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2010.04.25

一人、また一人(4)

映画『シャーロック・ホームズ』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。原作者のコナン・ドイルは、シャーロック・ホームズの物語を心の底から書きたかったわけではないそうですね。そのため、自らの書く小説の中に、シャーロック・ホームズの宿敵を設けてホームズの物語を終わらせようとしたようです。本作も、そして、おそらく制作されるであろう本作の続編も、どうやらその宿敵との戦いになりそうな気配が漂っています。では、一人、また一人(3)の続きを書かせていただきますね。

 あるとき、派遣会社の営業担当がやって来て、一人ずつ面談を行うことになった。私はそのときとても仕事が忙しかったので、先に他の派遣仲間に面談を済ませてもらい、私は一番最後に面談を受けることにした。たまたま、先に面談を済ませた派遣仲間と女子トイレで顔を合わせたとき、ある派遣仲間の契約が三月いっぱいで打ち切られることを聞かされた。ある程度の覚悟は出来ていたとは言え、それを聞いた私の胸はひどく痛んだ。何故なら、契約を打ち切られることになった派遣仲間は、残っていた四人の派遣社員の中で最も契約を打ち切られてはいけない立場にあったからだ。

 契約が続行される三人のうち、私以外の二人は自宅から通っている独身の派遣社員だった。おそらく彼女たちは、働くことで家計を支えているわけではないはずだ。そして私もまた、働くことで家計を支えているわけではない。むしろ四人の中で、契約が打ち切られても最も差し支えなかったのは、私だったはずなのだ。しかしそうはならず、最も契約を打ち切られてはいけないはずの派遣仲間の契約が打ち切られることになってしまった。

 派遣会社の営業担当と面談したとき、営業担当からも、その派遣仲間の契約が打ち切られる話を聞かされた。私は営業担当に、
「彼女は四人の中で、最も契約を打ち切られてはいけない立場なのに、とても残念です。どうか彼女の次の仕事を全力で探してあげてください」
と言った。それに対し、営業担当は、わかったと言ってくれた。そして、今回の話が企業から突然、持ち上がったこと、彼女の仕事が直接ソフトウェアの製造に関わることではないという理由で、企業も泣く泣く彼女の契約を打ち切ることに決めたという話を聞かせてくれた。

 営業担当との面談を終え、自分の席に戻ったとき、契約が打ち切られることが決まってしまった派遣仲間に対し、どのような態度で接すればいいのか良くわからなかった。しかし、彼女の契約が打ち切られることを知ってしまった今、すぐ近くに座っている彼女に対し、何ごともなかったような顔はできない。私は悲壮な表情をして立ち上がり、彼女に向かって語り掛けた。そのとき、自分でも何と言ったのか、良く覚えていない。しかし、私が語り掛けたことに対し、彼女が答えてくれたことだけは覚えている。驚いたことに、彼女は笑顔で私にこう言ったのだ。
「大丈夫、大丈夫。自分ではそんなに悲観してないし、これまでも何とかやって来られたんだから、きっとこれからもやって行けるはず」

 彼女のその言葉を聞いて、私はむしろ、彼女の前向きな態度に元気をもらったような気持ちになった。これほど不景気な時代に、彼女は次の仕事を見付けられることに対し、前向きな気持ちでいられるのだ。私は彼女の中に、自分にはない強さを感じ取った。それと同時に、これまで自分がいかにいろいろなことを、第三者のせいにして逃げ回っていたかを思い知らされた。彼女は、自分の契約が打ち切られてしまう事実を早くも受け入れ、そこに停滞せずに未来を見ているのだ。

 彼女から力強い言葉をもらい、安心した私は仕事に専念した。その後、女子トイレで彼女の契約が打ち切られることを教えてくれた派遣仲間が私に、今回のことで彼女に何と言ったらいいかわからず、まだ何も言えずにいると言って来た。そこで私は、
「彼女を励ますつもりで励ましの言葉を掛けたんだけど、逆に私のほうが元気をもらったよ。彼女、強いよ。彼女なら大丈夫よ。きっと危機を脱すると思う。彼女に掛けてあげたい言葉があったら、遠慮せずに掛けてあげたらいいよ」
と言った。私の言葉が活かされたかどうかはわからないが、その後、その派遣仲間は彼女とこれからの話ができたようだ。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 彼女を励まそうと思って声を掛けたのに、逆にこちらが元気をもらってしまいました。彼女は、その人生の中で、私よりもたくさん辛いことを経験して来ているように思えます。彼女は、様々な苦悩を乗り越えながら、決して状況に流されることなく、現状を何かのせいにして逃げ出すことのない強さを身に付けたのでしょうね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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