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2010.03.09

豆炭あんか物語

湯たんぽ物語の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 先日、薬局で、またしても湯たんぽがセールに出されているのを発見しました。何と、その湯たんぽのサイズは大きくて、三.四リットルものお湯が入ります。しかも、いかにも低温やけどしそうな金物タイプでした。買おうかどうしようか、しばらく手に取ったりしながら悩んでいたのですが、我が家の電気ポットは二リットル入りであることを思い出し、思い止まりました。湯たんぽのためにガスでお湯を沸かせばいいのかもしれませんが、そこまでして手に入れようとは思わなかったのですね。便利な世の中になり、どうやら怠惰になりつつあるようです。(苦笑)

 考えてみれば、私が湯たんぽを使用したのは、生まれて初めてのことだった。ガンモに尋ねてみると、ガンモもまた生まれて初めての使用だったと言う。では、私たちが子供の頃は、夜、寝るときにどのような暖房器具を使っていたのだろうか。義父が電気店に勤めていた関係で、ガンモの実家では私の実家よりも電化が進んでいた。ガンモは子供の頃、電気あんかを使っていたそうだ。一方、私はというと、電気あんかを使っていた時期ももちろんあったのだが、電気あんかを使うようになる前に、豆炭(まめたん)あんかを使っていた。

 豆炭とは、三角のおにぎりを二つくっつけたような炭である。今は違うのだが、私が子供の頃に住んでいた実家は、わざわざ火をおこしてお風呂を沸かしていた。五右衛門風呂ではなかったのだが、お風呂の下が釜になっていて、下から燃料を焚いてせっせと釜を温めてお風呂を沸かすのである。現代のように、ガスの温度とお湯の量を設定しておけば、自動で湯船にお湯が張られるわけでもなかったので、子供の頃はお風呂を沸かすお手伝いを良くしたものだった。そして、私の実家では、お風呂を沸かすときに豆炭あんかで使う豆炭を一緒に焼いていた。

 豆炭がほど良く焼き上がると、小さなスーツケースのような形をした豆炭あんかに豆炭を一つずつ詰めて行った。豆炭あんかを開くと、中には豆炭が一つだけ収められるようになっていた。豆炭の周りは、燃えない綿のような素材で保護されていた。火の付いた豆炭はおよそ八時間ほど持つので、湯たんぽと同じように布にくるんだ豆炭あんかを布団の中に入れて布団を温めながら就寝していたものだった。私の記憶では、豆炭あんかのおかげで、朝までずっと布団が暖かかったように思う。私の母は、豆炭あんかの入れ物を手作りしていた。ただ、ごく稀に、いったん豆炭に付いた火が消えてしまうことがあり、朝起きると豆炭あんかが既に冷たくなっていることもあった。

 この冬、湯たんぽを購入したことで、ガンモと豆炭あんかの思い出話で盛り上がった。ガンモは豆炭あんかを使ったことはなかったのだが、近所に住んでいた親戚が豆炭あんかを愛用していたらしい。

 ひょっとして、今でも豆炭あんかはどこかで販売されているのだろうかと思い、インターネットを検索してみたところ、ごくわずかではあるものの、いくつかのお店がヒットした。豆炭あんかは今でも健在のようではあるが、どのような地域の方たちが利用されているのだろうか。

 思えば、昔は、当たり前のように火が生活の中に取り込まれていた。お風呂を沸かすにも火を使っていただけでなく、石油ストーブなどの暖房器具も良く使われていた。しかし、最近は、料理に使うコンロさえも電化され、また、お風呂もガスや電気でコントロールできるようになっている。すなわち、生活の中から火が見えなくなりつつあるのだ。そのうち、人間は火を使えない動物に退化してしまったりしないだろうか。

 子供の頃は、火傷をしながら火の使い方を体得して行ったものだった。しかし、見えないところに火が隠されてしまった現代においては、子供が火傷をすることも少なくなってしまったのかもしれない。そう思うと、火傷をしながら覚えたことが、とてつもなく貴重な体験に思えて来るのだった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 今でも豆炭あんかは現役だったのですね。しかし、コストパフォーマンスの面から言うと、必ずしもど良くはないようです。(苦笑)暖房器具一つを取ってみても、歴史を感じますね。最近、湯たんぽがもてはやされているのは、もちろんエコに対する考慮もあるでしょうが、人々の中に、昔に帰りたい気持ちがどこかにあるのかもしれませんね。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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