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2010.09.09

映画『必死剣 鳥刺し』

機嫌を損ねた自転車(前編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 我が家には、自転車のメンテナンス用グッズがたくさんあります。チューブやタイヤの買い置きなどもあります。(苦笑)私が乗っているのは、新婚時代にダ○エーで購入したそれほど高くはない自転車ですが、もう十数年もガンモのメンテナンスを受け続けて何度も蘇っています。(笑)

 本作もまた、成田国際空港からフランクフルトに向かう飛行機の中で鑑賞した作品である。時代劇が好きではないため、普段は時代劇を避けて映画を鑑賞している私だが、藤沢周平さん原作の作品は、人間の生き様が実に深いところまで描き出されているので、できれば見逃したくはなかった。しかし、本作が劇場公開されていた頃、私は夏休みの旅行の準備を整えるのに必死剣、いやいや必死で、時間的な余裕がほとんどなかった。劇場で鑑賞された方のレビューを拝読して、できれば私も劇場に足を運びたかったと後悔したものだった。そんな私の気持ちを察するかのように、本作が、私の乗った国際線の飛行機の中で鑑賞できるメニューに加えられていたのはとてもラッキーなことだった。

 それにしても、私は「隠し剣」シリーズなるものをまったく知らなかったので、劇場で何度か予告編を観ても、また、そのタイトルからも、本作の内容を想像することはほとんど不可能だった。鑑賞中、どうしても、「必死剣とは? 鳥刺しとは?」という疑問が浮かんでしまうのだ。しかし、最後まで鑑賞することにより、必死剣も鳥刺しも理解できるようになっている。

 とは言え、本作の始まり方に、私は少々面食らった。何故なら、豊川悦司さん演じる兼見三左ェ門が、お城の中である女性を刺殺するところから物語が始まるからである。最初のうちは、「一体何故?」と疑問ばかり浮かんで来るのだが、三左ェ門が何故、その女性を刺殺するに至ったのか、鑑賞を進めて行くうちに少しずつ理解できるような構成になっている。

 三左ェ門が刺殺したのは、藩主である右京太夫の愛妾・連子だった。藩主の愛妾をいきなり刺殺したのだから、三左ェ門はすぐにでも打ち首にされてもおかしくない状況だったはずなのだが、どういうわけかそうはならず、閉門だけで済んだ。そこがまたまた不思議なところなのだが、実はそれにもちゃんと理由があったのだ。その理由とは、右京太夫の藩の治め方に強く反発する吉川晃司くん演じる、剣の達者なご別家の帯屋隼人正と対決させられることだった。

 私は本作を鑑賞しながら、貧しい農民たちからたくさんの年貢を巻き上げようとする右京太夫のやり方に強く反発していたので、農民たちの味方であるご別家を密かに応援していた。だから、三左ェ門がご別家と対決することになったとき、少々戸惑ったものだ。何故なら、連子を刺殺した三左ェ門のことも、同じ理由で密かに応援していたからだ。

 自分の応援している二人が今にも目の前で対決しようとしていたが、そもそもこの二人の中には、陰陽ではあるものの、右京太夫のやり方に強く反発するという同じ想いがあったはずではないだろうか。明らかに右京太夫のやり方に強く反発していたご別家は陽の立場、一方、右京太夫の愛妾を刺殺するという方法で右京太夫のやり方を一部食い止めようとした三左ェ門は、陰の立場である。それなのに、策略により、対決させられることになったと言っても過言ではない。

 しかも、対決のあとに、三左ェ門にとっては不本意な裏切りもある。そのときになって初めて、三左ェ門は自分が利用されていたことを理解するのだ。そこで、必死剣取刺しが登場するというわけなのである。「必死剣鳥刺しとは何ぞや?」と、頭の中で疑問を抱きながら鑑賞していただけに、突然現れた必死剣鳥刺しに驚き、そして納得するのだ。とある映画サイトの解説によれば、必死剣鳥刺しとは、ほとんど死んだ状態で使われる必殺技らしい。

 かつて、三左ェ門には妻がいたのだが、あいにく病気で亡くなってしまっていた。連子殺しを実行すると心に決めたとき、打ち首になって、愛する妻の元へ行きたい気持ちもあったかもしれない。連子殺しの罪により三左ェ門が閉門されている間、せっせと三左ェ門の世話をしていたのは、亡き妻の姪である里尾だった。里尾は明らかに三左ェ門に惹かれているのが良くわかる。のちの二人のラブシーンに、しっかりと心の繋がりが描かれていたことから、三左ェ門は単なる欲望から里尾と関係を持ったのではないことがうかがえる。二人には輝かしい未来があったはずなのに、三左ェ門はとうとう、必死剣鳥刺しの技を使う羽目になってしまったのだ。

 ハッピーエンドではないだけに、最後はひどく物悲しい。事情も知らず、ひたすら三左ェ門を待ち続ける里尾の姿が痛々しい。それでも、三左ェ門と里尾の間に生まれた子供の存在が、三左ェ門に似た強い子に育って行くであろう未来をうかがわせるのだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 藤沢周平さん原作の作品の主人公には、口数の少ない男性が似合うように思います。主人公は、言葉では表現し切れない想いを抱えていることが多いのですね。それを思うと、豊川悦司さん演じる三左ェ門は適役だったと思います。ちなみに、三左ェ門と対決することになるご別家を演じていたのが、私と同い年の吉川晃司くんだったことを、鑑賞し終わってから気づきました。(苦笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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