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2009.09.04

映画『12人の怒れる男』

イギリス英語とアメリカ英語の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。小学校についても、イギリス英語ではprimary schoolですが、アメリカ英語ではelementary schoolなんですよね。いろいろ調べてみると面白いですが、日本ではアメリカ英語がかなり優勢ではあるものの、イギリス英語も混在しているので、どちらの英語を学んでいるのか、常に意識しておきたいものです。

 本作は、劇場公開中に見逃してしまったため、DVDで鑑賞することになった作品である。確か劇場で観た予告編では、過去の作品のリメイクとのことだった。あとからわかったことだが、ロシア映画である本作は、どうやら舞台を現代ロシアに変えてリメイクされたものらしい。ある殺人事件を十二人の陪審員が裁くというおおまかなあらすじしか知らないまま鑑賞に及んだのだが、まるで予測もしなかった展開と、十二人の陪審員一人一人の熱き告白がもたらす感動に心が打ち震えてしまった。本当に素晴らしい映画というのは、本作のような映画のことを言うのではないだろうか。

 チェチェン人の少年がロシアで養父殺しの疑いをかけられている。十二人の陪審員が学校の体育館に集まり、この事件について有罪か無罪かの決を取ろうとしている。少年が有罪であれ、無罪であれ、十二人の陪審員の意見が全会一致ならば、そこで解散することができる。それと同時に、少年が無罪であるのか、それとも有罪であるのかが確定することになる。

 陪審員といえども、他に仕事や用事を抱えている忙しい彼らは、一刻も早く決を取って解散してしまいたい様子だった。状況からして、明らかに有罪と思われる事件だったため、ほとんどの陪審員がその少年に対し、有罪であるとの判断を下していた。しかし、いざ、投票式で決を取ってみると、ほとんどの陪審員が有罪と記入したにもかかわらず、一人だけ無罪と書き込んだ陪審員がいた。

 有罪であることは明らかなのに、無罪と書いたのは一体誰だという問い掛けに対し、一人の男が挙手した。挙手した男は、自分が有罪だと書いてしまえば、少年が無罪であるという可能性がまったく探られないまま少年の有罪が確定してしまうと言った。何とも奥深い発言ではないだろうか。遊びで陪審員に参加しているのではない意気込みが感じられる。何しろ、人の人生が掛かっているのだ。その男の発言をきっかけに、少年の人生に対し、責任を負って行こうとする雰囲気が出来上がり、話は意外な方向へと展開して行く。

 本作を鑑賞するだけで、現代のロシアがどのような国であるかを充分に感じ取ることができるだろう。例えば、いつまで経っても修理されない体育館の配管設備。利益を求めて「個人」が素早く動くのに対し、「国」が上げる腰はずいぶん重いのか、修理に何年も何年も掛かるらしい。陪審員の彼らは、自分たちがそんな国に住んでいることを充分承知している。

 見たところ、陪審員に選ばれているのは、五十代から六十代後半の男性たちである。彼らがこれまで積み上げて来た人生経験がいかに尊いものであるかということが、その後の話の流れの中で次々に披露されて行く。十二人の陪審員の中には、お金持ちの人、絶対に少年は有罪だと主張し続ける人、寡黙な人など、いろいろな人たちが集まっている。それらの人たちが、これまでの人生を通して自分自身が体験して来たことを順番に話すシーンは圧巻である。一つ一つの話があまりにも奥深いために、次は誰が口を開くのだろうと期待する。体育館という限られた空間の中で再現される、奥深い人生経験に基づいた様々なドラマは、観客の目を強く惹き付けて離さないだろう。

 本作には、大掛かりなセットや激しいアクションシーンも用意されていない。映し出されている映像のほとんどは、留置所に入っている少年の過去の映像と現在の映像、そして陪審員のいる学校の体育館である。たったこれだけのセットで、うなるほどの作品を作り上げてしまうのだから、とにかく驚きである。例え、大掛かりなセットや激しいアクションシーンを組み上げたとしても、鑑賞し終わったあとに人々の心に長く残るものがあるかと言えばそうではない。しかし、本作は違う。十二人の陪審員のように、さっさと決を取って解散してしまおうといった、冒頭のけだるそうな雰囲気から一転して、決を取る度に増えて行く無罪の票、そしてクライマックスまでを、それほど時間を経なくてももう一度見届けたい気持ちに駆られるのではないだろうか。

 強く惹き付けられたために、上映時間一六〇分という比較的長い作品であるにもかかわらず、ちっとも長さを感じなかった。劇場公開中に見逃してしまったことを思い出し、半ば偶然のような形でレンタルDVDショップで手に取った作品だったが、こうして第二のチャンスを見逃すことなく鑑賞することができて本当に良かったと思う。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m エンターテイメント性の高い作品は、その場限りの楽しさに溺れてしまいがちですが、本作のような作品は、心が動いた分だけ深く印象に残ります。映画を鑑賞するなら、私はやはり、こういう作品が好きですね。とにかく、ブラボーであります。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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