« 映画『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』 | トップページ | 夜間飛行 »

2011.01.07

高エネルギーの同窓会(3)

映画『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m グリゴリエフ大佐は、ソ連に明るい未来をもたらしたいがために、敢えてそれまでのソ連を崩壊させようと試みたことになります。グリゴリエフ大佐の取っていた立場が、ピエールの贈った本に書かれている狼の詩と連携されているのが印象的でしたね。それでは、高エネルギーの同窓会(2)の続きを書かせていただきますね。

 同窓会は大いに盛り上がり、やがて二次会の会場へとタクシーで移動することになった。タクシーは一度にやって来るわけではなかったので、私たちはちょろちょろと現れた一台ずつのタクシーに分乗し、二次会の行われるスナックへと向かった。

 私にとって、今回の同窓会のテーマは、「これまでほとんど話したことのなかった同級生たちと話をする」ことだったようで、二次会の会場へと向かうタクシーに同乗することになったSくんもまた、これまで一度も、あるいはほとんど話したことのない同級生の一人だった。

 二次会の会場となったスナックで、私はタクシーで一緒だったSくんと、これまたほとんど話をしたことのなかったHくんのいるテーブルに、小学校から高校まで同じだったYちゃんと一緒に加わった。不思議なことに、これまでほとんど話をしたことがなかったというのに、私にとってSくんから発せられるエネルギーもまた、とても心地のいいものだった。Sくんは猟師なので、私と仕事の話が合うはずもないのだが、話の内容云々よりも、話をするときに互いに相手を許容し合っているエネルギーがとても心地良かったのだ。

 一方、Yちゃんはというと、SくんともHくんともかつて同じクラスだったことがあったようだ。特に、Yちゃんが進学した大学が京都にあったこともあり、同じく京都の大学に進学したHくんは大学時代にYちゃんと交流を持っていたらしい。そんなHくんは、病気をしたとかで、まるで別人のように痩せこけてしまっていた。命に関わる病気ではなかったことが、せめてもの救いである。

 その後、私たちのテーブルに、中学三年のときに生徒会長を務めていたIくんが加わった。私は、Iくんが生徒会長だったことや、Iくんと同じ高校に進学したこともあって、
「同じ高校だったよね?」
などと言ってIくんに話し掛けてみたのだが、あろうことか、Iくんは私のことを覚えてくれてはいなかった。そこで、SくんやHくんがIくんに対し、私の名前を当てるクイズのようなものを始めてくれたのだが、Iくんは私のことをなかなか思い出してはくれなかった。

 それでも、高校時代の話を始めると、Iくんはおぼろげながら少しずつ、私の存在を思い出してくれたらしい。私は、自分がこんなにもマイナーな存在だったのだろうかと、ある意味驚いた。というのも、現在の私は、持ち歩く荷物がとても多いからか、たいていの人たちには良く覚えてもらっているからだ。それなのに、中学の頃は、同級生たちの心に強く印象付けるだけのインパクトに欠けていたようなのである。中学の頃から、今みたいにたくさんの荷物を持ち歩いていれば、同級生に忘れられることもなかったのかもしれない。

 現在、Iくんは、特殊学級の教師をしているのだそうだ。Iくんは東京の大学に進学したらしいのだが、どういうわけか三浪することになってしまい、教育実習は弟さんの友達と一緒に母校で受けることになってしまったのだそうだ。私も東京方面の大学に進学したので、Iくんに、
「どこの大学?」
と尋ねてみると、驚いたことにIくんは、私と同じ出身大学を口にしたのだ。
「ええっ? 私も同じ大学の出身だよ。私は一浪したけど」
と言った。私の場合、いったん広島の私立大学に入学したあと、すぐに休学届を提出して翌年に再受験しているのだが、話がややこしくなるので、細かい説明は省いてしまった。Iくんが私と同じ大学に通っていたことなど、今回の同窓会で同じテーブルにならなければ一生知らなかったかもしれない。その後、Iくんとは、同じ大学出身の有名人の話で盛り上がってしまった。さすがIくんは、特殊学級の教師をしているだけあって、話をするスピードがゆっくりで、とても話が聞き取り易かった。普段から、相手に伝えることを意識しながら話をしているからだろう。それが普段のコミュニケーションにもしっかりと活かされているのだ。

 Iくんが何かの拍子に立ち上がったあとは、背の高い男の人がその席にやって来た。一体誰だろうと思いながらじっくりと観察していると、小学校のときに良く話をしていたGくんだということがわかった。Gくんは以前よりもずっと背が伸びていて、いわゆる「いいおじさん」になっていた。とは言え、ピュアな心は小学校の頃のままだった。Gくんが聞かせてくれた話で印象に残っているのは、亡くなってしまった同級生の話である。Gくんはその同級生と仲が良かったらしく、事故で亡くなる二日前にGくんのところに電話を掛けて来たのだそうだ。私は亡くなった同級生のことは良く知らなかったのだが、彼のことを話題にするGくんの瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた。

 やがて二次会の会場では、カラオケで盛り上がる人たちも出て来たのだが、私は耳だけでメロディを追いながら、同じテーブルで交わされる会話に夢中になっていた。

 同窓会の席は、久し振りに顔を合わせた同級生たちの間で、お互いのことをもっと知りたい気持ちと、相手に自分のことを伝えたい気持ちに溢れていた。知りたい気持ちと伝えたい気持ちの両方が存在することで、双方向のコミュニケーションが成立しているのだ。だから、同窓会のような席では高エネルギーが流れている。そんな高エネルギーに包まれていることが、とても気持ちがいい。

 私は、父に迎えに来てもらうことにしていたので、できれば早い時間に帰宅したいと思っていた。何故なら、実家の両親は早寝早起きの習慣が身に付いているからだ。私が帰省していることで、父母の生活のリズムを崩してしまってはいけない。そんなことを思っていると、二十一時半過ぎになってYちゃんが申し訳なさそうに、そろそろ帰宅したいと切り出した。Yちゃんは松山に住んでいるのだが、翌日、用事が入っているため、その日のうちにJR線に乗って松山まで帰りたいと思っていたようなのだ。Yちゃんのおかげで、私も帰宅組に便乗することができた。

 Yちゃんと私が席を立つと、私たちが帰ることに気が付いた同級生たちが声を掛けてくれた。幹事さんに御礼を言い、同窓会が始まる前に私が声を掛けた男性を再びニックネームで呼んでみると、
「実は最初に声を掛けてもらったとき、誰なのか、ようわからんかったんよ(よくわからなかったんだよ)」
と言われてしまった。やはり私はマイナーな存在だったのだろうか。いやいや、中学の頃に比べて、私が変わり過ぎてしまっているからなのだろう。

 こうして楽しみにしていた中学の同窓会が静かに幕を閉じた。父に迎えに来てもらって帰宅した私は、布団に入ってから寝るまでの間中、同級生のみんなと会話したことを一つ一つ思い巡らしていた。そして、会話をした人たちの名前を手帳に書き留めた。布団に入ってからも、私はずっと高いエネルギーに包まれ続けていたのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m コミュニケーションを取るときに、他の人と繋がる回路は二つあるのですね。一つは、相手の話を聞くための回路、そしてもう一つは、自分の話を伝えるための回路です。久し振りに会ったり、出会ったばかりのすがすがしい関係の場合は、二つの回路が同時に開いているのがわかります。だから、心地良いコミュニケーションが成立するのだと思います。しかし、馴れ合いになってしまうと、お互いの甘えから、どちらかの回路を閉じてしまいがちなんですよね。(笑)ところで、私は今、この記事を関西国際空港の出発ロビーで書いています。三連休と有給休暇を利用して、ガンモと一緒に暑い地域へと旅立ちます。次回の記事は、暑いところからお届けしますね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« 映画『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』 | トップページ | 夜間飛行 »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18521/50522203

この記事へのトラックバック一覧です: 高エネルギーの同窓会(3):

« 映画『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』 | トップページ | 夜間飛行 »