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2011.05.08

映画『ハーモニー 心をつなぐ歌』

秋田紀行(3)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m GW中、西日本は二十度を越す天気が続いていました。私はもう、完全に半袖Tシャツ一枚で過ごしていましたが、今年の夏も、去年のように猛暑になるのでしょうか。そうだとすると、関東地方の電力不足が心配ですね。クーラーの要らない涼しい北海道で貸しオフィスを提供する業者も出て来ているようです。もうすぐやって来る夏を、関東地方の企業はどのように乗り切ろうとしているのでしょうか。

 本作を鑑賞したのは、一月二十六日のことである。予告編を観たときから、とても気になっていた作品である。実際に鑑賞してみると、予想していた以上に涙腺を刺激された作品だった。いやはや、本当にいい作品を鑑賞することができたと思っている。

 女子刑務所で服役中のジョンへは、夫のDVからお腹の子供を守るために夫を殺害してしまい、獄中で息子のミヌを出産する。ミヌは、服役中の受刑者たちからも可愛がられてすくすく育つが、韓国では、獄中で出産した子供と母親が共に過ごせるのは生後十八ヶ月までと決まっている。そこで身寄りのないジョンへは、泣く泣くミヌを養子に出すことに決める。

 ジョンへはミヌに対し、並々ならぬ愛情を注いでいたため、スクリーンを通して、ミヌを養子に出さなければならないジョンへの辛さがひしひしと伝わって来た。殺人という重い罪を犯してしまったとは言え、ジョンへはミヌの存在に支えられながら服役して来たはずだった。ミヌとの別れが半年後に迫った頃、女子刑務所に慰問のためにやって来た合唱団に感銘を受け、ジョンへは自分たちも合唱団を結成したいと刑務所の所長に申し出る。半年後に成果を上げることができれば、ジョンへはミヌとの外泊が許されるという条件付きで、所長はジョンへの提案を受け入れるのだった。

 本作には、女子刑務所内に結成された合唱団を通じて、個性が強くてなかなかまとまらなかった受刑者たちの心が一つにまとまって行くプロセスが描かれている。私が感動したのは、合唱団に参加した受刑者たちの自己紹介のシーンである。おそらく合唱団が結成されるまでは、受刑者たちが互いに自己紹介をする機会などなかったのだろう。しかし、合唱団に参加している受刑者たちは、自分がどのような罪を犯してこの女子刑務所にやって来たかをみんなの前で熱く語る。この自己紹介を通じて、自分が何者であるかを他者に語り、自分のことを他者に理解してもらうことで、同時に他者が何者であるかも理解しようとする。こうした自己紹介をきっかけに他者と自分の間に回路ができると、その後のコミュニケーションが円滑になり、どんなときも他者を理解しようとする気持ちが生まれるものである。

 結成した合唱団の指揮を担当しているのは、激しい嫉妬から夫と愛人を殺害してしまった元音大教授のムノクである。ムノクは死刑囚だったが、長いこと刑が実行されることなく服役を続けていた。ムノクは、元音大教授という立場から、合唱団への参加者をパートごとに分けて行くものの、ソプラノパートを担当できそうな参加者がいないことが気になっていた。そんなとき、新入りのユミの美しい歌声を偶然聞き、彼女が声楽科で本格的に声楽を学んでいたことを知る。ユミもまた、性的虐待を受けていた義父を殺害した罪で刑務所にやって来たのだが、刑務所の誰とも打ち解けることができずにギスギスした雰囲気が流れていたところを、ムノクとユミがまず音楽的な部分で繋がり、やがてユミもソプラノパート担当として合唱団に参加することになるのだった。

 私は、刑務所で服役している受刑者たちの罪が、もともとは彼女たちから端を発したものではないことがひどく気になった。ジョンヘにしても、ムノクにしても、ユミにしても、最初に仕掛けて来たのは、彼女たちが殺害してしまった相手である。彼女たちが殺人という重い罪を犯してしまったのは、ある段階においての力加減の優勢に過ぎないことがわかる。初めの一歩を踏み出したのが被害者のほうだったとすると、本当の被害者は殺害された人たちではなく、加害者にさせられてしまった受刑者たちなのではないだろうか。そして、世の中には、これらと似たような状況で殺人事件の加害者になってしまい、刑務所で服役している人がたくさんいるのではないだろうかと感じた。更に私たちは、被害者と加害者のある時期のやりとりだけを切り取って、善悪を判断しようとしているのではないだろうかとも思った。通り魔殺人や無差別殺人でもない限り、この女子刑務所で服役している受刑者たちの罪は、殺人に至ってしまったという瞬間的な力加減の優勢によるものであることがわかる。そういう意味で、この女子刑務所は、同じような立場の人たちが集まって来た場所であり、本当は、互いに良き理解者になり得る仲間たちと出会える場所でもあったのかもしれない。

 女子刑務所で結成された合唱団は、次第に力をつけ、女子刑務所の外で行われるクリスマスコンサートに参加することになる。そこで体験する激しい屈辱や再会の感動は、とても涙なしには鑑賞することができない。脚本がいいのか、バラバラだった受刑者たちの心が合唱団を通して一つになって行くプロセスや、息子のミヌに対するジョンへの並々ならぬ想い、受刑者たちと家族とのぎこちない関係、死刑囚に対する法の扱いなどのシーンが盛り込まれ、実に様々な感情を同時に体験することのできる良き作品である。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 何故、このような素晴らしい作品を、もっとたくさんの映画館で上映しないのだろうと残念に思います。本作が公開されてからおよそ四ヶ月が経過し、現在も日本のあちらこちらで本作がじわじわと展開されてはいるようですが、まだまだ規模としては小さいですね。できれば、普段、あまり映画を鑑賞しない人たちに鑑賞していただいて、「映画というものはこういうものだ」というこれまでの既成概念を打破するきっかけにして欲しい作品です。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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