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2010.04.26

一人、また一人(5)

一人、また一人(4)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。おそらく、契約を打ち切ることを決めた方は、契約を打ち切る対象の派遣社員の名前も顔も知らない、派遣先企業の上層部の方なんでしょうね。逆に言えば、名前も顔も知られていないような方たちに、私たちの今後は左右されてしまう状況にあるのですね。

 それから数日経った頃だろうか。プロジェクトメンバ全員が会議室に集められ、今後の作業分担について指示が出された。プロジェクトメンバ全員の手元に配られた計画書には、四月からの新しい体制について記載されていた。どうやら、契約を打ち切られる派遣仲間が担当していた業務を、他の派遣社員たちで分担するらしい。

 これまでHという仕事を請け負っていた派遣仲間は、契約を打ち切られる派遣仲間が請け負っていたSという仕事を担当することになり、これまでPという仕事を請け負っていた派遣仲間は、PのほかにKという仕事も一緒に請け負うことになった。そして私は、新たにSという仕事を請け負うことになった派遣仲間の替わりに、これまでその派遣仲間が担当していたHという仕事を請け負うことになった。

 手元に配られた計画書に沿って話が進められ、上司のまた上司により、みんなそれぞれ新しい仕事には慣れていないはずなので、サポートはして行くつもりだと締めくくられた。そして最後に、この新しい体制に関して何か質問はないかと問い掛けられたとき、いつもは大人しい派遣仲間が挙手をして、
「これはもう、決定なんでしょうか?」
と、やや声を荒げて言った。彼女は、これまでHという仕事を請け負っていた派遣仲間である。彼女の担当して来たHの仕事には定評があり、彼女自身もHの仕事がとても気に入っていたようだった。しかし、一人の派遣仲間の契約が打ち切られることにより、その派遣仲間が担当していた仕事を彼女が請け負うことになった。それは、これまで彼女が担当していたHという仕事とはまったく内容の異なる仕事だった。

 通常、派遣社員が派遣先で行う仕事というのは、派遣先企業と派遣会社との間で取り交わされる契約書に明記されている。たいていの場合、契約書に書かれている仕事内容は、私たち派遣社員が派遣先企業で面接を受けたときに説明された仕事内容である。すなわち、ごく初期の段階において、
「この会社ではこういう仕事を担当していただきます。よろしいですね?」
といった確認が行われ、派遣社員がその仕事内容に同意し、なおかつ、派遣先企業が自らの求めるスキルをその派遣社員が持っていると認めた場合に、ようやく仕事の契約が成立するというわけだ。言い換えると、派遣先企業は、最初に取り交わした契約内容に従って派遣社員に仕事の割り振りを行う必要がある。もしも途中で仕事内容を変更する場合は、本人への意志確認はもちろんのこと、派遣会社の営業担当を通す必要があるのだ。しかし、私たち派遣社員は、事前に何の確認もなく、これまでの仕事とは異なる仕事を担当するように命じられているのである。

 これまでHという仕事を請け負っていた派遣仲間がやや声を荒げて発言したことで、プロジェクトメンバをまとめていた上司のまた上司は、
「では、派遣会社の営業さんを通して話をしたいと思いますので、このあと、すぐに営業さんに連絡を入れてアポを取ります」
と言ってくださった。上司のまた上司に、他に何か質問などはないかと問われたので、私も挙手をし、
「これまでと仕事内容がまったく異なるので、正直言ってあまり自信がありません。特に、私の担当するHという仕事に関しては、これまでその仕事を担当していた○○さん(私の前に発言した派遣仲間)の評判が特に良かったので、○○さんと同じくらいのものを求められるとプレッシャーに感じます」
と言った。それを受けた上司のまた上司は、
「もちろん、仕事内容に慣れないことについては承知しています。仕事に慣れるまではサポートして行きます」
と言ってくださった。私は、不安を抱えながらも、
「わかりました」
と発言し、それ以上、発言する人がいなかったので、そこで解散となり、会議室を出てそれぞれの持ち場に戻った。

 これまでHの仕事を担当していた派遣仲間とは、席が近かったので、その後もいろいろな話をした。派遣契約が続行される三人の派遣社員の中では、彼女の仕事内容が最も変化することになる。それなのに、彼女や派遣会社の営業担当に相談もなく、彼女の業務の内容が勝手に変更されてしまったことに対し、彼女は戸惑いと怒りを感じていたようだ。一方、私自身もまた、彼女のこれまでの仕事を引き継ぐことになり、これまでその仕事に対して定評のあった彼女の仕事ぶりと比較され、期待されることをプレッシャーに感じていた。

 私は、一人の派遣仲間の契約が打ち切られることで、これまで適材適所に収まっていた派遣社員がそれぞれ慣れない別の仕事に就くことに関して、派遣先企業のこうした決断は、果たして本当に企業のためになっているのかどうか、疑問に思えて仕方がなかった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 今回の出来事は、バランスが取れて安定している状態から、バランスを構成している要素を一つ引き抜く行為に相当すると思います。再びバランスを取ろうとしても、いきなり完成を目指すのは難しいですよね。しかも、事前に相談もなく、派遣先企業側で話が進められているとなると、反発したくもなりますしね。この続きは、ゴールデンウィーク中に書かせていただこうと思います。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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