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2010.04.02

部屋だしのカニ料理

「あててごらん」を当ててみたの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。蒸しタオルの作り方をインターネットでいろいろ調べてみたところ、電子レンジで温めるというのが一番多く、評判も良かったようです。いつの間にか電子レンジは、私たちの生活には欠かせないものになっているんですね。さて、京都の宮津(みやづ)にカニを食べに行った話の続きですが、長くなってしまったので二話に分けようと思いつつも、区切るのにちょうどいい場所が見付からず、一話にまとめてしまいました。この続きはまだあるのですが、ひとまず、カニの話をお届けします。長いので、十分注意してくださいね。(笑)

 伊根湾めぐりを楽しんだ私たちは、予約していた旅館へと向かった。そこはこじんまりとしたアットホームな雰囲気の漂う旅館だった。到着してすぐに、旅館の方が友好的に話し掛けてくださったあと、
「そろそろお電話差し上げようかと思っていたところなんですよ」
と言われて驚いた。この言葉に、多少なりとも引っ掛かりを覚えてしまったのは、私だけかもしれない。

 私たちが旅館に到着したのは、十七時を少し回った頃だった。その旅館を予約したガンモがチェックイン時間をどのように申告していたのかは知らないが、夕食の開始時間を十八時に設定していたので、旅館の方が少し心配されていたのも無理はない。しかし、何となく、
「予定よりも遅いチェックインですね」
と暗に言われているような気がして、自分たちがお待たせしてしまったにもかかわらず、何となくテンションが下がってしまったのだ。

 旅館から少しだけ離れたところに駐車場があるというので、私だけがカングーから降りて荷物を降ろした。そして、ガンモよりも先に部屋に案内していただき、宿帳に記入した。部屋に案内してくださった仲居さんから、食事は部屋に運ばれることと、女風呂と男風呂の場所などの説明があった。

 間もなく、カングーを駐車し終えたガンモが部屋に案内されたので、夕食のあとにお風呂に入るというガンモを一人部屋に残し、私は夕食の前にひと風呂浴びることにした。もともとこじんまりした旅館なので、お風呂もずいぶんこじんまりとしていた。利用客の方たちもアットホームで、三つしかないカランが既に一杯であるにもかかわらず、一番あとから入って来た私を温かく迎えてくださったり、自分は湯船に浸かっているので、今、空いているカランを使っても良いですよと声を掛けてくださったりした。私はカランは使わずに、洗面器を手に取り、お風呂のお湯を使って簡単に身体を洗い流したあと、湯船に浸かった。

 お風呂の外には小さな庭があり、窓から景色を眺められるようになっていた。湯船の中で、
「あいにくの雨ですね」
などという会話を利用客の方と交わし、お湯の温度がやや低めなので、長い時間、ゆったりと浸かっていた。

 やはり、他の利用客の方たちも夕食の時間が十八時からだったのだろう。私よりも先に入っていた利用客の方たちが少しずつお風呂から上がり始め、私も空いたカランを使用できるようになった。そこで私は本格的に身体を洗い流し、浴衣に着替えて部屋に戻った。ガンモには、
「お湯の温度が少し低めだったけど、いいお湯だったよ」
とコメントしておいた。

 さて、いよいよ夕食の時間がやって来ると、お待ちかねのカニ料理が部屋に運ばれて来た。まずは、一人一杯ずつの大きな蒸しガニである。仲居さん曰く、すべての料理を食べ終えるのに二時間ほど掛かるという。蒸しガニ以外にも、御造りなどのもろもろの料理も一緒に運ばれて来た。私たちは早速蒸しガニ退治に取り掛かった。

 毎年のようにカニをたっぷりと食べていると、どうしてもカニを食べることに病みつきになってしまうようだ。私たちは、いつも利用している城崎温泉に宿泊することができなかったので、楽天市場で「訳ありガニ」を注文して食べたりもした。おそらく、カニシーズン中に獲れたカニの中で、比較的身の少ないものを安く売りさばいているのだろう。漁の状態によって、発送時期が確定しないという不安定なものだったが、無事に届き、食べてみた。既に茹でられているカニだったのだが、やはり「訳あり」だったようで、見掛けが大きくても身が細く、私たちは満足することができなかった。今回宿泊した旅館は、そんな経緯もあって予約した旅館なので、カニに対する期待もひとしおだった。

 しかし、残念ながら、その旅館で出されたカニもまた、身が細かった。城崎温泉で食べるカニのようなプリプリ感がない。それがとても残念に思えて仕方がなかったのだが、それでも大好きなカニを食べられるというので、私たちは夢中で食べた。

 ところが、私たちが蒸しガニを食べ終えても、なかなか次の料理が出て来なかった。私たちが宿泊した日は満室だったので、無理もないのかもしれないが、あまりにも時間が掛かり過ぎるので、待ちくたびれてしまった。かなり時間が経ってから、ようやく仲居さんが顔を出してくださったのだが、私たちがカニをすっかり平らげているので驚いていた。仲居さん曰く、他のお客さんは、かなりスローペースなのだそうだ。中には、蒸しガニを食べ始めてからかなり時間が経って部屋を訪れても、まだ足を二本しか食べていないお客さんもいらっしゃるのだという。不思議なお客さんである。

 私たちの食べるペースが速いということを仲居さんが認識してくださったことで、少し気が楽になった。とは言え、やはり満室のため、それからも料理が運ばれて来るペースが上がることはなかった。それはそれでいいとしても、実は、ちょっと困ったことがあった。

 その旅館では、合計三人の仲居さん(と言っても、そのうちの一人は経営者の女性)が料理を運んで来てくださるのだが、そのうちの一人の仲居さんとガンモの相性が極端に悪かった。その仲居さんは、いかにもおしゃべり好きな関西人タイプの仲居さんで、人見知りをするためほとんど口を開かないガンモに対して、
「こういう方(あまりしゃべらない人)をいじって、しゃべってもらうのが好きなんですよ」
と言いながら、ガンモに対し、集中的に話し掛けて来た。仲居さんの話が面白ければガンモも口を開くのだが、仲居さんの態度は、外に出掛けると主に外交を担当している私でさえ引いてしまうような強引さだった。

 私たちが最も顔をしかめたのは、私たちのことを夫婦ではなく、
「彼氏、彼女」
と表現されたことである。確かに私たちは実年齢よりも見た目が若く見えるらしく、結婚して何年も経っているというのに、外食をすると、
「お会計はご一緒でよろしいですか?」
などと言われることもたまにある。とは言え、二人とも結婚指輪をしているというのに、
「彼氏、彼女」
という呼び方はないだろう。しかも、私がガンモに向けて語り掛けた、
「どうする?」
という表現をそのまま真似て、その仲居さんが、
「どうする?」
とガンモに対して同じように語り掛ける。その場がしらーっとしているというのに、仲居さんは勢力を弱めることなく、何とかしてガンモの口を開かせようとしきりに語り掛ける。これまでいろいろな旅館に宿泊して来たが、ここまで強引な仲居さんは初めてである。

 その仲居さんに、
「どちらからお越しですか?」
と尋ねられたので、
「兵庫県です」
と答えると、仲居さんは、
「ああ、関西の方で良かったです。関西以外の地域から来られた方には、関西人の乗りは敬遠されがちなんですよね」
というようなことをおっしゃった。私は心の中で、
「確かに関西に住んでいるかもしれませんが、私たちは関西出身ではないので、あなたのその乗りにはついて行けませんよ」
と思っていた。

 私は四国で生まれ育ったが、結婚前までの十一年間は東京に住んでいた。そのため、結婚のために関西に移住してからは、やはり戸惑うことも多かった。「ガンまる日記」にも何度も書いて来たが、関西では通勤途中にヘッドフォンを耳に挿して音楽を聴いていても、後ろから肩をポンポンと叩かれ、同じ職場の人に声を掛けられる。同じように、昼休みにヘッドフォンを耳に挿して音楽を聴いていても、やはり後ろからポンポンと肩を叩かれ、声を掛けられる。東京では有り得ないことだった。ヘッドフォンを耳に挿して音楽を聴いているというのは、その人がプライベートな時間を楽しんでいるということでもある。関西の方たちは、その人が守りたいプライベートな領域に否応なしに入り込んで来るのである。最初は私もそれに戸惑ったが、次第に慣れて来た。

 ただ、今でも関西の方たちとの距離の取り方には、しばしば頭を悩ませることがある。関西の方たちは、親しさの度合いに関わらず、基本的に人と接することが好きらしい。しかし、私の中では、親しさの度合いにより、自分の時間を他者とどこまで共有するかを調節したい。簡単に言えば、いつでも誰とでも一緒にいたいわけではない。例えば、通勤の途中に話し掛けられても、そのあとほとんど話が続かないような間柄ならば、最初から話し掛けないで、そっとしておいて欲しいのだ。

 その仲居さんは、会話を重ねることでコミュニケーションが深まると思ったのだろう。それからも、ガンモに対してしきりに話し掛けて来られたのだが、私には、ガンモを理解しようともしないのに、一方的に話し掛けられているようで、とても居心地が悪かった。もちろん、ガンモも同じように感じていたようである。こちらがしゃべらないのには、それなりの理由がある。しかし、その理由を考察しようともせず、ただただ一方的に語り掛けて来るのは、接客業の人としてどうなのだろう。電話でもメールでもそうだが、一方的なコミュニケーションほど心地の悪いものはない。

 その旅館では、二杯目のカニを焼きガニとカニしゃぶ、それからカニ雑炊に分配して食べることになっていた。その配分は、宿泊客が自由に決めることができる。そして、私たちが決めた配分で、仲居さんがカニを焼いてくださったり、カニしゃぶを作ってくださったりするのだが、実はこれも私たちにとっては居心地が悪かった。焼きガニは、旅館の料理に出て良く来る青っぽい燃料を燃やして、金網の上に生のカニを並べて焼かれる。とても簡単なことなので、わざわざ仲居さんに焼いていただかなくても、私たちにも出来ることだった。また、カニしゃぶ鍋の中にカニを入れるのも、野菜を入れるのも、すべて仲居さんがしてくださったのだが、仲居さんとの相性が良くなかったせいか、やり方だけ教えてもらい、自分たちで実践したくて仕方がなかった。

 そんな感じで、焼きガニを焼き終わり、カニしゃぶの材料をすべて鍋に入れ終わると、仲居さんは私たちの部屋から出て行った。私たちはあっという間に焼きガニとカニしゃぶを平らげてしまった。次はいよいよカニ雑炊を作るというので、待ち切れないガンモは、カニ雑炊用に残しておいたカニの胴体からカニの身を取り出して小皿に盛り、食べ終えたお皿の片付けなども始めてしまった。しかし、やはり満室だったためか、仲居さんは私たちの部屋にはなかなかやって来なかった。

 しばらく待つと、仲居さんの
「失礼します」
という声が聞こえて来て、ガンモの天敵の仲居さんではない仲居さんが入って来られた。昔、「クイズ! ドレミファドン!」という番組があり、その中で、自分の選んだ扉を開けると、中からクイズのヒントを出題してくれる人が出て来るというコーナーがあったが、その中で、わかり易いヒントを与えてくれる出題者と、いつももたもたしてしまって、タイムアウトになりがちな出題者がいたのを思い出した。次に、どの仲居さんが部屋にやって来るかは、私たちにとって、「クイズ! ドレミファドン!」の出題者の出て来る扉を開けるようなものだったのだ。

 仲居さんは、私たちがカニ雑炊の準備を自分たちですっかり整えていたので、感動されていた。と同時に、遅くなり、申し訳ありませんとも言われてしまった。その仲居さんは、とても好感の持てる仲居さんで、カニ雑炊の作り方について、私たちに細かな希望を尋ねてくださった。私たちは特にこだわりもなかったので、仲居さんにすべてお任せした。そして、とてもおいしいカニ雑炊が出来上がった。私たちはそのカニ雑炊をとてもおいしくいただいた。

 その後、デザートが運ばれ、いよいよ夕食の終了となった。仲居さん曰く、同じ時間に夕食が始まり、私たちがほぼトップで食べ終えたのだそうだ。これは、他の宿泊客の方たちに比べて、私たちが食べることに専念し過ぎてしまったという結果でもある。何はともあれ、夕食を食べ終えたので、ガンモはお風呂に入った。

 翌朝になると、男風呂と女風呂が入れ替わるというので、私は朝早く起きて朝風呂に入った。早朝だったせいか、他の利用客は誰もいなかった。私は一人でのびのびと湯船に浸かり、リラックスした。私が出る頃になると、他の利用客の方たちがぞろぞろとやって来た。前日の夜に、私にカランを譲ると言ってくださった女性が一番あとから入って来られたので、私の使っていたカランを使っていいですよと申し出た。その女性もまた、結局、私の勧めたカランは使わなかったのだが、わずか一日のうちに立場が入れ替わるとは、世の中うまく出来ているものだと思った。

 朝食は、思っていた以上のボリュームだった。たいていの旅館では、夕食の量が多いために朝食は軽めであることが多いのだが、充実した朝食に私たちは大満足だった。私は、普段の朝食は果物しか食べていないというのに、このときばかりはたっぷりと朝食をいただいたのだった。

※撮影した写真のスライドショーを貼り付けておきます。なお、スライドショーが表示されない場合や、写真へのコメントをご覧になる場合は、部屋だしのカニ料理をご覧ください。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 記事が長くなりましたが、最後まで読んでくださり、どうもありがとうございます。今回の宿泊では、人との距離の取り方について、改めて考えさせられました。私たちは、すべての感情を言葉にして生きているわけではなく、言葉で表現しない部分をそれとなく感じ取って欲しい気持ちがありますよね。相性がいいと、言葉で表現しない部分も相手に伝わり易いのですが、相性が良くないと、なかなか伝わりにくいものだと感じました。今回の旅の記事はもう少し続きますが、この続きはいったん映画の記事を挟ませてから書かせていただきますね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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