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2010.07.05

映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』

青森~北海道、飛行機と寝台列車の旅(4)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 今になって思えば、あのような日帰り温泉が近くにオープンすれば、昔ながらの銭湯は廃業に追い込まれてしまったとしても仕方がないのかもしれませんね。もう営業はしていないけれど、建物だけが残っている銭湯をいくつも見て来ましたが、機能しなくなった建物がそのまま残っているだけに、余計にやるせなさを感じてしまいますね。

 ガンモと二人で観たいと思いながらも、なかなかお互いの都合が合わずに鑑賞することができなかった本作を、ようやく鑑賞することができた。他にも鑑賞している作品がたくさんあるのだが、今回は鑑賞の順番を入れ替えて、先日鑑賞したばかりの本作のレビューを書かせていただくことにする。

 たいていの場合、ガンモと一緒に映画を鑑賞するときは、レイトショーに足を運んでいる。しかし、レイトショーが上映されるのは、劇場公開後、しばらくの間だけである。劇場公開期間が長くなるにつれ、客足が落ち着いて来ると、次第に明るい時間帯のみの上映へと切り替わって行く。そうなると、あらかじめ前売券を購入していない場合、映画を千円で鑑賞できる日にでも当たらない限り、映画の鑑賞料金が割高になってしまう。いざとなれば、金券ショップで前売券を購入する手もあるのだが、実際に鑑賞するまでにまだ少し余裕があるのであれば、派遣会社の福利厚生サービスを利用して鑑賞券を申し込んでおけば、前売券を一枚千二百十円で郵送してもらえる。千二百十円で映画を鑑賞できるならば、レイトショーよりもわずか十円高いだけなので、私としても納得の行く値段なのだ。

 それはさておき、私たちは既にまばらになってしまった上映スケジュールと自分たちのスケジュールを照らし合わせた結果、カングーに乗って尼崎まで出掛けることにした。およそ一年前に、JR尼崎駅前に大型シネコンが出来たのだ。本作は、松竹系の作品なので、上映館が限られているのである。

 本作のおおまかなストーリーをご紹介させていただくと、東京で働くエリート会社員が、母親の病気をきっかけに、生まれ故郷の島根に戻り、子供の頃からの夢だったという一畑電鉄の運転手になるという話だ。私たちは、二〇〇四年に一畑電鉄を乗り潰しているので、実際に自分の乗車した電車が繰り返しスクリーンに映し出されるのはうれしいものだと感じた。しかも、私はゴールデンウィークに出雲市を訪れていて、本作のポスターを出雲市内のあちらこちらで見掛けているのだ。

 実際に一畑電鉄に乗車しているだけに、ちょっとマニアックな状況も良く理解できた。例えば、ラストで中井貴一さん演じる主人公の肇(はじめ)と、高島礼子さん演じる妻の由紀子が駅のホームで顔を合わせるシーンがある。互いの夢を追いかけるために、やむなく別居中の二人だったが、このとき、由紀子以外の乗客はみんな電車に乗ったままなのに、運転手と車掌がホームを歩いて入れ替わっている。実はこのシーンに採用されている一畑口駅はスイッチバックの駅のため、進行方向がこれまでとは反対になるのだ。運転手と車掌がホームを歩いて入れ替わっているのは、そのためなのである。

 そのスイッチバックの駅で、東京と島根で離れ離れになって暮らしている肇たち夫婦は、事実上の別居という現実に対し、納得の行く答えを出せないでいた。それでも、由紀子が自分の運転する電車に乗ってくれていたことを知った肇は、
「最後まで乗って行ってくれよな」
と由紀子に言う。これは、単に自分の運転する電車に乗って行って欲しいというだけでなく、これからの二人の人生のことも同時に意味していると思う。しかも、スイッチバックという、人生の転機にも値する駅でその台詞を言うのだから、一畑電鉄を知る人にとっては、思わず微笑みたくなるような設定である。

 ちなみに、本作の中で私が最も素晴らしいと感じたのは、運転手の認定試験への合格を知らされたときの中井貴一さんの演技である。「ヤッター!」とガッツポーズを取るような陽の演技ではなく、自分の席で静かにほくそえむ陰の演技が活きているのだ。自分の中で隠し切れない喜びを静かに漏らす表情がたまらなくいい。

 また、自分の取った行動に責任を取るために、肇が一畑電鉄の社長に辞表を提出したあとの展開も素晴らしい。事故は、実に様々な要因が重なって起こるということ、そして、まるで鶴の恩返しのように、これまで肇が助けて来た人たちが集まり、
「辞めないでください」
と肇に言う。タイミング的にもこのような状況は有り得ないと感じながらも、思わず感動で涙を流してしまうのだった。

 エリート会社員だった頃、地方にある工場を閉鎖するときでさえ、閉鎖される工場で働く人たちの気持ちも一切考えなかった肇が、一畑電鉄の運転手になってからは、時間通りに電車を走らせるという会社の方針をさしおいて、電車が遅れるのもかまわず、乗客一人一人の事情を尊重する運転士ぶりを発揮していた。自分の好きなことを仕事にするというのはまさしくこういうことなのかと、仕事を持つ私も改めて深く考えさせられた。

 本作には、仕事に対する姿勢のほかにも、生まれ故郷から離れたところに人生の基盤を築いているということ、故郷に残した親の健康状態、そして夫婦のあり方など、様々なテーマがふんだんに盛り込まれている。上映終了間近で、ほとんど滑り込みセーフといってもいいくらいの鑑賞となってしまったが、鑑賞後、ガンモと二人で、
「ああ、ほんとにいい映画だったね」
と連発していた。百三十分という比較的長い上映時間だったにもかかわらず、最初から最後まで飽きることなく私たちを惹き付けてくれた本作にたくさんの拍手を贈りたい。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 実際に乗車された方ならおわかりいただけるかと思いますが、一畑電鉄は走行中にひどく揺れるんですよね。時には、自分が因幡の白兎になったのではないかと思えるくらい、身体が上下に揺れるのです。とてもノートパソコンなど取り出してゴソゴソするわけには行きません。(苦笑)本作の中で一畑電鉄に乗車されている乗客の方たちも、走行中に身体がひどく揺れていました。(笑)ちなみに本作は、島根出身の監督が手掛けたそうです。なるほど、それで島根に対する思いやりたっぷりの作品に仕上がっているというわけなのですね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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