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2009.07.17

当たっただけ

映画『いけちゃんとぼく』の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m よしお役を演じていた深澤嵐くんは、何とも思慮深い雰囲気が漂っていますね。不覚にも、上映中に寝てしまった映画『GOEMON』にも出演されていましたが、決して子役だけでは終わらない、役者としての何か特別な才能を感じます。今後の活躍に期待したいですね。さてさて、映画のレビューにしても、それ以外の記事にしても、まだまだ六月の出来事を綴っている「ガンまる日記」ではありますが、今回は、綴りかけの鳩の記事を一時中断して、ほぼリアルタイムの内容をお届けしたいと思います。

 五時起き生活が始まってからというもの、私は仕事から帰宅すると、二十二時頃から〇時前までベッドに横になって眠るようになった。ただ、その睡眠は一時的なものであり、本格的に眠るのは、〇時頃にいったん起きて翌日の支度を整えてからとなる。その間、ガンモは同じ部屋でパソコンに向かって仕事をしていたりする。私は、部屋に電気が点いているのもかまわず、睡魔に負けて眠るのだ。

 残業規制の関係で、私は毎日定時に仕事を上がっていたが、ガンモはここのところ仕事が忙しく、帰宅時間が遅くなっていた。そんなある日のことである。いつものように、私が〇時前に目を覚ますと、寝室には仕事から帰宅したばかりのガンモの姿があった。
「お帰り」
とは言ったものの、ガンモの様子がどこか変である。

 ガンモはいつも、仕事から帰宅するとシャワーを浴びてパジャマに着替えるはずなのに、ガンモが着ているのはパジャマではなかった。この時間にパジャマを着ていないのはどういうことなのだろうと、寝ぼけ眼のまま思っていると、間もなくガンモは仕事着に着替えて、
「じゃあ、ちょっと行って来るから」
と言う。
「ええっ? これからどこに行くの?」
と尋ねると、ガンモは担当の客先の名前を私に告げた。

 どうやら私が寝ている間にコールセンタから連絡が入り、客先に出向くことになったらしい。〇時だというのに、これから仕事に出掛けて行くのかと思い、
「明日も仕事なんでしょ?」
と尋ねると、
「うん」
とガンモは言う。私は心配になり、
「何時に帰って来るの?」
と尋ねると、ガンモは、
「わからん」
と答えた。私は、仕事に出掛けて行くガンモを玄関で送り出した。
「じゃあ、気をつけて。行ってらっしゃい」
これから仕事に出掛けて行くためか、ガンモのテンションは低かった。

 ところが、ガンモが出掛けてわずか数分後に、玄関の扉が開いて、ガンモが戻って来た。もしかすると、コールセンタから再び連絡が入り、客先で発生したトラブルが落ち着いたために帰宅したのかと思った。滅多にないが、稀にそういうことがあるのだ。しかしガンモはひどく慌てた様子で、しきりに何かを探していた。
「何を探しているの?」
と私が尋ねると、ガンモは焦った口調で、
「カード入れがない」
と言う。ガンモは、普段持ち歩いているカード入れの中にクレジットカードや免許証をまとめて入れている。どうやらそのカード入れが見当たらないらしい。

 ガンモは、ひどく慌てた様子で家の中の思い当たる場所を探し回っていたが、一刻も早く客先に向かわなければならない状況の中で、これ以上、自宅に長居はできないと思ったのだろう。やがて探すのを諦めて、再び玄関から出て行った。

 夜中にコールセンタから呼び出された場合、ガンモは自分の車を運転して客先に出掛けて行く。しかし、免許証のない状態だというのに、ガンモはまさか無免許のまま出掛けて行くつもりなのだろうか? いや、そんなことはしないだろう。私が不安を抱えていると、私の携帯電話が鳴った。携帯電話から聞こえて来たのは、
「あったから!」
さきほどとはうって変わって、やけに元気なガンモの声だった。私は、
「良かった、じゃあ、行ってらっしゃい」
と言って電話を切った。

 ところが、それからおよそ十分後、再び私の携帯電話が鳴った。ガンモからの着信だった。私は、何か嫌な予感がして電話を取った。ところが、
「もしもし?」
と私が話し掛けても、ガンモからの応答はない。その代わり、受話器の向こうから、何やらゴソゴソという音が聞こえて来る。その様子からして、私はガンモが外にいると感じた。

 私は、事故を起こしたガンモが私に事故のことを伝えようと私に電話を掛けて来たものの、事故の当事者の方との話し合いに入ったため、電話で話すことができなくなったのだと判断した。私は、しばらく受話器の向こうから聞こえて来る音に耳を傾けていたが、ガンモが何も言わないので電話を切った。その後、思い切って、私のほうからガンモに電話を掛けてみたのだが、繋がった電話は、ガンモによってただちに切られてしまった。

 私は、このような状況に及んでも、自分がひどく落ち着いているのが不思議だった。私はそのままパソコンに向かい、処理すべき用事を二つほど済ませた。しかし、頭の中ではいろいろな思いが駆け巡っていた。ガンモが事故を起こした相手は人だったのか、それとも車だったのか。もしも人ならば、相手の怪我の具合はどうなのか。救急車で運ばれるような事態にまで発展しているのだろうか。また、相手が車だったとしても、どちらが悪いのか。もしも相手が悪いなら、ガンモは大好きなカングーに傷がついてしまい、ひどくがっかりしていることだろう。

 更に私は、夏休みにガンモと二人で出掛けることにしている旅行のことに思いをはべらせた。実は、まだ書いていなかったが、今年の夏休みはガンモと二人でベルギーとフランスを旅行することにしている。夏休みは目前に迫ってはいるが、ガンモが事故を起こしてしまったのなら、もはや旅行に行くことはできないだろう。予約した飛行機もホテルも、キャンセルしなければならない。頭の中で、そんなことを考えていた。

 私は、事故の状況を知りたかった。しかし、おそらくガンモは今、誰かと真剣な話し合いをしているに違いない。もしかしたら、現場には警察も駆けつけているかもしれない。ガンモの事故の状況を知りたい反面、事実を知るのが怖い気持ちもあった。そのため、私は辛抱強くガンモからの連絡を待ち続けていた。

 時計を見ると、既に一時を回っていた。明日は仕事を休むしかないだろう。もしも怪我人が出ているのであれば、私も病院に行ったほうがいいのではないだろうか。そしてこれからは、ガンモと一緒に事故の責任を背負って生きて行くしかない。

 頭の中ではいろいろな想いが駆け巡ってはいたが、私はガンモから連絡があるまで少しでも休んでおこうと、ベッドに横になった。しかし、そんな状況の中で眠れるはずもなかった。私はガンモの携帯電話に、
「遅くなってもいいから、連絡してね」
とメールを送っておいた。

 時計を見ると、いつの間にか三時を過ぎていた。ガンモが事故を起こしたのは〇時半過ぎだ。いくら何でも、警察の調べも終わっている頃だろう。おそらくガンモは、私がもう寝ているだろうと思い、連絡をして来ないのだろうと思った。私は思い切って携帯電話を握りしめ、ガンモに電話を掛けた。ガンモが電話に出られる状態ならば、電話に出るはずだろうと思いながら。

 数回コールののち、ガンモが電話に出た。私は、
「大丈夫? 事故を起こしたんでしょ?」
と言った。するとガンモは、
「何言ってんの?」
とわけがわからないといった口調で言う。

 ガンモが言葉を発しているその場所は、いつも私が仕事帰りにガンモに電話を掛けたときに聞こえて来る音と同じだった。そう、ガンモは担当の客先で発生したトラブルに対応していた。事故など起こしてはいなかった。それでも私は、ガンモが私を気遣って、私を動揺させないように事故の事実を隠しているのではないかと思い、
「えっ? 本当に何もないの? 私はガンモから電話が掛かって来たあと、ガンモが何も言わずに電話が繋がったままだったから、てっきりガンモが事故を起こして、事故の当事者との話し合いに入ったんだと思って・・・・・・」
と言った。ガンモは、
「何もないから。明日、仕事なんだろ? 早く寝ろ~!」
と言った。ガンモも、私が何を言っているのかわけがわからないらしい。当然、私が送信したメールの意味も良くわからなかったと言う。

 どうやら、ガンモのポケットに入っていた携帯電話が、何かの拍子にリダイヤルボタンが押され、私に発信してしまったらしい。そのあと私が掛けた電話をガンモが切ったのは、運転中だったからのようだ。
「発信されたのは、多分、携帯電話が何かに当たっただけだろう」
とガンモは言った。私は安堵の息を漏らしながら、
「何はともあれ、事故を起こしてないなら良かったよ。とにかく良かった。じゃあ、もう寝るわ」
と言って電話を切った。時計を見ると、もう三時半を過ぎていた。五時に起きなければならないというのに、あと一時間半足らずしか眠れないではないか。安心した私は、そのままベッドに横になり、朝までぐっすり眠った。

 翌朝、私が寝不足のまま目を覚ますと、ガンモはまだ帰宅してはいなかった。何ということだろう。ガンモは大丈夫なのだろうか。客先でまだトラブルと戦っているであろうガンモに電話を掛けてみると、帰宅の目処はまだ立たないという。私は、
「帰りは気をつけて。眠くなったら、カングー・ジャンボリーのことを思い出して」
と言って電話を切った。

 ガンモは、私が仕事に出掛けて行く直前に無事に帰宅した。何しろ、徹夜で仕事をしたあとの帰宅なので、ひどく疲れ切っているらしく、ガンモはすぐにベッドに雪崩れ込んだ。私は、
「ガンモも寝てないと思うけど、私もガンモが事故を起こしたことが心配で心配で、ほとんど寝てないんだよ」
と言いながら、ガンモを残して仕事に出掛けた。

 結局ガンモは、その日も仕事を休むことができず、ベッドで二時間ほど眠ったあと、仕事に出掛けて行ったようだ。その日、私たちは久し振りに一緒に仕事から帰宅し、夜の早い時間のうちにベッドに入り、それぞれの睡眠不足を解消させた。

 それにしても、ガンモからの電話を受けてからのおよそ三時間は一体何だったのだろう? 単にポケットに入っていた携帯電話が何かに当たり、私の携帯電話にリダイヤルされただけで、こんなにも想像が脹らんでしまうとは・・・・・・。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 携帯電話が通じないと、ついつい、いろいろな想像を働かせてしまうものです。もしかしたら、皆さんにも同じような経験があるかもしれませんね。何はともあれ、ガンモが事故を起こしていなくて本当に良かったです。(笑)皆さんも、真夜中の想像力には充分ご注意ください。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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