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2010.09.27

映画『パリ20区、僕たちのクラス』

まだまだ関西人にはなり切れない私の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m このあたりの関西人的な感覚については、関西に住み始めて十四年経った今でも、なかなか慣れることができません。(苦笑)おそらく、関西でしか生活したことのない方たちには、私の主張している人との距離感がなかなか伝わり難いかもしれませんね。誰に対しても、何故、もっと近付かないのだろうと思われるかもしれませんが、様々な出来事を通して私が言いたいのは、親しさの度合いによって、保つべき距離を調整したいということです。

 本作を鑑賞したのは、夏休み前の七月十八日のことである。まだじわじわと全国展開されているようで、私が鑑賞したのはホットヨガの梅田店のスタジオ近くのミニシアター系映画館だったのだが、それからしばらく経ってから、私が最も良く足を運んでいる三宮のミニシアター系映画館でも上映されていた。

 本作を鑑賞するに至ったのは、予告編の内容に引き込まれたからに他ならない。移民の多いパリ20区に住む中学生たちの学園生活を描いた作品なのだが、何と、生徒たちを演じているのは、本作で初めて演技をする子供たちばかりだという。それにもかかわらず、様々な国籍を持つ子供たちの織り成す人間模様がリアルかつ自然に描き出されているのは、彼らがとてもリラックスした状態で、ごく自然な演技をしていたからだと思う。私には、まるで本作に登場する二十四人の子供たちが本当のクラスメートのように感じられたものだ。

 果たしてパリ20区とはどこに位置しているのだろうと思い、パリのガイドブックを開いて確かめてみると、パリの最も東側に位置していることがわかった。ちょうど私たちがパリを訪れたときに足を運んだ場所としては、ペール・ラシェーズ墓地あたりがパリ20区に該当する。

 そう言えば、私たちが宿泊していた北駅周辺にも移民が多かった。だからと言って、決して治安が悪いというわけではなく、私たちはむしろパリの庶民的な雰囲気を味わうことができたと言える。しかし、本作に登場する子供たちのはちゃめちゃぶりを拝見すると、まだまだ北駅周辺のほうが大人しい地域なのではないかとも思えた。

 国語(と言っても、舞台がフランスなので、国語と言えばフランス語のこと)教師である主人公のフランソワを演じているのは、本作の原作者でもあるフランソワ・ベゴドーである。彼が子供たちに一生懸命フランス語の文法を教えようと情熱を傾けるシーンはとても興味深かった。映画の中でフランス人からフランス語を学べるという面白さに加え、子供たちが試行錯誤を繰り返しながら、フランス語の正しい文法へとたどり着いて行くプロセスを見守るのはなかなか面白かった。フランス語の専門的なところは良くわからないのだが、どこの国でも子供たちは、悩み抜きながら国語を習得して行くものだとわかり、フランス語や英語を外国語として学習して来た私としては安心感にも似た感覚を味わった。

 とりわけ、このクラスには様々な国籍を持つ子供たちが多いために、中にはフランス語を母国語としない子供たちも含まれていた。例えば、中国人の男の子がいるのだが、彼はフランス語がまだあまり得意でないこと以外は、教師たちの心のよりどころとなるくらい成績優秀だった。

 また、子供たちは普段からスラングに慣れているために、正しいフランス語からはかけ離れた表現を使うことも多かったようだ。フランソワは、そんな子供たちに正しいフランス語を教えようと一生懸命だった。子供たちに作文を書かせるシーンもいい。子供たちはそれぞれ、個性豊かな表現方法で自己を表現して行く。

 移民が多いということで、クラスとしてのまとまりに欠けていたり、時には特定の子供の出身国を馬鹿にするような行為も見受けられた。また、父兄との話し合いが困難な状況も映し出されていた。例え住む国が変わったとしても、子供たちはすぐに新しい環境に順応し、フランス語も比較的早く習得する。しかし、フランス以外の国で生まれ育った大人たちはなかなかフランス語を理解できないでいる。そのため、父兄との話し合いに、子供が間に入って翻訳したりしていた。移民の少ない日本では考えられないような光景が、そこには広がっていた。

 とにかくはちゃめちゃな子供たちを抱える中学校の先生たちは、なかなか言うことを聞いてくれない子供たちに手を焼いているようだった。その中でもフランソワは、比較的、子供たちとうまくやっているように見えた。しかしそれも最初のうちだけで、ある時期から、特定の生徒との間に溝が出来てしまうのだ。

 私には、パリは自由なところというイメージがある。例えば、日本からヨーロッパに入ろうと思えば、イギリスのヒースロー空港から入るよりも、フランスのシャルル・ド・ゴール空港から入ったほうが断然スムーズに入国手続きが完了する。それは、フランスという国が、外国人を容易に受け入れているという現れでもあると思う。また、仕事を持って働くとなると、取得できる有給休暇の日数も多く、有給休暇の消化率も抜群に高いようだ。そんな自由な雰囲気に強く惹かれて、多くの外国人たちがパリに集まって来るのかもしれない。

 フランソワは、そんなふうに集まって来たバラバラの国籍を持つ子供たちの個性を伸ばしながら、クラスとしてまとめようとしていた。私は、ここでも人との距離の保ち方に注目した。子供たちがなかなか言うことを聞かないからと言って、子供たちを腫れ物のように扱って遠ざけるのではなく、愛情を持って近付いているために、子供を叱るシーンにも好感が持てた。フランソワは、今の時代には珍しい先生かもしれない。だから、初めて演技をする子供たちがあんなにも自然に輝いていたのだろうか。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m まるでドキュメンタリーのように作られている作品なのですが、実際はドキュメンタリーではなく、ちゃんと台本のある作品のようです。それくらい、出演している方たちの演技が子供たちも含めて自然なのですね。こんな映画はちょっと珍しいと思います。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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