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2009.12.27

映画『ゼロの焦点』

相乗り(後編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。私たちが北海道に出掛けたときは、まだそれほどでもありませんでしたが、この週末は、悪天候のため、北海道を発着する空の便が大幅に乱れていたようですね。年末年始の帰省で飛行機を利用される方たちも多いと思いと思いますが、どうか無事に故郷でお正月を過ごすことができますように。

 松本清張さんの小説『ゼロの焦点』が映画化されることを知り、正直言って、「何故、今更?」という気持ちが芽生えてしまった。というのも、松本清張さんの小説は、若い頃に良く観ていたテレビドラマ『土曜ワイド劇場』や『火曜サスペンス劇場』などでしばしばドラマ化されていたからだ。そのため、本作を鑑賞するにあたり、私の中では、わざわざ映画化しなくても、テレビドラマで十分なのではないかという気持ちもくすぶっていた。とは言え、テレビドラマと映画では、もともと制作費が大きく異なるはずだ。テレビで放映されるテレビドラマは、テレビのスイッチを点ければ誰でも無料で鑑賞することができる。一方、映画となると、その作品を鑑賞したいという意志を持った人たちが、わざわざお金を支払って劇場に鑑賞しに行くわけである。当然、後者のほうが、観客からの収入を見込んだ出費を行って製作するわけで、テレビドラマよりもスケールの大きい作品に仕上がるはずである。そんなことを思いながら、劇場で何度も目にしていた予告編につられて、思い切って十一月二十日に鑑賞することにしたのである。

 本作には、物語を展開させるための鍵を握る三人の女性たちが登場する。広末涼子ちゃん演じる地味な妻・鵜原禎子、中谷美紀ちゃん演じるてきぱきとした社長婦人・室田佐知子、そして木村多江ちゃん演じる佐知子の夫の会社の受付嬢・田沼久子である。

 鵜原憲一とお見合い結婚したばかりの禎子は、夫が出張から帰宅すると約束した日になっても帰宅しないため、不安な気持ちを抱えながら、夫の出張先である金沢に出向いて行く。憲一が行方不明になってしまってからというもの、禎子は、夫である憲一のことをほとんど何も知らなかったことに気付く。そんな手探りの状況の中、禎子は金沢で、二人の女性と出会うのだった。

 鑑賞してみると、ストーリーそのものはテレビドラマのイメージが抜け切らないものの、描写の細かさについては、テレビドラマよりもずっと勝っていたと思う。描写が細かい分、中身のたっぷりと詰まった作品であると言えるだろう。テレビドラマは、何としてでも放送時間内に収めなければならないという制約があるが、作り手が上映時間を予算の範囲内で決められる映画は、より細かい描写を実現できるのかもしれない。

 本作の背景となっていのは、これから女性たちが立ち上がり、男性たちと同等に並ぼうとしている第二次世界大戦後の時代である。今にも、女性政治家が誕生しようとしていて、佐知子はその応援活動を積極的に行っている。金銭的には何不自由なく暮らしているかのように見える佐知子だが、のちに禎子と関わるようになっても、禎子対し、本心を言っているのかどうか見極められないところがある。また、久子は久子で、あたかも複数の殺人事件の加害者であるかのように描かれている。

 物語の鍵を握る三人の女性たちの中で、どういうわけか、禎子だけが普通の人に見えてしまう。禎子が他の二人の女性たちと違っているのは、見えている部分が禎子そのものであるという点である。他の二人に関しては、見えていない部分にそれぞれの本質があり、物語が進行するにつれて、その本質が少しずつ明るみになって行く。つまり、三人の女性たちの物語の前半のイメージと後半のイメージを比較したとき、禎子だけは一貫して同じイメージを抱き続けるが、他の二人はイメージが逆転してしまうのだ。しかし、その逆転する部分が、他の二人の女性たちのミステリアスな魅力ともなっている。

 ちなみに、私はかつて、テレビドラマ化された『ゼロの焦点』を観ているはずだが、内容も結末もすっかり忘れてしまっていたので、迎えた結末がとても新鮮だった。私のように、かつてのテレビドラマを鑑賞してストーリーも結末も既に知っているという方も、この三人三様の女性たちの生き様を見守りながら、何十年振りかに本作を振り返ってみるのもいいかもしれない。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 劇場の大きなスクリーンで鑑賞したからでしょうか。やはり、テレビドラマとは違う手ごたえを感じました。こうして振り返ってみると、これほど緻密な物語を書くことのできる松本清張さんは偉大な作家なのですね。私は普段、ミステリー小説はほとんど読みませんが、こうしてたまに映画化された作品を観るのもいいかな、と思います。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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