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2010.11.26

映画『彼女が消えた浜辺』

開放感の漂う宇宙船(後編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。子宮全摘手術を勧めるI医師の言葉を受けて考察中の内容については、後日、改めて書かせていただきたいと思います。もちろん、まだ手術を受ける決心がついたわけではありません。結果を保留にしたまま、あれやこれやと思案中であります。

 本作は九月二十三日にホットヨガ梅田店近くのミニシアター映画館で鑑賞した作品である。もしかすると、私にとっては、劇場で鑑賞する初めてのイラン映画だったかもしれない。

 あるグループが、二泊三日の予定で浜辺の家にやって来る。しかし、予約していた浜辺の家は一泊しか利用できないことが判明する。そのため、長いこと利用客がいなかったために多少荒れ果ててはいるものの、借りる予定にしていた家よりも更に海に近い別の家を借りることにする。グループは互いに協力し合って、宿泊することになった浜辺の家を掃除したり、また修理したりして、少しでも快適に過ごせるように努める。何とかそこで一夜を過ごすものの、家のすぐ近くにある海で子供が溺れかけてしまい、グループの中に緊張感が走る。幸い、溺れかけていた子供は無事に救出されたものの、グループの中の女性の一人が失踪しまったことがわかる。彼女は溺れかけた子供を助けようとして波に呑まれてしまったのではないか、あるいは失踪する前に、彼女が二泊三日の予定を一泊だけで切り上げて帰りたいと言っていたことから、グループのメンバーに黙って帰宅してしまったのではないかという憶測が飛び交う。失踪した彼女に関する情報を必死に集めようとするものの、彼女がエリという名前であること以外はほとんどわからない。それでも、少しずつ彼女に関する事実が明るみになって行く中で、ようやく彼女の肉親と連絡が取れるのだが・・・・・・。

 外国映画を鑑賞するだけで、その国に住む人たちの思想や倫理観に触れることができるとしたら面白い。本作は、まさしくそういう作品である。本作を通して、結婚を前提とした男女のあり方について、イランの人たちが普段からどのような考えを持っているかが手に取るようにわかる作品である。実は、エリには婚約者がいたのだが、エリを誘ったセピデーという女性がその事実を隠し、エリをグループのある男性に紹介したのだ。そのことを知らないグループのメンバーは、エリとある男性をカップルに見立てて冷やかしたりする。

 また、本山は、エリの失踪を通して、グループの人たちの心の動きが実にリアルに描き出されてもいる。エリを誘ったセピデーは、一泊だけで切り上げて帰宅したいと申し出たエリに対し、エリが浜辺の家を去り難くなるような小細工をしていたことがわかる。セピデーは、少しでもエリの情報を得ようとするグループのメンバーに対し、これまで内緒にしていたエリの事情を少しずつ明らかにし始める。やがて、エリの失踪の知らせを受けて、浜辺の家にはエリの婚約者の男性が駆け付けるのだが、セピデーからエリの事情を聞き出したグループのメンバーは、エリの婚約者に事実を包み隠さず話すか、それともグループのメンバーで口裏を合わせて嘘をつくかで激しい葛藤を繰り返すのだった。

 仮に同じテーマを扱うとして、舞台をイランではなく日本に置き変えたならば、エリの婚約者に対して事実を包み隠さず話すか、それともグループのメンバーで口裏を合わせて嘘をつくかの激しい葛藤の描写が少々物足りないものになってしまうだろう。何故なら日本では、結婚を前提とした男女のあり方について、すべての人たちが共通の価値観を持っているとは限らないからだ。そのため本作は、舞台がイランだからこそ成り立っている作品であるとも言える。それでも、一人の女性の失踪を通して、ここまで緊張感を表現できる作品は素晴らしい。わずか三日間の出来事なのに、鑑賞する人たちに緊張感が走るほど詳細に描写されているのだ。すなわち、派手なアクションなど用意されていなくても、心理的な状況で手に汗を握るような展開となっているわけだ。言うまでもなく、私好みの作品であるのは間違いない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 本作のアスガー・ファルハディ監督は、本作でベルリン映画祭最優秀監督賞を受賞されたそうです。なるほど、その受賞にふさわしいだけの素晴らしい作品でありました。いつも思うのですが、どんな本を読み、どんな映画を観て、どんな音楽を聴いて、どんな絵画を鑑賞するかなどの芸術的刺激によって人間が形成されて行くのだとしたら、こういう素晴らしい作品がミニシアター系映画館でひっそりと上映されているのはとても残念なことですね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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