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2009.07.16

映画『いけちゃんとぼく』

帰還の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m これまで、「母ちゃんがいなくなって、父ちゃんがたそがれている」と思っていたのは、どうやら私の勘違いだったようです。(苦笑)おそらく母ちゃんは、昼間のうちに我が家のベランダに帰って来ていて、卵を温めるのを父ちゃんと交替していたのでしょう。

 本作を知ったのは、やはり、劇場で予告編を目にしたことがきっかけだったと思う。人気漫画家の西原理恵子さんが初めて手掛けた絵本が映画化された作品なのだそうだ。実は、西原理恵子さんというと、個人的な思い出がある。あれは、私がパソコン通信を始めた一九九四年のことである。カメラ好きの方たちが集うパソコン通信の電子会議室(今で言う掲示板)にせっせと書き込みをしていたところ、その書き込みを読まれたある方が、私のことを西原理恵子さんご本人だと思ったらしい。

 のちに、私がカメラ好きの方たちの集う、とあるサークルに出掛けて行くと、その方は私がその場に現れれることをキャッチして、お手持ちの西原理恵子さんの漫画をバッグの中に忍ばせて、私からサインをもらおうと思っていたらしい。

 もともと私には漫画を読む習慣がなかったので、西原理恵子さんの存在は知っていても、作品を拝読したことはなかったのだが、ガンモと結婚してしばらく経った頃、西原理恵子さんの作品に触れる機会があった。いやはや、私などよりもずっと繊細で面白い作品を書かれているので、何故、私が西原理恵子さんに間違われてしまったのか、実に恐れ多いことだと思った。

 それはさておき、本作は西原理恵子さんのご出身地である高知を舞台に、小学生のよしおと、よしおにしか見えない不思議な存在いけちゃんとの触れ合いを中心に描かれた作品である。何とも奥が深く、スピリチュアルな感覚が好きな方なら、随所随所でうれしくなるような表現に出会うことができる。

 例えば、よしおが海で溺れて死に掛けているときに、自分が死んでも世の中はこれまでとまったく変わることなく回っていることに気付いてしまったり、それぞれが自分の人生の目的を決めて生まれて来て、目的を果たしたときに死んで行くといった価値観も盛り込まれている。子供の頃には自分が目的を持って生まれたことをちゃんと覚えているのに、大人になると忘れてしまうといった興味深い表現もあった。

 また、地域のいじめもテーマとして描かれており、自転車で遠出をして別の町に出掛けて行ったよしおが、その地域でもやはりいじめっこのグループが存在していることを知り、愕然とする。つまり、自分の住む地域のいじめっこと対決しただけでは終わらないということを悟るのだ。

 そのことに気付いてからは、内(うち)と外(そと)との対決になる。よしおは、自分の住んでいる地域のいじめっこに、かなりこてんぱんにいじめられていた。それを内戦とすれば、今度は別の町のいじめっこたちが遊び場を求めてよしおたちの住む町にやって来たときに勃発する戦いは、外に向けての戦いということになるのだろう。しかし、外に向けて戦いを始めるには、内で結束を固める必要があった。そのためよしおは、これまでさんざんいじめられてきたいじめっこたちと結束して一緒に戦うことを決意するのである。しかも、暴力ではなく、野球の対決という方法で。

 大人になるほど、人と人との関わりには処理されない感情を心に残す。それは、大人が本音を言わないからだ。しかし、子供はそのときどきで正直な気持ちを表現しているため、例えネガティヴな感情を抱いたとしてもあとに残らない。よしおが、自分の住んでいる地域のいじめっこたちと手を取り合うことができたのは、よしおがこれまで、いじめっこたちと本音で付き合って来たからではないだろうか。本音で付き合う相手に対する感情は、プラスにもマイナスにも転ぶが、例えマイナスの感情を抱いたとしても、それは単に、のちに大きなプラスの感情を抱くためのプロセスだったりする。

 よしおが自立して、自分の足で歩き始めたとき、いけちゃんの姿は次第に薄くなり、よしおからも遠ざかって行く。よしおといけちゃんとの関わりは、あたかもよしおがいじめっこたちとの関係を克服するまでの見守り役のように描かれてはいるのだが、実際は違う。いけちゃんが何者であるのか、そのあとに、意外な結末が用意されている。

 人生の終わりのときに、ほんの少しだけ一緒に過ごした男女がいる。あなたと出会ったのがあまりにも遅かったから、もっと長い時間をあなたと一緒に過ごしたかった。本作には、そんな想いがこめられている。

 ちなみに、鑑賞したときに、劇場で映画『いけちゃんとぼく』の携帯ストラップをもらった。この携帯ストラップを付けていてもると、いけちゃんに会えるという保証わけではないが、私は早速、この携帯ストラップを携帯電話に取り付けて、映画の余韻を楽しんでいる。

劇場でもらった携帯ストラップ

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m いけちゃんの声を蒼井優ちゃんが担当しているのですが、彼女の中性的な声はいけちゃんのキャラクターにぴったりでした。それにしても、いい作品というのは、最後にひねりが効いているものなのですね。いけちゃんの存在が単なる見守り役に留まっていないところにオリジナリティを感じました。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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「いけちゃんとぼく 」★★★☆ 深澤嵐 、ともさかりえ 主演、蒼井優 声の出演 大岡俊彦 監督、2009年、107分                               ★映画のブログ★                               どんなブログが人気なのか知りたい ラストはちょっと切ない 「主人公のよしおには “いけちゃん”という彼にだけしか見えない 秘密の友達がいた、 小学生のよしおに寄り添うように “いけちゃん”は一緒に笑ったり... [続きを読む]

受信: 2009.07.26 11:57

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