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2009.03.26

映画『チェンジリング』

物乞いする人たちの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 上海の話は、まだまだ続きそうであります。そこで、しばらく上海の話ばかり続くのも何ですので、一ヶ月ほど前に鑑賞した映画のレビューも交えながら書かせていただくことにします。

 クリント・イーストウッドの監督作品であるこの映画を鑑賞したのは、確かこの映画が公開されて間もなくのことだった。劇場で何度も目にしていた予告編から、アメリカで実際に起こった事件をベースにした物語だと知り、興味を持っていた。「チェンジリング」という単語を知らなかった私は、映画館のチケットカウンターでチケットを購入するとき、「チェンジ・リング("change ring")」と発音した。すると、チケットカウンターの女性が「チェンジリングですね」と一つの単語に繋げて復唱しながらチケットを発券してくださった。そのとき私は、「チェンジリング」が一つの単語であることをそれとなく感じ取った。

 鑑賞したあと、映画の内容をもとにタイトルの意味を調べてみると、「チェンジリング」は"change ring"ではなく、「すり替えられた子」という意味を持つ"changeling"という一つの単語であることがわかった。予告編でも、失踪した息子が母親の元へ帰って来たものの、「それは息子に似た別の子だった」という説明が流れる。まさしく、「チェンジリング」というタイトルの通り、すり替えられた子供の話だったのである。

 一見、若かりし頃の浅丘ルリ子さんを思わせるような女優アンジェリーナ・ジョリーが演じているのは、クリスティンというシングルマザーである。電話会社に勤めるクリスティンは、九歳になる一人息子ウォルターと二人でロサンジェルス郊外に住んでいる。クリスティンはウォルターの成長が楽しみで、家の柱には伸びて行くウォルターの背丈をマジックで記録しているほどだ。

 あるとき、ウォルターと一緒に休日を過ごしているクリスティンのもとへ、同僚から、仕事の当番を替わってもらえないかという電話が入る。クリスティンはウォルターを一人残してしぶしぶ仕事に出掛けて行くのだが、クリスティンが休日出勤を終えて帰宅してみると、ウォルターの姿はどこにも見当たらなかった。やがて、失踪したウォルターを探し続けるクリスティンに、息子さんが見付かったとロサンジェルス市警から連絡が入る。

 この映画は、最近鑑賞した二つの映画を思い起こさせる。一つは、息子への継続的な強い愛というところから映画『永遠のこどもたち』、そしてもう一つは、警察が常に正義の味方ではないというところから、キアヌ・リーブス主演の映画『フェイクシティ ある男のルール』である。

 この事件が実際に起こったのは一九二八年だそうだ。この当時のロサンジェルス市警は、警察としての機能を確実に果たしていなかったと言える。何故なら、実際に行方不明になったウォルターではない男の子を保護してクリスティンに引き取らせ、我が子ではないと主張するクリスティンに圧力を加えたのだから。当時のロサンジェルス市警にチャールズ・ブロンソンがいれば良かったのに、などと思ってしまう。

 ロサンジェルス市警がウォルターだと言って保護された男の子は、ウォルターよりも背の低い男の子だった。クリスティンはウォルターの成長を楽しみにしながらウォルターの背丈を計っていたのだから、自宅の柱には保護された男の子がウォルターではないという動かぬ証拠がある。それなのにロサンジェルス市警は、自らの捜査ミスを認めたくないがために、クリスティンの申し出を断固として受け入れないのである。それに加え、保護された男の子もまた、ウォルターの振りをし続けている。何故、彼がウォルターの振りをしてクリスティンと一緒に暮らし始めたのかは最後にわかる。

 チャールズ・ブロンソンではないが、ある刑事によって、事件は新たな展開を見せる。次々に明るみになって来る、目を背けたくなるような事実にも、クリスティンは気丈に立ち向かう。クリスティンを力強く支えてくれる教会の神父さんが実にいい。彼は正義のためにロサンジェルス市警と戦う。クリスティンが真剣にウォルターを探し続けているからこそ、力強い支援があるのだ。

 物語は最後まで丁寧に描き出されている。途中、凶悪な殺人犯が登場するのだが、その殺人犯の演技が実に狂喜じみていて恐ろしい。しかも、とても演技とは思えないところがもっと恐ろしい。登場人物の一人一人が完璧に役を演じている。

 実は、クリント・イーストウッドの他の監督作品は、ゴニョゴニョした状態で自宅にあるのだが、戦争映画であるという理由でまだ鑑賞してはいなかった。前作もとても評価の高い作品だったと記憶しているが、今回の作品も素晴らしい。彼の監督作品は、これからも見逃してはならないような気がする。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m この映画を食べ物に例えるならば、具がたっぷりと詰まって食べ応えのあるおいしい食べ物でしょうか。アメリカ映画を鑑賞すると、具があまり詰まっていなくてストーリーの展開があまりにも速過ぎて、すぐにお腹が空いてしまうといった感想をいつも抱いてしまいますが、この映画は違います。こうして、鑑賞してから一ヶ月経ってレビューを書いても、未だに劇場公開されている作品であるのは、具がたっぷりと詰まったおいしい作品だからだと言えます。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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