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2010.11.16

保険屋さん(8)

マンションの大規模修繕(9)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 以前、我が家にモノが多いために、食事中に味噌汁をこぼしてしまい、ガンモと二人で笑い合ったという話をしたところ、「『家を片付けないからこんなことになるんだ!』と喧嘩にならないところがいいよね」と言ってくれた人がいます。そういう人は、私たちが何を大切に生きているかをちゃんと理解してくれているのだなあと思い、とてもうれしくなったことを思い出しました。私たちのことを外側から見ずに、ちゃんと内側から見てくれている貴重な存在です。それでは、保険屋さん(7)の続きを書かせていただきます。

 あるときガンモが、
「こんなのがポストに入ってたよ」
と言いながら、兵庫県民共済生活共同組合の新型火災共済・生命共済のパンフレットの入った封筒を私に差し出した。早速その封筒を開き、中身を確認してみたところ、掛け金の安さに驚いてしまった。兵庫県民共済は、少ない掛け金で加入できる保険のようである。テレビや雑誌などでの宣伝活動は行わず、ポストへの投函のみでその存在をアピールしているようだ。これまでにも何度かこれと同様のパンフレットがポストに入っていたことがあるのだが、一度も真剣に吟味したことはなかった。しかし、先日、保険屋さんが提示してくれた医療保険のプランが、今の私にとってことごとく不利な内容だったため、他に条件の良い保険があれば加入してもいいのではないかと思い始めていた。

 私は、昼休みに保険屋さんが私の席にやって来たときに、ポストに入っていた兵庫県民共済のパンフレットをチラリと見せてみた。驚いたことに、保険屋さんは、自社以外の保険についても実に良く研究されていた。保険屋さんは、私の持っていた兵庫県民共済のパンフレットをご覧になり、確かに毎月の掛け金は少ないかもしれないが、年齢が高くなると保障が半分になってしまうことや、保険屋さんが立ててくれたプランよりも入院時の受け取り金額が少ないこと、それから、入院についても入院初日からの支払いではなく、最初の四日間は保険料が支払われないことなどを次々に指摘した。

 私は保険屋さんに、
「すごいですね。自社以外の保険についてもしっかりと研究されてるんですね」
と言った。そろそろ自分の昼休みを取り戻したいなどと心の中では思いながらも、ついつい自分から保険屋さんにネタを提供してしまう私である。おそらくこれは、沈黙を苦手とするO型特有の性格のせいなのだろう。とは言え、保険屋さんに兵庫県民共済のパンフレットを見せたのは、保険屋さんが私に提示してくれた医療保険のプランへの反発でもあった。

 その次に保険屋さんが私のところにやって来たのは、確か私が個人年金に加入する手続きをしてからおよそ二週間後のことである。私は、次に保険屋さんに会ったときは、今度こそ自分の時間を優先させようと思い、保険屋さんに対して少しだけバリアを張って自分の時間を守るつもりでいた。ところが保険屋さんは、私の席に突進して来るなり、
「先日はご成約ありがとうございました。保険証書もまもなく出来上がるかと思います。よろしかったらこれ、召し上がってください」
と言って、箱菓子の入った紙袋を差し出して来た。突然のことに私が戸惑っていると、保険屋さんは、
「ご成約いただいた皆さんにお渡ししているものですので、どうぞ」
と言って、私に箱菓子を受け取るように促した。そこで私は戸惑いながらも両手を差し出して、保険屋さんから箱菓子を受け取った。

 そのとき保険屋さんは、とても晴れ晴れしい表情をしていた。その晴れ晴れしい表情から、保険屋さんには、顧客が申し込みをしてから保険証書が作成されるまでは、契約が取れたという保険屋さんの喜びがまだ確定しない状態であることが窺えた。保険屋さんにしてみれば、保険証書が作成される段階になって初めて、契約が取れたと安心できるものなのかもしれない。私が保険屋さんから差し出された箱菓子を受け取ると、保険屋さんは一礼したあと、そそくさとオフィスを出て行った。

 私は帰宅してから、ガンモと二人でその箱菓子をおいしくいただいた。その後、保険屋さんは私の働いているオフィスに何度か足を運ばれているようだったが、それ以来、私には一度も声を掛けて来なくなった。これまで重ねて来たコミュニケーションは、やはり保険契約を取るためのものだったのだろう。私は、いきなり訪れた静かな昼休みに安心するというよりも、自分がどこかに置き去りにされてしまったような一抹の寂しさを感じてしまうのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 例えばスーパーで働くとして、AさんとBさんが陳列棚に商品を並べたとします。スーパーの場合、Aさんが陳列棚に並べた商品よりもBさんが陳列棚に並べた商品のほうがたくさん売れたとしても、AさんとBさんのお給料に差が出るわけではないですよね。しかし、保険屋さんは、営業成績がはっきりとお給料に現れる仕事なのでしょう。だから明らかに、保険あるいは個人年金への加入後は、目的を達成したような態度に切り替わるのでしょうね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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