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2010.04.17

一人、また一人(2)

一人、また一人(1)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。直径十二センチの彼女もまた、私の現在の職場を卒業して行った一人であります。自分たちの世代は、社会に受け入れられることを知らない世代だと彼女は言っていました。バブルが崩壊してしばらく景気が回復しない状況だったため、私よりも十歳以上若い彼女は、好景気を知らない世代なのです。そのため、自分が社会に受け入れられているという実感が持てないのだそうです。彼女のこの言葉は、まだまだ景気が良かった時代を知っている私には衝撃的でした。

 あれは確か、今から一年ほど前のことだった。仕事帰りに、同じ派遣会社の派遣仲間の男性から声を掛けられた。彼は、私と同じくソフトウェアの開発業務を担当していていて、年齢は私よりも十歳以上若い三十代前半だった。かつては彼以外にも何人かいたはずのソフトウェア開発者の派遣仲間も、そのときは彼のほかには誰もいない状況だった。五人の派遣仲間のうち、他の三人は、ソフトウェア開発以外の業務を担当している派遣仲間だったのだ。

 私と同じソフトウェア開発業務を行っている派遣仲間であるはずなのに、彼と私はほとんど会話を交わしていなかった。それなのに、彼は仕事帰りの私に自ら声を掛け、衝撃的なことを告白してくれたのである。その内容とは、自分の契約が突然、打ち切られてしまうこと、同じ派遣会社の他の派遣仲間たちも、二〇一〇年三月末までにはすべて契約が打ち切られてしまうだろうというものだった。

 私はその内容に驚き、動揺した。不況の波は、とうとう私たちのところまで迫って来ているのかと思った。彼は、このことを口外しないように言われていたようだが、いずれわかることだし、契約を打ち切られる私たちにも、ある程度の心構えがあったほうがいいだろうということで、思い切って話してくれたようだ。

 彼以外の派遣仲間は、私も含めて同じプロジェクトグループで仕事をしていた。つまり、同じ派遣会社から派遣されていても、彼だけが違うプロジェクトグループに配属されていたことになる。彼の契約を打ち切るということは、派遣先企業の上層部からの指示でやむなく決定されたらしい。私たちが参加しているプロジェクトは、どうしても派遣社員の契約を打ち切ることができない状況にあったため、彼が犠牲になってしまったようなのだ。彼はそのことが理不尽でたまらなかったようだ。

 彼は、私に聞かせてくれた話を、他の派遣仲間たちにも伝えたほうがいいと言ってくれた。そこで私は、他の三人の派遣社員にこの話を聞かせることにした。ありがたいことに、彼は他の三人の派遣社員のうちの一人にも、同じ話を聞かせていたようだ。そのため、既にその話を知っている派遣仲間と手分けして、この話をまだ知らない残りの二人の派遣社員に一人ずつ話すことになった。

 この話を聞いた派遣仲間は、やはり驚いていた。そして、彼の契約が突然打ち切られてしまう理不尽さも感じながら、二〇一〇年三月末になれば、自分たちもとうとう職を失ってしまうのだろうかと、不安になったようだ。確かに彼の言う通り、そうした心構えがあるのとないのとでは、気持ちの持ち方が違う。私たちは彼に感謝するべきなのだろう。

 そして、とうとう彼が派遣先企業を去る日がやって来た。私の現在の職場では、派遣社員が辞めて行くときに、同じプロジェクトグループの人たちが、辞めて行く派遣社員に対し、花束を贈ったりする。彼の場合は、花束は贈られなかったのだが、みんなの前で最後の挨拶をした。そのとき、彼の頭は見事な金髪に変わっていた。これまで、彼の頭は黒々とした黒髪だったはずなのに、彼は自分の気持ちを切り替えるために、辞める前日に髪の毛の色を大胆に変えてしまったようだ。私は、すっかり変わってしまった彼の髪の毛の色に、継続して働きたい自分の意志に逆らって、この職場を去っていかなければならない彼の悲しさがこめられているように思えた。

 こうして、これまで十人以上いた派遣社員は、五人から四人に減ってしまった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 彼の契約が打ち切られてしまうことは、現場の上層部ではなく、現場からは離れたところにいる上層部からの命令だったようです。現場の上層部は、彼の契約を打ち切らなくてもいいように、一生懸命動いてくれたそうです。しかし、結果的にはどうしてもその命令に従わなくてはならず、泣く泣く彼の契約を打ち切ることを決めたそうです。この出来事を通じて、会社とはこういうものなのかと、改めて思い知らされました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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