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2011.05.02

映画『エクスペリメント』

秋田紀行(2)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 国際テロ組織アル・カーイダの指導者、ウサマ・ビンラーディンがアメリカによる攻撃で殺害されたというニュースが流れていました。アメリカのオバマ大統領が指示を出したそうですね。私は、オバマ大統領は、他のアメリカ大統領とは違うのだと思っていましたが、このような殺害を指示していたとわかり、他のアメリカ大統領と同じだとがっかりしてしまいました。確かにある時期まで、アメリカは被害者でした。しかし、いつの間にか被害者から加害者になり、とうとうアル・カーイダの指導者の殺害まで実行してしまいました。このことが、オバマ大統領の次期選挙に大きくプラスに働くのだとしたら、私には、アメリカ人の考えることが理解できません。

 本作を鑑賞したのは、一月二十日のことである。普段、持ち歩いている手帳に、映画を鑑賞した日付と作品のタイトルをメモしておくのだが、レビューを書くにあたって、手帳に書いた本作の鑑賞日付とタイトルを確認したとき、果たして本作がどのような作品だったのか、すっかり忘れてしまっていることに気が付いた。エクスペリメント(experiment)が実験を意味する言葉であることを思い出し、ようやく作品の内容と繋がった次第である。

 主人公のトラヴィスを演じているのは、映画『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディである。職を失ったトラヴィスは、交際を始めたばかりの恋人がインドに出掛けて行くことを知り、自身もインドに出掛けるための資金を「実験」という日給千ドルもの高額アルバイトで賄(まかな)おうとする。その高額アルバイトとは、二十四人の被験者が、刑務所で看守役と囚人役に分かれて十四日間を過ごすというものだった。刑務所の内部は常に監視カメラで監視されていて、違反があれば直ちに赤いランプが点灯するという。定められたルールに従い、トラブルなく十四日間を過ごすことができれば、無事に報酬が支払われることになっていた。

 もともとこの実験は、雇い主から「人権を侵害する恐れがある」と警告されていたのだが、実際、その通りだったようだ。被験者の二十四人は、アルバイトとして集められただけのはずなのに、看守役と囚人役の隔たりは、時間の経過とともに大きくなって行った。きっかけはほんの些細なことだったのだが、看守役が囚人役たちを支配しようとし、囚人役がそれに激しく反発するという構図が出来上がってしまったのである。実験が始まる前までは友好的に会話を交わしていた被験者でさえも、刑務所に入り、看守役と囚人役が分かれた途端、これまでの友好的な関係は失われてしまった。感情ではなく、役割によって関係が支配されるということの現れである。

 私は常日頃から、ルールとは、愛情のないところに生み出されると思って来た。何故なら、友人関係や愛情で結ばれた家族らの間には、自由意思の範囲内で相手を尊重する気持ちが生まれ、常に友好的な関係を成り立たせることができるからだ。しかし、愛情や互いを尊重する気持ちが存在しない関係には、ルールを設けることで、秩序を保つことができる。例えば、日常生活においては、交通ルールを守ることで、互いに面識のない人たちの安全が守られている。もしも交通ルールが存在しない状態で、互いに面識のない人たちの安全を守ろうとすると、交差点で自家用車を走らせるときに、自分の運転している自家用車が他の誰にも危害を与えないかどうかを慎重に確認するという行為が必要である。行為そのものは同じであっても、単に交通ルールを守るという行為と、互いに面識のない人たちにも危害を与えないように思いやるのとはまったく異なる行為だと思う。

 本作においては、人間同士の関係よりも、看守役という囚人役という役割にとらわれたばかりに、すべてがルールによって支配されてしまっていた。ことの発端は、初期の段階で看守役が囚人役に強いたルールが守られなかったために、囚人役と看守役との溝がどんどん深まってしまい、命を懸けた争いにまで発展してしまったのである。愛情や友情で結ばれず、役割やルールにより支配された関係がここまで醜い争いに発展してしまうことを、一体誰が予想し得ただろうか。

 とは言え、中には自分の役割にとらわれることなく、心を使った人もいた。そういう人は、自分の中に確かな愛の判断基準を持っている人だ。すなわち、ルールが定められていたとしても、自分の中の確かな愛の判断基準に逆らうようなことは実践できないのである。そう考えると、私たちはこのような作品から逆説的に学ぼうとしているのではないかと思う。私自身も、役割やルールにとらわれないでいたいものである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 役割やルールにとらわれないようにしたいと思ってはいても、実際には難しいこともあろうかと思います。例えば、すべての人たちに対して平等に接する必要のある仕事をしているときに、他の人たちを差し置いて、仲の良い友人や家族らに対して贔屓目に振舞ってしまって良いのかどうかなどの疑問は生まれますね。そういう意味で、本作は、役割やルールに関して思い切りネガティブに表現した作品と言えるのではないでしょうか。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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