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2009.10.28

映画『幸せはシャンソニア劇場から』

負けてなるものかの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 何かあると、すぐにライバル意識を燃やしてしまう私たちであります。常に相対性を保つためのバトルとも言えますね。(笑)

 本作は、夏休みにガンモと二人で出掛けたパリからの帰りの飛行機の中で先行上映されていたというのに、帰国後すぐに野外ライブに参加することになっていたため、睡眠時間を確保することを優先し、鑑賞するのを見送ってしまった心残りの作品である。夏休み中は日本未公開だった本作も、九月になると、劇場で公開されるようになった。私は、飛行機の中で鑑賞しそびれてしまったことがどうにもこうにも悔しくて、劇場で鑑賞するのも半ば見送り掛けていたのだが、やはりどうしても気になり、九月十八日にとうとう鑑賞に踏み切った。

 鑑賞してみると、これほど素晴らしい作品を飛行機の中で鑑賞する機会に恵まれていたのに見送ってしまった悔しさと、飛行機の中で鑑賞しなかったからこそ、こうして劇場の大きなスクリーンで鑑賞することができたという二つの思いが私の中でぶつかり合うことになった。

 舞台となっているのは、不況や戦争への不安を抱えた一九三六年からのパリである。パリ郊外にあるシャンソニア劇場が、経営不振のため閉鎖されてしまう。長年、シャンソニア劇場で働いていたピゴワルは、シャンソニア劇場の舞台に立つ女優と結ばれ、息子にも恵まれた。ピゴワルにしてみれば、シャンソニア劇場を中心に、今のこの幸せがこれからもずっと続くものと思っていた。しかし、あるとき妻は息子を連れてピゴワルのもとを離れ、別の男性とともに生きて行く決意を固める。本作は、妻と息子、そして仕事までも失ってしまったピゴワルがどのように再生して行くかが描かれた作品であると言っても過言ではない。シャンソニア劇場を中心にビゴワルが結んだ人間関係は、生涯を通しての宝となったという捉え方もできる。

 やがてシャンソニア劇場は、新しいオーナーと、歌手志望の若い女性ドゥースの出現によって再生のチャンスに恵まれる。美しいドゥースは新オーナーと、シャンソニア劇場で働いていたミルーを虜にする。ドゥースにしてみれば、気持ちはミルーに傾いているものの、新オーナーとのお金の縁が切れないといったところだ。それからは、ドゥースの心と身体を欲しがる新オーナーと、ドゥースを自分だけに向けさせたいミルーの間でドゥースの取り合いのような争いが次第に表面化して行く。

 シャンソニア劇場で働いていたビゴワル、ミルー、そして芸人のジャッキーは、時には激しい喧嘩を繰り広げながらも、互いに絆を深めて行く。そんなふうに本音をさらけ出しながら培って来た固い絆を、誰だって守りたいものだ。本作を鑑賞すると、友情とは一体何かということについて深く考えさせられる。私たちは友のことを思い、咄嗟の判断を下すことができるだろうか。いや、咄嗟の判断に迫られたときに、自らの人生を犠牲にしてででも救いたくなるほどかけがえのない友に巡り合うことができるだろうか。「自らの人生を犠牲にしてでも」と書いたが、自らの人生を犠牲にしたとされるビゴワル自身は決してそのようには感じてはいないはずだ。むしろ、自分の判断で友を守ることができたという充実感さえ抱いているかもしれない。彼らの間に生まれているのは、確かにそこまでの固い絆だ。

 シャンソニア劇場を舞台に繰り広げられる愛憎劇において、徹底的な悪役を演じているのは、ドゥースに惚れ込んだシャンソニア劇場の新オーナーである。言い換えれば、彼の徹底的な悪役的存在が、シャンソニア劇場で働くビゴワル、ミルー、ジャッキーらの絆を強めてくれたとも言える。

 「償い」を終えたビゴワルを、彼らがどのように迎えるのかと思いきや、これまでと変わりなく当たり前のように迎え入れたことには驚いた。これは、ビゴワルが不在のときも、彼らの中にずっとビゴワルが存在し続けていたことの証でもある。私たちは、見せ掛けの罪に惑わされて、真の友情を失ってはいけない。本当に、これほど固い友情を築き上げることができたなら本望だと私は思うのだ。

 シャンソニア劇場の発展とともに、シャンソニア劇場に関わる人たちも大いなる精神的な成長を遂げた、そんな素晴らしい物語だった。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 『幸せはシャンソニア劇場から』という邦題が、しみじみと心に染み入って来ます。良く練られた邦題だと思います。人間の持つ欲望と、本音で関わりあった人たちとの間に生まれた絆の固さが見事に描き出された作品でありました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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