱った映画『私の中のあなた』という作品を鑑賞した。すなわち、本作に登場する子供たちは、それぞれ映画『私の中のあなた』のアナであるというわけだ。

 主人公の三人とは、映画『17歳の肖像』のキャリー・マリガン演じるキャシーとキーラ・ナイトレイ演じるルース、それから、映画『ソーシャル・ネットワーク』のアンドリュー・ガーフィールド演じるトミーである。私は、映画『17歳の肖像』のキャリー・マリガンがとてもかわいいと思ったので、映画『17歳の肖像』の中で恋に深く傷ついた役を演じた彼女が、本作でも恋に傷つく姿を見たくはなかった。彼女は本作でも過酷な運命に翻弄されるものの、最終的には私のそんな心配は必要なかったと思っている。

 一言で表現するならば、本作はツインソウルの永遠の愛を描いた作品であり、彼女の演じたキャシーは、生まれながらにして、トミーとの永遠の愛で結ばれていたのだ。だから、彼女たちの身に降りかかる、一見、不運とも取れるような出来事よりも、魂の結びつきのほうが強いのだ。私は本作を鑑賞して、真に愛する男女の間に第三者が割って入ることはできないと確信した。その一方で、男女が真に愛し合っていない場合、その関係はいつかは終わる。そのことをまざまざと見せ付けられた気がしたのだ。

 私は、例え恋人同士の関係にない時期であっても、お互いがお互いに向かおうとしている見えない愛に心を打たれ、二人を決して引き離さなかった強力な縁に感動した。ひまわりが太陽に向かって花を咲かせるように、ツインソウルはお互いが自分にとっての太陽なのではないかとも思えた。その結びつきの強さに、間に割り込もうとした第三者は屈するしかない。

 例え作家であったとしても、これほどまでに強固な男女の愛を、まったく経験もなく書き上げることができるのだろうか。私は、これを書き上げた日本人作家のカズオ・イシグロ氏に、本作のベースになるような素晴らしい愛の経験があったのではないかと推測するのだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 三人の置かれている過酷な運命に注目するか、真に愛し合う男女の姿に注目するかで本作の感想は変わって来るかもしれません。私は、三人の置かれている過酷な運命には注目せずに、真に愛し合う男女の姿に注目し続けました。紆余曲折を経て、これまでの経緯にこだわることなく、それぞれが本来の姿に向かって行く姿がとても美しかったと思います。

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