« 映画『必死剣 鳥刺し』 | トップページ | ホットヨガ(一九九回目) »

2010.09.10

機嫌を損ねた自転車(後編)

映画『必死剣 鳥刺し』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m いつも画像をアップロードしている自宅サーバのガンまるコムサーバがしばらくダウンしていました。そのため画像が表示されず、皆さんにはご迷惑をお掛けいたしましたことをお詫び申し上げます。それでは、機嫌を損ねた自転車(前編)の続きを書かせていただきますね。

 あれは、梅田店のスタジオでホットヨガのレッスンを受けた帰りの夏真っ盛りの日曜日の夜のことである。その日はガンモが仕事の待機要員(客先でトラブルが発生した場合、ただちに客先に出掛けて行ってトラブル対応する当番のこと)だったため、私はホットヨガのレッスンのあと、映画を鑑賞して帰宅しようとしていた。

 大阪駅から電車に乗る前にガンモに電話を掛けてみると、ガンモは業務用携帯電話でトラブル対応をしていたようだった。その日はご飯を炊いていなかったので、帰宅したらガンモと一緒に食べようと思い、自宅の最寄駅前にあるお惣菜屋さんでお弁当を買って自転車に乗った。帰宅する前にもう一度ガンモに電話を掛けてみると、ガンモは客先のトラブル対応のため、あと四十分ほどで出掛けて行くと言う。私は、ガンモが出掛けて行く時間までには何とかお弁当を食べ終わるだろうと思い、家路を急いた。

 ところが、自宅の最寄駅から少し走ると、自転車のチェーンが嫌な音を立てたかと思うと、ペタルが空回りを始めた。どうやら、またしてもチェーンが外れてしまったようである。私はすぐに自転車を降りて、チェーンを確認した。見ると、やはりチェーンが外れているではないか。ああ、困った。これからガンモが仕事に出掛けようとしているのに、お弁当を届けることができないかもしれない。私は、早く家に帰りたいのに、自転車のチェーンが外れて動けなくなり、やきもきしていた。

 ひとまずガンモに電話を掛けて、自転車のチェーンが外れて身動きが取れない状態にあることを報告すると、ガンモは、
「今、どこ?」
と聞いて来た。私が、
「まだ駅前。○○の近く」
と答えると、
「悪いけど、今回は自分で何とかして。できるはずだから」
とガンモは言った。客先でトラブルが発生して、これから客先に向かおうとしているのだから、仕方がない。私はガンモに、外れたチェーンを元に戻すコツを聞いてみた。するとガンモは、
「ペダルを反対方向に回すんだよ」
とアドバイスしてくれた。私は、
「うん、わかった」
と言って電話を切った。

 私は、自転車の前籠に入れていたホットヨガ用のバッグとさきほど買ったお弁当を道端に降ろし、外れたチェーンを元通りに戻すよう努めた。しかし、暗くて外れたチェーンの様子が良く見えない。私は、少しでも光のある方向に自転車の向きを変えた。そして、手を真っ黒に汚しながら、外れたチェーンを元通りに戻すべく頑張ってみたのだが、なかなかうまく行かなかった。

 そう言えば、先日もチェーンが外れたときに、ガンモが、「自転車をひっくり返して直すのに、マンションの駐車場に一人で残るのは恥ずかしい」というようなことを言っていたことを思い出した。私は、自転車をひっくり返すことが、自転車のチェーンが外れたときのお作法なのかと思い、大胆にもサドルを下にして、自転車をひっくり返してみた。すると、これまでは重力の関係で垂れ下がっていたチェーンが反対向きになり、元通りに戻し易くなっていることに気が付いた。私は、手が汚れるのもかまわず、外れたチェーンを元に戻した。何だ、やればできるじゃないか。女性は機械が苦手だと言われているが、それは、いざというときに求められる冷静な判断力が足りていないせいだと思われる。こうして冷静になってロジカルに考えれば、たいていは対処できるものだ。

 私は、チェーンが元通りになったので、喜び勇んでホットヨガの荷物を前籠に戻し、買ったばかりのお弁当も持ち直して、再び家路を急いだ。

 ところが、しばらく走ると、チェーンが再び嫌な音を立てて空回りし始めた。今になって思えば、チェーンを元に戻したあとも、変速レバーを一番軽い状態にしていたために、チェーンに弛みが出来てしまい、チェーンが外れやすくなっていたのだと思う。私は、再びチェーンが外れたことにイライラしたが、さきほどと同じように、自転車をひっくり返して、チェーンを元通りに戻した。

 しかし、再び自転車で走ろうとすると、チェーンは元通りに戻っているはずなのに、どういうわけかペダルが空回りして、自転車が前に進まないのだ。私はもう一度自転車をひっくり返して、チェーンの様子を確認した。外れたチェーンはしっかりとギアに収まっているのに、どうしてペダルが空回りしてしまうのか、私にはわからなかった。

 時間を優先させたい私は、ひっくり返していた自転車を元に戻し、コロコロと転がし始めた。とにかく家に帰らなければ。これから仕事に出掛けて行こうとしているガンモに、せめてお弁当だけでも手渡したかった。しかし、自転車を転がして帰るには、ガンモが家を出る時間までもはや余裕がなかった。私は明かりのあるところに自転車を停めて、再び自転車をひっくり返してみた。そして、私はようやく理解した。外れたチェーンはしかりとギアに収まっているように見えたが、良く見ると、ギアの突起からは外れたところにチェーンが収まっていたのだ。そのため、ギアとチェーンがうまく連動できずに、ペダルが空回りしてしまっているようだ。

 私は、力をこめてチェーンをいったん浮かせて、ギアの突起に食い込ませようと頑張ってみたが、何度やってもうまく行かなかった。夜とは言え、夏真っ盛りのお盆の頃だったので、私は手が真っ黒になっているだけでなく、汗だくだった。こんなに汗だくになりながら頑張っているというのに、通行人は私をどんどん追い越して行った。

 そう言えば、私がまだ若い頃のことである。確か東京に住んでいたときだったと思うが、同じように自転車のチェーンが外れて途方に暮れていると、見知らぬ男性が声を掛けてくださり、手が汚れるのもかまわず、自転車のチェーンを元通りに戻してくださったことがある。私は、その男性が王子様に思えたものだった。今回も、王子様の登場を密かに期待していた気持ちもある。しかし、東京と関西では事情が違うのだろうか。それとも、現在は何もかも電動式に変わってしまったため、機械に強い男性は少なくなってしまったのだろうか。

 そんなことを考えながら、私は仕方なく、自転車を転がしながら帰宅した。ガンモは客先のトラブル対応のため、既に出掛けてしまっていた。その日、ガンモが仕事から帰宅したのは深夜のことだった。ガンモは深夜であるにもかかわらず、またしても私の自転車のチェーンを元通りに直してくれた。やはり、チェーンの弛みが原因だったらしく、ガンモは金属製の時計のバンドの長さを調整するかのように、チェーンの長さを調整するための器具を使って、互い違いに組まれているチェーンを二つ取り外し、チェーンの弛みを取った上で、チェーンを元通りにしてくれたようだ。

 私はガンモにお礼を言った上で、
「東京に住んでいたときにさ、やっぱり自転車のチェーンが外れて困っていたら、男の人が声を掛けてくれて、自分の手が汚れるのもかまわず、チェーンを直してくれたんだよね。今回もそういう人が現れないかなと期待していたんだけど、最近の男の人は機械に弱いのかなあ。みんな通り過ぎて行ったよ」
とぼやいた。するとガンモは、
「いやいや、それはまるみがまだ若かったからでしょ。それに、今よりも痩せてたしね」
と言った。
「ええええ? そんなあ!」
かつて私を助けてくれた王子様も、私がまだ若くて、今よりも痩せていたから助けてくれたのだろうか。私はそうは思いたくなかったが、あれほど普段からお人よしな関西人が、自転車をひっくり返して格闘している私を無視してどんどん通り過ぎて行ったのだから、ガンモの言う通りか、私の言うように機械に弱くなってしまったかのどちらかである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 何はともあれ、チェーンの不具合に関してはこれで落ち着きました。チェーンが外れ易くなっていたのも、ちゃんと理由があったのですね。ガンモが器具を使って、チェーンを二つ分取り外してくれたおかげで、現在は変速レバーを一番軽くしても快適に走ってくれています。ただ、古い自転車なので、これからもガンモの自転車のメンテナンスは続きそうです。(笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« 映画『必死剣 鳥刺し』 | トップページ | ホットヨガ(一九九回目) »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18521/49414277

この記事へのトラックバック一覧です: 機嫌を損ねた自転車(後編):

« 映画『必死剣 鳥刺し』 | トップページ | ホットヨガ(一九九回目) »