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2011.07.13

映画『Ricky リッキー』

湯村温泉(1)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 規定値を超える放射性セシウムが含まれた牛が福島県から出荷されたことが話題になっていますね。こういうニュースが流れる度に思うのは、私たちが動物の肉を食べるために動物たちが殺されることと、人間の食の安全を確保するために動物たちが殺されるということは、殺されるという点においては同じであっても、どこか違うということです。その違いが何であるのかを的確に説明することができずに、ずっと悶々とし続けています。

 三月一日に元町映画館でちょっと変わった映画を鑑賞した。つい先日、レビューを書かせていただいたばかりの映画『しあわせの雨傘』のフランソワ・オゾン監督の作品である。

 予告編にもあるように、ある男女の間に男の子の赤ちゃんが生まれる。ところが、リッキーと名付けられたその赤ちゃんは、他の赤ちゃんとは違っていた。何と、成長するにつれ、背中に羽が生えて来たのである。そのことを知った私は、昔のフォークグループ「五つの赤い風船」の「もしもボクの背中に羽根が生えていたら」という曲を思い出した。

 リッキーが背中の羽をばたつかせながら、スーパーを飛び回る姿が映像としてニュースで流れ、リッキーを含めた家族は一躍有名になる。しかし、リッキーの背中に羽が生えて来たことが、必ずしもこの家族に幸せをもたらしたかどうかはわからない。もしも本作がアメリカ映画ならば、リッキーに羽が生えて来たことで家族はとても幸せになるように作られるだろう。ひょっとすると、飛んでいるリッキーを見物したいと申し出る人たちに対し、次々にお金を取って商売さえ始めてしまうかもしれない。しかし、フランス映画ではそういう展開にはならず、背中に羽が生えて来た息子を持つ親として、もっと複雑な苦悩を描き出す。

 もともとリッキーを産んだ母親のカティは、娘のリザと二人だけで暮らすシングルマザーで、リッキーの父親となったパコと職場で知り合い、恋に落ちたことで、ようやく女性としての幸せを掴んだように思えた。その反面、これまでカティと二人だけで生活を続け、カティからの愛情を独り占めしていたリザからすれば、本来、自分に注がれるべきカティからの愛情が、パコやリッキーカティに横取りされてしまうような気がしてしまう。そのためリザは、反抗することで自分が愛情不足に陥っていることを訴えようとする。パコは、そんなリザに歩み寄り、リザと仲良くなることに成功する。

 これからはカティとリザ、そしてパコとリッキーという四人の家族がそれぞれの想いを一つにしてリッキーを守って行くかのように思えた。しかし、人間の感情はそれほど単純ではない。ちょっとしたすれ違いから、パコは家を出て行ってしまう。私たち人間は、不安定な状態にいるときはしきりに安定を求めようとするものの、ひとたび目的が達成され、安定を得ることができると、悲しいことに、安定の状態を守り続けることができない。

 結局のところ、リッキーに生えて来た羽は、天使の羽などではなく、自由でありたいことへの象徴だったのかもしれない。皮肉なことに、真っ先に自由になったのは、羽を持つリッキー自身だったというわけだ。そういう意味で、本作は、結末の予測できない、実に不思議な物語と言える。ともすれば、人と大いに違うことをポジティブかつアバウトに表現してしまいがちな状況にありながらも、そこに単純な喜びを見出さずにむしろ複雑にしているところに面白さを感じる。私たち人間は、決して単純な動物などではなく、もっと複雑な動物なのだということを認識させてくれる作品であるとも言える。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m もしも自分の家族の背中にリッキーのような羽が生えていたら、やはりそのことを隠すでしょうか。ふと、そんなことを考えてみました。リザはリッキーに羽があることをひどく心配して、病院にまで連れて行くのですね。背中に羽が生えて来るという突拍子もない設定であるにもかかわらず、息子のリッキーが他の子供たちと大きく違うところに苦悩するというあたりが、いかにもフランス映画なのかなと思います。こうした苦悩が描かれるからこそ、私は普段から、アメリカ映画よりもフランス映画のほうを好むのかもしれません。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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