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2010.06.03

主治医の追っかけ(3)

映画『月に囚われた男』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。私が変わり者だからなのか、低予算で製作された映画には、魅力を感じてしまいます。たくさんの制作費が注ぎ込まれた作品であったとしても、心に残るものが少ない作品もあります。そういう作品は、もう一度鑑賞したいとは思いませんし、内容を振り返ることもありません。映画を鑑賞したあとに残るものは、制作費や映画のスケールとは比例しないんですよね。

 名前を呼ばれて診察室に入ると、そこにはI医師の姿があった。これまでの病院とは違い、診察室が狭い。ただ、奥には婦人科検診を行うための別室があるようだ。これまでの病院には、エコーの設備はあったものの、主に問診のみの診察だったので、多くの女性たちの嫌がる、あの足を開いて座る婦人科の椅子はなかった。新しい診察室には、背後に小さな施術台があり、I医師は古びた事務机に向かっていた。

 私はI医師と目が合うなり、
「こんにちは」
と言った。するとI医師も、
「こんにちは」
と返してくださった。待合所で待っている患者さんが多かったので、
「先生、病院を変わられたんですね」
と切り出すこともできず、いきなり本題に入った。

 予想していた通り、I医師の手元に私の情報は何もなかった。ただ、患者のおおまかな情報かどうかはわからないが、I医師なりにまとめた手書きのノートがあった。やはり、カルテやMRIフィルムなどの個人情報は持ち出せないのだろう。まだ診察のペースが掴めないのか、I医師は、あたふたしているように見えた。これまでの診察の履歴がI医師の手元に残っていないため、これまでどのような診察を受けていたか、患者である私自身がI医師に説明することになった。私は、筋腫がいくつもあり、既にかなり大きくなっていること、最近は、卵巣の働きが鈍り、女性ホルモンの分泌量が少なくなっていること、そのため、上半身のほてりが強いこと、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)という漢方薬を処方していただいていることなどを話した。I医師は、まっさらなカルテに、私が話したことを一つずつ書き留めていた。

 I医師は、
「血液検査はしたんやっけ?」
と私に尋ねた。私は、
「はい。確か半年以上前に血液検査をして、卵巣刺激ホルモンの分泌量が少ないので、まだ更年期ではないけれども、卵巣から分泌されている女性ホルモンの量も減っていると説明を受けました。女性ホルモンの分泌量が少ないため、上半身のほてりが特にひどく、このままでは夏を越せないのではないかという不安さえあります」
と答えた。ああ、こんなことなら、せめてそのときの「ガンまる日記」の記事だけでも参照して、自分のエストラジオール血清値を空で言えるくらいの意気込みでいたかったと思う。

 I医師は、処方してくださっている牛車腎気丸の効き具合はどうかと私に尋ねた。もともと私は、頻尿などの理由から牛車腎気丸を処方していただいていたのだが、結局のところ、トイレの回数がそれほど減ってはいないことなどを告げると、いつものように白衣のポケットから漢方薬のハンドブックを取り出して、五積散(ごしゃくさん)という漢方薬があると切り出してくださった。その漢方薬は、比較的歴史の新しい漢方薬だそうだが、まさしく私が抱えているような上半身のほてり、下半身の冷え、関節痛などに効果があるのだそうだ。私は、何故、そんなにいい薬があるのに、これまで処方してくださらなかったのかと恨めしく思ったのだが、考えてみると、頻尿などの悩みを改善したくて牛車腎気丸を処方していただいていたのだった。しかし、一時的に良い状況には向かったものの、結局のところ牛車腎気丸ではあまり効果は見られなかったので、またしても新しい漢方薬を処方していただくことになったのだ。

 処方していただく漢方薬が新しくなったので、次回の診察は一ヵ月後ということになった。診察を終えると、看護師さんが私のところにやって来て、処方箋が出ていること、今日は土曜日なので、多くの薬局は早い時間に閉まってしまうが、病院の近くにある薬局なら、病院が開いている間はずっと営業しているという情報を教えてくださった。

 私は処方箋の用紙を受け取り、会計を済ませたあと、ガンモに電話を掛けた。ガンモはきっと、カングーのメンテナンスも終わり、お腹を空かせて待っているに違いない。立体駐車場からやって来たガンモは、手を洗いたいと言った。カングーのメンテナンスをして手がひどく汚れていたのだ。ガンモが病院のトイレで手を洗ったあと、私たちはエレベータに乗って食堂のある階へと移動した。病院の食堂で昼食を食べるというのは、病院を利用するときの気持ちがそれほど深刻ではないときは、非日常を期待してわくわくするものだ。

 しかし、食堂に一歩足を踏み入れてみると、そこは食堂というよりも喫茶室に近いスペースであることがわかった。喫茶室のすぐ隣には、売店もあった。
「いらっしゃいませ」
と食堂や売店のスタッフが私たちを歓迎してくださっているモードだったのだが、お腹を空かせていた私たちは、昼食をしっかりとりたいと思い、喫茶室は利用せずに、静かにエレベータを降りたのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 新しい病院での勤務が始まったばかりで、I医師はあたふたしている様子でした。まだまだ診察のペースがつかめないために、診察に時間が掛かっていたのかもしれません。そう言えば、病院の女子トイレには、婦人科の医師としてI医師を迎えたことを知らせる張り紙がありました。ホームページでも、女子トイレでも、新しい病院に歓迎されているI医師でありました。(笑)

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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