« ホットヨガ(一三七回目)(後編) | トップページ | ズームレンズころりん »

2009.02.05

「良く来た」

ホットヨガ(一三七回目)(後編)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。溝の口店のリラックスコースのレッスンがとても良かったので、今度、私の通っているスタジオでもリラックスコースを開設して欲しいとお願いしてみることにします。私にとって、溝の口店でのレッスンは、忘れられないレッスンとなりました。

 朝五時までかかって社内新聞の製作に取り組んでいたガンモは、私がホットヨガのレッスンを終える頃にはもう起きていた。ガンモとの再会までの間、私は溝の口の繁華街を歩き回りながら、携帯電話を使ってガンモと頻繁に連絡を取り合っていた。私が、
「今、○○にいるよ」
と言うと、ガンモは直ちにその場所を理解し、
「そこは△△だから」
と、溝の口のにわか住民として先輩ぶって、その場所の説明を始めるのだった。会社の研修で神奈川県にやって来たガンモは、普段の日よりも仕事を終える時間が早いためか、仕事帰りに溝の口駅周辺を歩き回っているようだ。私が出向いた時点で、ガンモは既に四泊していたのだから、当然のことである。

 間もなく、私たちは四日振りの再会を果たした。いつもながら思うことだが、ガンモと再会するとひどく懐かしい。かつて、通勤の途中にたまたまガンモを見掛けたときも懐かしい気がしたのだが、ほんの数日間とは言え、お互いにしばらく離れて生活していると、目が合った瞬間に、離れ離れの感覚を軌道修正するかのような感覚に陥る。その軌道修正が一瞬のうちに行われるため、私たちが離れ離れになることで、地球上のどこかに生じていた小さな時空の歪みが元に戻ったように感じることもある。

 再会を果たした私たちは、お昼ご飯を食べる場所を探した。私が、
「このお店がいい!」
と提案すると、ガンモは、
「そのお店は△△だから」
と言って避けようとする。ガンモは既に溝の口のあちらこちらのお店の食事を吟味し終わっているので、どのお店の食事がおいしかったかという情報が頭に叩き込まれているのだ。ようやくガンモは、ある中華料理店の前で立ち止まった。
「ここはずっと気になってるんだけど、いつもいっぱいで入れないんだよ」
とガンモは言った。私もそのお店が気になったので、中に入ってみることにした。既に十四時を回っていたが、店内はとても混雑していた。私たちは順番待ちをして、ようやくお昼ご飯にありついた。ガンモが、何度もこのお店に入りたいと思いながらも、毎回、パスしていたのは、おそらく、混雑したお店の中で、一人で待つのが孤独だったのだろう。しかし、今回は私が一緒なので、お店の中で順番待ちをする気になったようである。さすが、いつも混雑しているお店だけあって、とてもおいしい昼食にありつくことができた。

 腹ごしらえをした私たちは、しばらく溝の口の繁華街を歩き回った。溝の口滞在暦数日のガンモは、自分の知りえた溝の口情報を私にあれこれ説明してくれた。しかし、あちらこちら歩き回ると、次第に疲れて来た。そう言えば、私は夜行高速バスの中では比較的良く眠ることができたものの、もともと寝不足のまま夜行高速バスに乗り、そのあとホットヨガのレッスンを受けたのだ。できれば早めにホテルにチェックインして休みたい。そう思っていると、ガンモが、
「そろそろホテルに帰ろうか」
と言ってくれた。

 私たちは、歩いてホテルに戻った。私はホットヨガのレッスンを受ける前にホテルに立ち寄り、荷物を預けておいたのだが、実はそのとき、フロントのスタッフに対し、今にも口から出掛かっていた言葉を引っ込めてしまった。それは、できればガンモとお会計は別にして、現在、ガンモが宿泊している部屋を二人で利用できないかという申し出だった。

 先日も書いたように、私はガンモと同じホテルのシングルルームを楽天トラベル経由で予約していた。それは、ガンモの宿泊費が法人カードで決済されるためである。それぞれの宿泊料金は払っているので、夜寝るときは、ガンモが私の部屋に泊まるか、私がガンモの部屋に泊まるかのどちらかにしようと密かに計画していた。しかし、最も理想的なのは、最初から同じ部屋に宿泊することである。そのことを、荷物を預けるときに申し出れば良かったのだが、まだそれほどコミュニケーションが成立しないうちに申し出ることは憚(はばか)られたのだ。

 私たちは一緒にエレベータに乗り、フロントのある階に降り立った。フロントのスタッフが、私たちが連れであることに気が付いたようだったが、ガンモは私にはチェックイン手続きがあると思ったのか、ルームキーを受け取ると、先に部屋に上がってしまった。私は一人でフロントに残り、チェックインの手続きを行った。

 私は、楽天トラベルから申し込んでおいたので、宿泊費は既にクレジットカードで決済されているものと思い込んでいた。ところが、フロントのスタッフが、
「本日から、ご一泊ということでございいますね。それでは、ただいまのご清算でよろしいでしょうか?」
と私に尋ねて来た。そのときになって初めて、私はまだ支払いが終わっていないということを知ったのだ。ということは、今から部屋の変更を申し出ることも可能なのではないか。そうも思えて来た。

 私は、請求された一泊分の宿泊費を支払うべく、クレジットカードを取り出した。以前も書いた通り、私たちはマイルを貯めるため、航空会社と連携したクレジットカードを使っている。そのため、数千円程度の支払いから、できるだけクレジットカードを使用しているのだ。

 フロントのスタッフが私のクレジットカードを受け取ると、私の一泊分のシングルの宿泊料金がクレジットカードで決済された。
「領収書はお名前宛でよろしいでしょうか?」
と尋ねられたので、
「はい」
と答えた。私は、もしかすると、もしかすると、今、申し出れば、ガンモと同じ部屋に宿泊できるのではないか。そんなことばかり考えていたので、フロントのスタッフが私に話し掛けて来る内容を上の空で聞いていた。

 そして、私はとうとう意を決して切り出した。
「あの・・・・・・。実は、さきほどエレベータを一緒に降りて来たのが私の夫なのですが、今日、同じ部屋に宿泊することはできますか?」
すると、フロントのスタッフは、
「同じ部屋とおっしゃいますと、セミダブルになりますが、よろしいですか?」
と尋ねてくださった。これは、「脈あり」である。私は、
「はい、かまいません」
と息を荒くして答えた。
「それでしたら、可能でございます」
私は心の中で「ヤッター!」と叫んだ。フロントのスタッフは、電卓を叩き、セミダブルの宿泊料金から、ガンモが既に支払っているシングルの宿泊料金を引き算し、残りの金額を私に提示してくださった。つまり、ガンモが宿泊している部屋を一泊だけセミダブルで使用すべく、ガンモが既に法人カードで支払っているシングルの宿泊費に上乗せする形で、セミダブルの料金を支払うことになったのだ。

 しかし、私は先ほどクレジットカードでシングルの一泊分の支払いを済ませたばかりである。フロントのスタッフは、先ほどの支払いをキャンセルするので、もう一度クレジットカードをお願いしますと私に言った。私は快くクレジットカードを差し出し、キャンセル処理をお願いした。フロントのスタッフは、私のシングルの宿泊をキャンセルしたあと、セミダブルの宿泊費をクレジットカードで決済してくださった。フロントのスタッフはとても親切で丁寧だった。シングルの宿泊料金を支払う前に申し出れば良かったのに、フロントのスタッフにはお手間を取らせてしまった。

 預けておいた私の荷物は、既に宿泊するはずだったシングルの部屋に運び込まれているという。そのため、シングルの部屋に運び込まれた私の荷物と、コップや寝具などの一連のセットを、あとでガンモと一緒に宿泊する部屋に届けてくださった。何とサービスの行き届いたホテルだろう。私は大満足だった。

 ガンモは、私がこの部屋に宿泊できると聞いて驚き、そして一緒にに喜んでくれた。ガンモは私を抱きしめると、
「良く来た」
と言った。その言い方が、田舎から、東京に住むおじいちゃんを訪ねて来た孫に向かって言うような言い方だったので、私はケラケラ笑った。

 これまでにも、ガンモの出張先に押し掛けて、私が宿泊する日だけシングルの部屋をセミダブル仕様に変えてもらったことは何度かある。もちろん、私が滞在する間だけ二人で泊まりたいと申し出て、うまく行かなかったこともあった。しかし、勇気を振り絞って申し出てみれば、たいていはうまく行くものだ。

 ガンモは、これまで一人で過ごしていた部屋に私がいるので、ニヤニヤしていた。そして、私がトイレに立つと一緒に立ち上がり、
「良く来た」
と言って、再び私を抱きしめた。

 ガンモと同じ部屋に落ち着いた私は、夕方から二時間ほど眠り、出発前からの睡眠不足を解消した。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 心の中で思っていることは、ためらわずに口にしたほうがいいですね。結果がどうであれ、もやもやした気持ちはそこで晴れます。もしも私がフロントでガンモと同じ部屋にして欲しいと申し出なかったら、その夜はまったく別の夜になっていたことでしょう。ホテルが領収書を別にしてくださったので、私が同じ部屋に泊まったとしても、ガンモの出張には影響はありませんでした。ガンモが言うには、外資系の会社なので、「妻と一緒に宿泊したので、その分、引いて欲しい」と会社に申請することもできたようです。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« ホットヨガ(一三七回目)(後編) | トップページ | ズームレンズころりん »