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2010.07.23

映画『ブライト・スター~いちばん美しい恋の詩(うた)~』

青森~北海道、飛行機と寝台列車の旅(8)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 運河と川の区別があまり良くわかっていなかったのですが、調べてみると、運河は人工的に作られたもので、川は自然の産物だったのですね。私は、運河は単なる水溜りなのかと思っていました。だから、水の流れが緩やかなのだろうと・・・・・・。(苦笑)そう言えば、運河という漢字を見てみれば、運ぶための河と書かれていましたね。(苦笑)

 今、誰かに
「どんな映画が好き?」
と尋ねられたならば、間違いなく本作のタイトルを挙げるだろう。金曜日の夜、仕事を終えたあとに鑑賞するのに、上映時間が遅かったため、映画『シーサイドモーテル』を鑑賞しながら本作の上映時間が訪れるのを待った。待っただけあって、私は本作の情緒的な世界に酔いしれた。

 本作を手掛けたジェーン・カンピオン監督は、確か女性監督だったはずだ。彼女の過去の監督作品である映画『ピアノ・レッスン』も心に深く刻み込まれる作品だったが、本作もまた、私の心に素晴らしい贈り物を残して行ってくれた。

 私は、キーツという詩人を知らない。映画サイトの情報によれば、キーツはのちにシェイクスピアと比較されるほど高く評価された詩人だが、わずか二十五歳の若さでこの世を去ってしまったらしい。そのキーツには、ファニーという恋人がいた。本作は、キーツとファニーの純愛物語なのである。

 ファニーの隣家に住むブラウンのところにキーツが居候していることから、二人は出会う。ファニーはブラウンのことをひどく嫌っているのだが、ブラウンとキーツは親友の間柄である。ファニーは、雑なブラウンとは違い、繊細なキーツに次第に惹かれて行ったようだ。

 若い男女が出会い、恋に落ちるとき、通常は二人だけの独特な世界が形成されて行くものだが、二人が隣家に住む隣人同士ということで、ファニーの家族を巻き込みながら、二人の恋が形成されて行く。時には、ファニーの小さな妹や弟たちが二人のデートに付いて来たりするのも面白い。ブラウンの家に一人で居候しているキーツに対し、家族と一緒に住んでいるファニーは、家族とは切っても切れない縁があるのだ。

 ジェーン・カンピオン監督は、映画『ピアノ・レッスン』で成熟した大人の男女の恋愛模様を描き出したが、本作のファニーとキーツはどこまでもプラトニックな関係である。キスシーンはあるものの、決して濃厚なものではなく、ベッドシーンもない。それはやはり、ファニーにとって、家族との繋がりが深かったからかもしれない。

 不幸にも、キーツは弟を病で亡くしてしまうのだが、のちにキーツ自身も病に冒されてしまう。その間、ファニーとキーツは物理的に離れたりくっついたりする。私は、本作を鑑賞しながら、心の中で「そうだよなあ、そうだよなあ」とうなずいている。魂に深く刻まれる男女関係というものは、ポジティヴでもあり、同時にネガティブでもあるのだ。もしも、ポジティヴだけしか存在しないというのならば、その愛の思い出は、いつか忘れ去られてしまうだろう。進んでは戻り、戻っては進むといった状況を何度となく繰り返すことにより、絆がいっそう深まるのだ。

 印象に残るシーンがある。それは、二人がまだ本格的に愛を交し合う前に、キーツがファニーとブラウンの関係を疑い、無言のまま激しく嫉妬するシーンだ。キーツは詩人なのに、自分の気持ちを素直に、そして的確に表現することができない。おそらくだが、その気持ちは私にも良くわかる。実際、言葉を紡ぐことを好む人たちの多くがそうではないだろうか。言葉を紡ぐことにこだわりを持つあまり、実際に人と対面しているときは、なかなか的確な言葉が出て来ない。私の場合、実際に人と会ったり電話で話をしたあとに、「ああ、やっぱり私はこのことが言いたかったのになあ」と、伝えたかった言葉があとからあとから浮かんで来る。普段、言葉を紡ぐために時間を掛けている人ほど、この傾向は強いのではないだろうか。

 互いの想いを渡し合ってからの二人は、美しいの一言に尽きる。二人を包み込む自然と、二人を見守るファニーの家族、二人が物理的に離れているときにキーツからの手紙を待ち望むファニー・・・・・・。どのシーンを回想しても、ため息が出て来るほど美しい。ああ、本当に、ここまで強く引き合う二人ならば、幸せになって欲しい。そう思うのだ。しかし、残酷にも、病魔はキーツの身体を蝕んで行く。

 キーツが亡くなったという知らせを受けたファニーが家の中で泣き崩れ、息ができないと母の助けを求めるシーンも印象的だ。自分の感情と呼吸のバランスが取れなくなり、ファニーは呼吸困難に陥ってしまうのだ。ファニーのこの演技は、ファニーの演出を手掛けた人の経験によるものなのだろうか。

 ひどく悲しい結末ではあるものの、特別な絆で結ばれていた二人は、一生分の恋をしたかもしれない。ファニーのその後は描かれていなかったが、きっとキーツ亡きあとも強く生き抜いたのではないかという気がしている。

 ちなみに、キーツを演じていたベン・ウィショーを、過去に何かの作品で拝見したと思っていたところ、映画サイトの情報から、映画『パフューム ある人殺しの物語』で主人公の男を演じていたことがわかった。映画『パフューム ある人殺しの物語』も大変なお気に入りの作品であるのだが、本作もまた、私の最も好きな作品の一つとして仲間に加わりそうである。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ジェーン・カンピオン監督によって、若い二人の悲恋が繊細に描き出された作品です。現代の携帯電話などの軽いメールのやりとりを思うと、何日も掛けて手元に届くアナログの恋文がとても貴重なもののように思えて来ます。きっとファニーは、キーツから届いた手紙を何度も何度も読み返したのでしょうね。やりとりをする回数が少ないだけに、手紙が貴重だったわけですが、今となってはそんな時代がとても貴重なものに思えて来ます。エコが叫ばれる中で、私たちが失って来たものは、自然環境だけではないのかもしれませんね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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