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2010.03.31

映画『抱擁のかけら』

何としてでも足首を守るの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 実は、これだけ防御していても、足首は完全には守り切れません。足首に最も力を入れて守っているはずなのに、冷房の冷たい空気は、隙間から足首を直撃します。冷房の恐ろしさを改めて実感する毎日です。

 ペドロ・アルモドバル監督の作品というと、これまでに映画『オール・アバウト・マイ・マザー』や映画『死ぬまでにしたい10のこと』、映画『ボルベール <帰郷>』を鑑賞している。赤にこだわりのある監督のようで、今でも目を閉じれば、映画『ボルベール <帰郷>』の鮮やかな色彩感覚が蘇って来るかのようだ。

 そんな映画『ボルベール <帰郷>』と同様、ペドロ・アルモドバル監督とペネロペ・クルスのコラボレーションで生み出された本作は、脚本家と女優志望の女性との切なくも激しい恋の物語に仕上がっている。

 ペネロペ・クルス演じるレナは、お金持ちのエルネストという男性の愛人だった。しかし、二人の愛人関係は、エルネストからレナへの一方的な想いで成り立っているだけで、レナは決してエルネストを心から愛しているわけではなかった。あるときレナは、脚本家のハリーが手掛ける映画に出演すべくオーディションを受ける。そのことがきっかけになり、ハリーとレナは激しい恋に落ちてしまう。エルネストはレナの行動が心配だったのか、息子に頼んで、レナの行動の一部始終をビデオに収めるように指示する。エルネストは息子の撮影したビデオの鑑定を、読唇術の技術を持つ専門家に依頼して、唇の動きから二人の会話を再現する。その結果、ハリーとレナの関係はエルネストの知るところとなる。それにしても、ビデオの映像から、二人の唇の動きを読もうとするなど、愛を得ることができない男性の異様な執着ぶりが描かれている。

 エルネストとレナもそうだが、本作では、様々な人間模様があちらこちらで渦巻いている。ハリーのエージェントであるさばさばした女性ジュディットの存在も不思議である。息子とともにハリーの家に自由に出入りしているところからすると、ハリーと一体どのような関係なのだろうと思ってしまう。一見、別れた妻のようにも見えるのだが、ハリーが若い女性とセックスをしていたことを知っても、特に嫉妬するでもなく、実にさらりとしている。ところが、本当にさらりとしているのかと思いきや、実際はそうではなかったであろうことも面白い。

 また、エルネスト亡きあと、エルネストの息子がハリーのところにやって来て、お金はいくらでも出すので映画を作りたいと申し出るのも何だか狂気じみている。何故ならエルネストの息子は、エルネストの命令で、のちに盲目になってしまったハリーが盲目になる瞬間をビデオで撮影していたはずだからだ。ハリーにとって、それほど重要な鍵を握っていたエルネストの息子が、十数年後に、あたかも何事もなかったかのようにハリーに接触して来たのだから、ハリーが抵抗感を感じて彼の提案する映画の製作を拒否したとしてもおかしくはないだろう。

 本作の中では、エルネストの息子が撮影するレナのビデオだけでなく、ハリーが脚本を書いた映画の撮影も行われている。ストーリーの中に別のストーリーがあり、まるで鏡の中から更に鏡を覗き込んでいるような感覚だ。いやはや、面白い。また、ハリーが撮影した映画を使って、エルネストがハリーとレナに復讐する方法も実にユニークである。読唇術の件もそうだが、とにかく映像を通して、ユニークな表現方法がそこかしこに散りばめられている作品である。

 それにしても、邦題の『抱擁のかけら』とは、果たしてどのような意味を持っているのだろうか? 今は鑑賞してからまだ一ヶ月ちょっとしか経っていないので、まだまだ記憶に新しいが、のちに邦題と本作の内容が結び付かなくなってしまうような気がする。かと言って、自分ならどのような邦題を付けるかと問われたならば、頭を抱え込んでしまう。登場人物の諸々の事情が複雑に絡み合って織り成された作品なので、そこから邦題を導き出すのはとても難しい。だから、本作の邦題を考えた方は、それぞれの人間模様を『抱擁のかけら』と定義したのかもしれない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m ペドロ・アルモドバル監督は、赤を基調に作品を描き出すようですが、赤の印象は、本作よりも映画『ボルベール <帰郷>』のほうが強かったように思います。きっと、ペネロペ・クルスが赤の似合う女優さんなんでしょうね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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