« 出雲〜倉敷一人旅(5) | トップページ | 出雲~倉敷一人旅(6) »

2010.05.27

映画『ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い』

出雲〜倉敷一人旅(5)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 出雲市から益田までは、快速アクアライナーで二時間余り掛かったわけですが、益田でコンサートが開催されることに気付かずに、松江のホテルを予約したままの状態であったならば、それこそ大変なことになっていました。何故なら松江は、出雲よりも更に京都寄りに位置しているからです。私が住んでいる兵庫県も横に長い県だとは思いますが、島根県もまた横に長い県だったのですね。快速列車に二時間余りも乗れば、別の県に着いてしまうという人も多いのではないでしょうか。

 本作は、映画『モリエール 恋こそ喜劇』を鑑賞したのと同じ日に、同じミニシアター系映画館で鑑賞した作品である。

 私はあまり詳しくはないのだが、「ドン・ジョヴァンニ」という名作オペラがあるらしい。そのオペラの作曲を担当したのはモーツァルトで、オペラの脚本を書いたのはロレンツォ・ダ・ポンテという劇作家らしい。すなわち本作は、二人の出会いから始まる、名作オペラ「ドン・ジョヴァンニ」の誕生の物語となっている。

 ロレンツォは、もともとユダヤ人として生まれたが、子供の頃にキリスト教に改宗し、名前もエマヌエーレからロレンツォに改名している。のちに彼は神父になったが、その放蕩ぶりが仇になり、十五年間、ベネチアから追放されることになってしまう。そこでウィーンに渡ったロレンツォは、モーツァルトとの運命的な出会いを果たすのだった。神父というと、神に仕え、禁欲的な生活を送っているように思えるのだが、ロレンツォはたくさんの女性たちの間を渡り歩いていたらしい。考え方によっては、彼のそんな型破りな経験が、のちに劇作家としての才能を花開かせたのかもしれない。

 私はモーツァルトも良く知らない上に、かの有名な映画『アマデウス』も鑑賞してはいないのだが、本作に登場するモーツァルトは、モーツァルトを扱った過去の作品のイメージからそれほどかけ離れてはいないように思える。

 名作オペラとなった「ドン・ジョヴァンニ」が、ロレンツォとモーツァルトによって生み出されるプロセスは大変興味深い。かつての記事に、将来、大物になる人は、自分の願望を手助けしてくれる重要な人物と出会うものだと書いたが、ロレンツォにとってのモーツァルトと、モーツァルトにとってのロレンツォが互いに重要な人物となり、一つの作品が完成したわけである。

 芸術家と芸術家が運命的に出会うとき、そこには互いの才能をポジティヴに引き出し合う化学反応のようなものが起こるのではないだろうか。そうした化学反応は、ロレンツォからモーツァルトに向かって一方的に起こるわけでもなく、また、モーツァルトからロレンツォに向かって一方的に起こるわけでもない。そこには、双方向に刺激を与え合える関係が成立しているのである。

 更に興味深いことに、あれほど女性遍歴を繰り返しながらも、ロレンツォの心の中にずっと残っていた愛しい女性との再会が、モーツァルトの介入によって叶うことになる。ロレンツォは、他の女性たちに対して抱いて来たのとは違う純粋な想いをその女性に対して抱いていたようだ。その女性が、女性遍歴を繰り返して来たロレンツォの純粋な想いを信頼し、受け入れて行くのかどうかというところも見どころの一つとなっている。

 もう一つの見どころは、芸術作品が生み出されて行く過程において、芸術家の私生活が作品に投影されて行くプロセスを見守ることができるというところである。芸術家にとっての作品とは、自分の子供のようなものかもしれない。例えそれが歌であったとしても、絵であったとしても、そこには、作品を生み出そうとしている芸術家が私生活で体験した様々な出来事が投影されているはずなのだ。それらは通常、ブラックボックスになっていて、鑑賞する側にはわからない仕組みになっている。むしろ鑑賞する側は、ブラックボックスを勝手にこじ開けて、自分自身の体験とリンクさせたりもする。

 「ドン・ジョヴァンニ」の中で描かれている好色な男性は、ロレンツォが自分自身を投影させたものだと思う。そうして生み出された彼の作品を、彼にとって身近な人たちがどのような気持ちで鑑賞したのかというところも興味深い。芸術家にとって、生み出す作品とは、自分の子供であるとともに、何かを間接的に主張するための手段なのかもしれない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m オペラのことは良くわかりませんが、芸術家と芸術家が出会い、化学反応が起こると、傑作が生まれるのだということが良くわかりました。作品を生み出すプロセスにおいて、二人の芸術家が心身ともに健康ではない状態にありながらも、とても生き生きとしていたことも印象的でした。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« 出雲〜倉敷一人旅(5) | トップページ | 出雲~倉敷一人旅(6) »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18521/48476394

この記事へのトラックバック一覧です: 映画『ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い』:

« 出雲〜倉敷一人旅(5) | トップページ | 出雲~倉敷一人旅(6) »