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2010.05.15

映画『ウディ・アレンの夢と犯罪』

一人、また一人(11)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 以前は、三ヶ月に一度の契約更新のタイミングくらいにしか顔を出してくれなかった派遣会社の営業担当ですが、最近は、こまめに面談の時間を設けてくれています。やはり、私たちの仕事内容が変わったことで、気に掛けてくれているんでしょうね。ありがたいことであります。

 ウディ・アレン監督作品の邦題には、『ウディ・アレンの~』という冠が掲げられているものとそうでないものがある。本作にその冠が掲げられているのは、おそらく過去に映画『ウディ・アレンの重罪と軽罪』という、本作と似たような邦題の作品があるからではないだろうか。ちなみに私は、映画『ウディ・アレンの重罪と軽罪』を鑑賞してはいない。

 本作を鑑賞しようと思ったのは、本作がウディ・アレン監督作品だったことに加え、大好きなロンドンを舞台にした作品だったからだ。同じくロンドンが舞台となっている映画『タロットカード殺人意事件』では、スカーレット・ヨハンソンの早口の英語に圧倒された。本作では、映画『ミス・ポター』、映画『彼が二度愛したS』、映画『天使と悪魔』などのユアン・マクレガーと、少し前に鑑賞したばかりの映画『Dr.パルナサスの鏡』で故ヒース・レジャーの演じていた役をジョニー・デップやジュード・ロウとともに引き継いだコリン・ファレルが正反対の性格の兄弟として登場する。ユアン・マクレガー演じるしっかりしていて野心のある兄イアンと、ギャンブル好きだが気弱な弟テリーは、彼らのキャラクターが活かされた絶妙なコンビである。

 格安の値段で売りに出されていた小型クルーザーを何とか値切って手に入れた兄弟だったが、その支払いにもそれほど余裕がないというのに、あるときテリーがギャンブルで大金を失ってしまう。それまでのテリーにはツキが訪れていたようで、どうやら調子に乗って大金を賭けてしまい、あっけなく負けてしまったらしい。兄弟で力を合わせたとしても、とても払い切れないほどの莫大な借金を抱えてしまい困り果てていた兄弟のところへ、大金持ちの伯父が尋ねて来る。兄弟は、大金持ちの伯父に融資を申し出たところ、伯父は、融資を引き受ける代わりにある条件を出して来た。その条件とは、兄弟が引き受けるにはあまりにも荷が重過ぎるものだった。

 しかし兄弟は、悩み抜いた挙句、とうとう伯父の出した条件を呑むことになる。条件を呑んだあと、野心があり、冷静で感情に流されない兄のイアンの生活はそれほど変わりはしなかったのだが、気弱な弟のテリーは罪の意識に苛まれ、ノイローゼ気味になってしまう。同じ親から生まれた兄弟がここまで性格が違っているところが大変興味深くもあるのだが、それ以上に、二人の性格の対比が見事に表現されていたと思う。特に、テリーの変わりようには、演技力としても素晴らしいものがある。もともとコリン・ファレルは、眉毛が八の字に見えるくらい、オリジナルのキャラクターとしても気弱な感じがするのだが、本作の役柄として、ここまで気弱で人間的な人物像を描き出すことができる俳優さんも、彼くらいの年齢では珍しいのではないだろうか。いや、気弱というよりも、実際に伯父の出したような条件を呑んでしまった場合、それくらいの変貌を遂げたとしても決しておかしくはない。テリーの変貌をきっかけにして、イアンのほうが悪人で、テリーのほうが善人のように思えて来る。

 伯父の条件を呑んでしまった兄弟の固い絆は、罪の意識に苛まれるテリーの変貌により、グラグラと揺れ動いて行くのだが、その先の解決は、ある意味平等な形で訪れる。一言で表現すれば、お金によって人生が大きく変わってしまった兄弟を描いた作品であるとも言えるのかもしれないが、鑑賞し終わって映画館を出たあとも、ずっと本作の余韻を引きずっていた。

 こうして今、本作のレビューを書き始めたとき、本作の原題が"CASSANDRA'S DREAM"であることを改めて知った。"CASSANDRA'S DREAM"とは、兄弟が購入した小型クルーザーに付けた名前である。小型クルーザーの名前が原題に採用されていることから、私自身が想像して解釈したことをここに書いておきたい。もともと"CASSANDRA'S DREAM"は、格安の値段で売りに出されていた。何故、格安の値段だったのだろうか。もしかすると、本作の兄弟のように、過去にこの小型クルーザーを手に入れたことがきっかけで人生が大きく変わってしまい、不幸に巻き込まれた人たちがいたのではないだろうか。そして、持ち主のいなくなった小型クルーザーが格安で売りに出されていたのではないだろうか。おそらくこのあとも、ずっと同じことが繰り返されて行くのではないだろうか。ふとそんなことを考えると、新たな形で本作の余韻が訪れるのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 本作の日本公開は今年の三月二十日ですが、映画としての製作年は二〇〇七年です。何故、日本で公開されるまでに三年間も掛かってしまったのか、とても不思議ですね。私が劇場で鑑賞したウディ・アレン監督作品で最も新しいのは、映画『それでも恋するバルセロナ』でした。本作は、映画『それでも恋するバルセロナ』よりも一年前に製作された作品となるわけです。それなのに、新しい作品のほうを先に劇場で鑑賞してしまったというのが、何とも妙な感じですね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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