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2010.11.10

マンションの大規模修繕(8)

保険屋さん(7)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。保険屋さんに、「選択肢の一つとして、先進治療を受けるチャンスを見逃して欲しくない」と言われたときには、実のところ、唖然としてしまいました。何故なら、私自身が医療保険の申し込みをしたときには、私にとってほとんどメリットのない保険内容を提示して来たからです。保険というものが、あたかも相手のことを真剣に考えているようでいて、結局はビジネスに活かされていると私はとっくに気付いているというのに、それでもなお、ガンモのことを真剣に考えているような口調で語られるのは、ちょっと腹立たしい気がしました。それでは、マンションの大規模修繕(7)の続きを書かせていただきます。

 九月から始まったマンションの大規模修繕は、滞りなく着々と進んでいた。共有部分の塗装および補修が行われるにあたり、まずは損傷している箇所が徹底的に点検され、工事を担当してくださる建設会社独特の方法で、マンション内に「しるし」が付けられた。損傷の状況を示す数字や記号なのだろうか。マンションの共有部分のあちらこちらには、いろいろな色で書かれた数字や記号が点在していた。

損傷の状況を示す「しるし」

 しばらくすると、マンションのドアや窓などがパサパサとしたビニールで一斉に覆われた。いよいよ塗装が始まるらしかった。そのために、汚してはいけない部分をパサパサとしたビニールで覆ったのだろう。

塗装時に汚れてはいけないところは、パサパサとしたビニールで一斉に覆われた

 まず、最初に塗られたのは、金属部分の錆(さび)止めだった。赤褐色の錆止めが、ガスメーターの扉などを始めとする金属部分のあちらこちらに塗られた。錆止めは、少しはみ出している箇所もあったが、あとからその上に別の塗料を上塗りするため、問題はなかった。

 やがて、私たちの寝室の窓も、パサパサとしたビニールで覆われた。そのため、私たちは部屋の中が暑くても、窓を開けることができなかった。この頃はまだ今ほど涼しくはなく、仕事から帰宅したあとも、そして寝るときも、窓を少し空かして涼を取り入れていた頃だったので、窓を開けられないのは辛かった。私は、
「窓を開けられないなら、思い切ってエアコンをつけようか」
とガンモに提案したのだが、ガンモの調査によると、エアコンの室外機までもが既にパサパサとしたビニールで覆われているらしかった。ということは、暑くても窓も開けられず、エアコンも使用できないということだ。もう秋に差し掛かっていたので、窓を開けられなくても蒸し風呂状態になるほど暑くはなかったのだが、上半身にほてりのある私には厳しい修行のようにも思えた。ガンモでさえも、窓を開けられないのは暑いとぼやいていたくらいだった。

 寝室の窓がパサパサとしたビニールで覆われてしまうと、ベランダに住んでいる父ちゃんたちの様子もわからなくなってしまった。台所からベランダに通じるガラス戸もパサパサとしたビニールで覆われてしまったため、寝室の窓と同じように開けることができなかった。もちろん、緊急時にはパサパサとしたビニールを打ち破ってもいいことになってはいるのだが、鳩の様子を見るためや、涼しい風を部屋に取り込むために、工事担当の方たちがせっせと施したパサパサとしたビニールを打ち破って窓を開けるのは、さすがに憚(はばか)られた。

 私たちは、ベランダに父ちゃんたちがいるのか、毎朝、毎晩、耳を澄ました。しかし、どんなに耳をそばだててみても、父ちゃんたちの羽の音は聞こえなかった。父ちゃんたちは、今でもベランダの外にいるのだろうか。本格的にマンションの大規模修繕工事が始まったので、ベランダで大人しくしているのだろうか。それとも、工事担当者の方たちにより、ベランダからすっかり追い払われてしまったのだろうか。私たちはやきもきしながら、窓を開けることのできない日々を過ごした。

 数日経つと、ガンモが、
「ビニールを打ち破らないにしても、窓だけでも開けてみると涼しいよ」
と教えてくれた。パサパサとしたビニールで窓が覆われていても、挑戦してみると、ほんの少しだけ窓を開けることができた。ただ、窓を開けることができても、そこにはパサパサとしたビニールがあるだけなのだが、窓をまったく開けないでいるよりは、少し風が入って来たのである。私たちは、パサパサとしたビニールと窓の隙間から入って来る風に助けられた。その状態で、ベランダの音に耳を澄ましてみたが、やはり羽の音も、父ちゃんたちの鳴く声も聞こえては来なかった。

 一週間か十日くらい、そんな状態が続いただろうか。ある日、仕事から帰宅すると、窓に張り巡らされていたパサパサしたビニールがすっかり撤去されていた。私たちは喜び勇んで窓を開けてみた。しかし、ベランダは壁も塗り替えられ、床のシートもきれいに張り替えられてものの、父ちゃんたちの姿はそこにはなかった。

 次の朝になっても、ベランダからは羽の音も父ちゃんたちの鳴く声も聞こえては来なかった。父ちゃんたちは、どこで寝ているのだろう。みんなで一緒にいるのだろうか。私たちはそのことが心配で心配で、窓を開けては外の様子を窺い、父ちゃんたちが帰って来ればいいのにと寂しい気持ちを募らせていた。

 ある日、朝から羽の音がバサバサと聞こえて来た。私は慌てて、まだ寝ているガンモを起こした。ガンモが寝室の窓を開けてみると、ベランダには父ちゃんたちがいた。どうやら、どこかで無事に寝泊りしているようだ。私たちは久し振りに、父ちゃんに餌を与えた。いつものように、父ちゃんは餌箱の中から、とうもろこしを上手に狙って突付いた。

 そんなことがあったので、父ちゃんたちはてっきり私たちのベランダに帰って来るものだと思っていたのだが、その日の夜になっても父ちゃんたちは帰っては来なかった。その代わり、毎朝ではないのだが、ときどき早朝にやって来た。相変わらず、他の鳩たちを元気に追いかけ回しているところからすると、「ここは俺の縄張りなんだからあっちへ行け!」と言っているのだと思う。私たちはその度に父ちゃんに餌を与えた。

 以前と変わったことと言えば、かつて父ちゃんたちが住んでいたベランダの壁は塗り替えられ、床のシートもきれいに張り替えられていることだ。もしかすると父ちゃんたちは、きれいになったベランダに遠慮しているのだろうか。いや、そうではなく、おそらく父ちゃんたちはシンナーの臭いが苦手で、私たちのベランダから遠ざかってしまったのかもしれない。

 私は、父ちゃんたちがいなくて寂しかったが、ガンモは、
「ここは父ちゃんたちの通り道なんだろうし、時々餌を食べに来るということは、ここのことをちゃんと覚えてるはずだから、きっと工事が終わって足場も取れたら、また戻って来るよ」
と言った。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m マンションの大規模修繕は順調に進んでいます。おかげで、マンションの見栄えもずいぶんきれいになったのですが、ベランダに父ちゃんたちの姿はありません。(苦笑)時々遊びに来るにはいいけれど、夜、安心して眠るには、シンナーの臭いがあまりにもきつ過ぎるのかもしれません。果たして、マンションの大規模修繕が終わったあと、父ちゃんたちは帰って来るのでしょうか。(笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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