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2011.06.26

帰巣本能

映画『しあわせの雨傘』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m あまりにも暑い上に風もなかったため、とうとう我が家もこの夏初めてのクーラーを稼動させてしまいました。六月からクーラーを稼動させるのは、我が家では異例のことであります。この夏が、去年のように猛暑にならなければいいとは思っていますが、六月の時点で既に気温が三十度に達していますので、心配ですよね。私のように上半身のほてりを抱えている方もいらっしゃるかと思いますが、例え猛暑であっても、できる限り工夫して涼しくお過ごしくださいね。

 父ちゃんのことを記事に書くのは、ずいぶん久し振りのことである。そう、「ガンまる日記」で父ちゃんと言えば、我が家のベランダに棲み付いているの父ちゃんのことである。思えば父ちゃんとの付き合いも、今年で丸六年になる。

 父ちゃんは、かつて三代目母ちゃんと夫婦の契りを結んでいたが、一年ほど前から三代目母ちゃんの姿が見えなくなり、それ以来、ずっと独身を通している。これまでの父ちゃんならば、すぐにどこかの鳩の社交場で新しい嫁さんを見付けて来ては再婚を繰り返していたのだが、再婚もせずに単独で行動するようになったのである。鳩の世界では三回までの婚姻しか認められていないのか、はたまた、三代目母ちゃんのことを猛烈に愛していて今でも忘れられないでいるのか、あるいは、実際は若い雌の鳩に何度もアタックしてはいるものの、老体のためにもはや相手にされていないのか、それとも、生殖機能が衰えてしまっているために、もはや雌の鳩を追い求めなくなったのか、それは私たちにもわからない。

 そんな父ちゃんは、マンションの大規模修繕が終了したあと、私たちの部屋のベランダにしばらく単独で棲んでいた。一時期までの、父ちゃんと歴代の母ちゃんたちの間に生まれた子供たちとのにぎやかな共同生活を思えば、ベランダに父ちゃん一羽だけというのは、ずいぶん平和で静かなものだった。

 ところが、ちょうど六月に入った頃だったろうか。父ちゃんの娘夫婦(これまたややこしいのだが、一時的に今は亡きTKMYの婿となったイケメンくんが、TKMY亡きあと、TKMYの妹と結婚した)と一緒に我が家のベランダに棲み始めた。父ちゃんにしてみれば、これまで自分だけでこのベランダと私たちに与えられる餌を占有できていたものだから、自分の縄張りを守るために、毎日のように娘夫婦たちと激戦を繰り広げていた。

 そんなある日、突然、父ちゃんの姿が見えなくなった。雄の鳩は、昼間のうちはどこかに出掛けていても、暗くなる前に必ず帰って来る。ちなみに、雌の鳩ならば、どこかに巣を作って卵を産んでいる場合、夜間に卵を温める当番なので帰って来ない。しかし、縄張り争いを繰り広げるほと我が家を気に入ってくれていた父ちゃんが帰って来なくなってしまったのである。私たちは、父ちゃんの身の上に何かが起こってしまったのか、それとも、父ちゃんの娘夫婦が父ちゃんを追い払ってしまったのかと思い、娘夫婦に、
「父ちゃんはどこへ行った? あなたたちが父ちゃんを追い出したの?」
などと問い掛けていた。しかし、そんな私たちの問い掛けに対し、娘夫婦が答えてくれるはずもなかった。

 それから二週間近く経った頃だろうか。私が寝室のベッドの上でくつろぎながら、ノートパソコンを広げて書き物をしていると、ベランダから父ちゃんの鳴き声が聞こえて来るではないか。かれこれ六年もの付き合いになれば、それが父ちゃんの鳴き声かどうかはすぐにわかる。私はガンモに、
「父ちゃんの声だ! 父ちゃんが帰って来た!」
と言って、寝室の窓を開けた。するとガンモもすぐに窓辺に掛け寄って来て、ベランダの様子を確認した。

 そこには確かに父ちゃんの姿があった。しかし、負傷しているのか、左側の肩と言うべきか、羽が下に下がっていた。おまけに歩き方も何だかぎこちない。その様子からして、父ちゃんが、命からがら飛んで来たように見えた。いつもならば、私たちが寝室の窓から顔を出すと、餌をもらえるとばかりに喜び勇んで窓辺に飛んで来るのだが、帰って来たばかりの父ちゃんは、ベランダの下から私たちのいるベランダの窓辺を見上げるものの、ベランダの窓辺までは飛んで来られない様子だった。それでも、マンションの五階にある私たちの部屋のベランダまで飛んで帰って来たのだから、父ちゃんとしてもかなり踏ん張ったのだろう。

 ガンモはすぐに台所からベランダに飛び出して、お腹を空かせているであろう父ちゃんのために餌を与えた。おそらく父ちゃんは、しばらく餌にありつけていなかったのだろう。餌箱をがつがつと突付きながら餌を食べた。父ちゃんは思うように飛べないようだったが、食欲はあるようなので、ひとまず安心である。餌で空腹を満たした父ちゃんは、今は亡きTKMYやキッコロが巣を作っていた排水溝のあたりを陣取り、身体を休めていた。ガンモは父ちゃんのために、排水溝のすぐ近くに餌の入った餌箱と水の入った水入れを置いた。

 朝、起きて父ちゃんの様子を確認してみると、父ちゃんはまだ排水溝のあたりにいた。夜が明けても飛び立って行こうとしないということは、やはり身体が弱っているのだろう。相変わらず左側の肩が落ちていて、歩き方もぎこちなかった。良くもまあ、そんな状態で我が家に帰って来られたものである。

 ガンモは、
「俺は父ちゃんの介護があるから、旅行には行けない」
などと冗談を言った。しかし、その後、やむにやまれぬ事情により、数日間、家を空けることになった。そのときガンモは、帰宅する頃になると、
「父ちゃん、大丈夫かな」
としきりに心配していた。そしてガンモは帰宅するや、ベランダに出向き、父ちゃんの様子を見に行った。父ちゃんは、これまでよりも元気そうだった。ただ、出掛ける前に餌箱にたっぷり入れておいた餌は、きれいになくなってしまっていた。父ちゃん以外の鳩が餌箱を突付いたのかもしれない。ガンモが餌箱に餌を入れると、父ちゃんは夢中で餌箱を突付き始めた。

 その後、父ちゃんは順調に回復し、朝になるとベランダから飛び立って行くようになった。父ちゃんの身に何が起こっていたのかはわからないが、とにかく父ちゃんは命からがら我が家のベランダに戻って来て、餌を食べて元気になりつつあるようだ。これらのことからも、どうやら父ちゃんの中に、我が家のベランダが自分の住処であるという認識があるのはほぼ間違いないだろう。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 父ちゃんは、去年の秋にマンションの大規模修繕が行われているときにも、おそらく修繕に使われていた塗料の匂いを嫌ってだと思うのですが、しばらく私たちのマンションのベランダから離れていました。それでも、大規模修繕が落ち着くとまた戻って来ました。そして今回は、おそらく飛べない状態になっていたために、しばらく戻って来られなかったのでしょうね。これまで、父ちゃんの歴代の母ちゃんたちが帰って来なくなったことが何度かあるので、ひょっとすると父ちゃんの身の上にも何かが起こってしまったのではないかと心配していたのですが、何はともあれ、我が家に戻って来てくれた上に体力も回復したので、安心しています。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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