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2009.01.24

すずらんの湯(7)

すずらんの湯(6)の記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m たくさんの方たちから応援クリックを賜り、心より御礼申し上げます。酵素浴を利用できるほとんどの施設では、一回の利用料金が三千円くらい掛かるようです。それを考えると、回数券を購入して酵素浴を利用するのは、ずいぶん格安ということになりますね。ただ、すずらんの湯の酵素浴には、酵素浴のあとのシャワーの利用料金は含まれているものの、お風呂の利用料金は含まれていませんので、お風呂を利用する場合は、平日なら八百円、土日祝なら九百円を加算することになります。それでも、いろいろな種類のお風呂と一緒になった施設は他になさそうなので、すずらんの湯の酵素浴はずいぶんお得だと思います。

 着替えを済ませて脱衣場を出たあと、受付にロッカーの鍵と館内着を返却した。対応してくださったのは、受付時に酵素浴の予約時間が遅いことを気に掛けてくださった女性スタッフだった。その女性スタッフに、
「お時間、大丈夫でしたか?」
と尋ねられたので、のんびり利用できたことを伝えたあと、帰りのルートについて確認してみることにした。無料送迎バスの運転は既に終了していることがわかっていたので、最寄のバス停から神戸駅方面に向かうバスがあれば利用したいと申し出た。すると、その女性スタッフは、少し難しい顔をしながら、奥のほうから路線バスの時刻表を取り出して確認してくださった。

 すずらんの湯に最も近い路線バスのバス停は、「峠」というバス停である。そのバス停から神戸駅方面に向かう路線バスも出ているが、この時間では既に運転が終了してしまっているという。となると、北鈴蘭台駅まで三十分掛けて歩くしかないのだろうか。私が、
「そうですか・・・・・・」
と残念そうに答えると、女性スタッフは少し考えて、
「そうですね・・・・・・。ここから二十分くらい歩かなければなりませんが、『水源地』というバス停でしたら、この時間でもまだ神戸駅行きのバスがあります。ただ、十九時五十分台の便はもう間に合いませんが、次は二十時三十分台にありますね」
と教えてくださった。それを聞いた私の表情が、ぱあっと明るくなったのは言うまでもない。北鈴蘭台駅まで三十分掛けて歩くよりも、ここから徒歩二十分と言われている「水源地」というバス停まで歩くほうがまだ近い。時間は十九時半過ぎだったので、一時間近くもあれば、徒歩二十分と言われている「水源地」のバス停までは楽にたどり着けるだろう。私は、
「神戸駅行きのバスがまだあるのなら、そこを目指して歩きます。『水源地』のバス停まではどのように行けばいいですか?」
と尋ねた。女性スタッフがおっしゃるには、ここからまっすぐ坂を下って行き、ガソリンスタンドかどこかで曲がってすぐのところにあるという。私は、
「わかりました。歩いてみます。ありがとうございます」
と女性スタッフにお礼を言って、すずらんの湯をあとにした。

 女性スタッフのおっしゃる通り、道はずっと下り坂だった。ほぼ一本道なので、迷うこともなさそうである。長めのコートを羽織っていたので、寒さは何とかしのげそうである。ただ、比較的大きな道で、自動車はたくさん走っているが、歩いている人の姿はない。

 私はずんずん歩き、間もなく「二軒茶屋」というバス停に着いた。バス停に掲げられた時刻表を見てみると、神戸駅行きの便は既に終了していた。私は少し不安になったが、おそらくすずらんの湯に最も近い「峠」のバス停の延長線上にあるのと同じ路線だと思い、更に先を歩くことにした。

 そうして歩き続けると、ようやく次のバス停が見えて来た。見ると、「水源地前」と書かれている。時計を見ると、女性スタッフに言われた通り、すずらんの湯から私の足でほぼ二十分だった。ただ、女性スタッフは確か「水源地」と言っていたが、このバス停は「水源地前」である。「水源地前」と「水源地」は同じバス停なのだろうか? 私は再び不安になり、バス停に掲げられている時刻表を確認して、更に不安になってしまった。先ほどの「二軒茶屋」同様、神戸駅行きのバスの運行は既に終了してしまっていたからである。これは困った。しかし女性スタッフは、確かに「水源地」まで行けば、神戸駅行きのバスが運行していると教えてくださった。ということは、「水源地前」と「水源地」は別のバス停なのだろうか。

 私はしばらくの間、「水源地前」のバス停に佇んでいた。私が歩いて来た道を、ときどきタクシーが通り過ぎて行く。手を挙げて、タクシーを止めるのは簡単だ。しかし、せっかく女性スタッフが路線バスの時刻を調べてくださったのに、ここで挫折してしまってもいいのだろうか。私はまだまだ頑張れる。そう思いながらも、果たしてこれからどうしたものかと思案していた。

 ノートパソコンを取り出して、インターネットにアクセスしてみようか。しかし、バス停の椅子に座ってノートパソコンを広げるには少し寒い。こういうときは、直感に従うしかないだろう。私は、「水源地前」と書かれたバス停から少し歩き、右側に曲がる道を見付けたので、そこに向かうことにした。女性スタッフは、どこかを曲がると教えてくださったはずだが、曲がる方向としてはおそらく右側だろうと思ったからだ。それに、右側に曲がれば、北鈴蘭台駅の一つ手前にある鈴蘭台駅に近くなるかもしれない。

 右に曲がろうとして歩き始めたとき、その道は長い坂道になっていることに気が付いた。うねうねと曲がった坂道である。どうやら高台の上に住宅街があるようだ。うねうねとした坂道を登っていると、後ろから人が歩いて来た。すずらんの湯を出て、歩き始めてから既に三十分近くが経過していたが、歩行者に出会ったのは初めてである。この人に声を掛けて道を尋ねるべきかどうか迷っているうちに、私の歩くスピードがあまりにものろいため、その人は私を追い越してずんずん先を歩いて行ってしまった。

 うねうねとした坂道はとても暗かった。ここは神戸市である。いや、神戸市といえども、人影は少ない。ほとんど知らない街で、私は遭難してしまったのだろうか。そんな心細さを感じながら、私はうねうねとした坂道をひたすら登って行った。

 すると、少し手前にバス停のようなものが見えて来たではないか。私は歩くスピードを速め、バス停の名前を確認した。「東町公園」と書かれている。そして、このバス停からは、鈴蘭台行きのバスが出ていることがわかった。しかも、次の発車時刻は二十時五十分台だ。時計を見ると、二十時二十分くらいだった。ここであと三十分も待てば、少なくとも鈴蘭台駅までは行くことができる。しかし、かろうじて屋根と椅子はあるものの、吹きさらしのバス停である。歩いているときは身体を動かしているため、寒くはないが、三十分間、動かずにじっと静止して待つことができるのだろうか。私は戸惑いながらも、ひとまずバス停に設置された椅子に腰を下ろし、携帯電話を取り出した。

 最近のほとんどの携帯電話にはGPS機能が付いているが、私の携帯電話にもその機能が付いていた。私はGPS機能を使って、現在地を確認してみた。しかし、現在地はわかったものの、携帯電話の画面が小さ過ぎて、北鈴蘭台駅や鈴蘭台駅までの道のりがわからない。確認した現在地の情報をもとに、寒空の中でノートパソコンを開いて地図を確認することもできた。しかし、やはりこの寒空の中でノートパソコンを広げる気にはならなかった。結局私は、吹きさらしのバス停で、鈴蘭台駅行きの路線バスが来るのを辛抱強く待つことにしたのである。

 路線バスを待っていると、この人通りの少ない道路を、時折タクシーが通り過ぎて行った。私は、タクシーを横目で見送りながら、「私は路線バスで鈴蘭台駅まで戻ることに決めたのだから、このサバイバルゲームに挫折してはいけない」と言い聞かせた。そして、吹きさらしのバス停で路線バスを待ち始めてから十分くらい経過しただろうか。突然、路線バスらしき自動車のエンジンが聞こえて来たかと思うと、目の前に路線バスが現れて、私が待っているのとは反対側のバス停に停車した。私は「あっ!」と驚き、そのバスの行き先を確認すると、「神戸駅南口」と書かれているではないか。

 「ええっ?」
私の頭の中ははてなマークでいっぱいになったが、やがて、すべての出来事が一つに繋がった。私が待っていたのは、女性スタッフが教えてくれた神戸駅行きの路線バスが走っているのと同じ路線の停留所ではあるものの、神戸駅行きとは反対側の停留所だったのだ。私は反射的に立ち上がり、路線バスが停車している反対側のバス停まで走った。しかし、反対側のバス停は、私が待っていたバス停の真向かいではなく、少し離れたところにあった。外が明るければ、バスの運転手さんも私の慌てぶりに気付いてくださったのかもしれないが、運転手さんは、反対側のバス停から一目散に掛けて来た私の存在には気付かずにバスを発車させてしまった。ああ、あの路線バスに乗車できていれば、まっすぐ神戸駅まで出られたのに・・・・・・。そう思うと残念でならなかった。

 結局私は、反対側のバス停に戻り、更に二十分近く路線バスを待ち続けた。この人気(ひとけ)のないバス停でも、反対側のバス停にちゃんと路線バスがやって来たのだから、私が待っているバス停にも間もなく路線バスがやって来るはずだ。そう言い聞かせながら、吹きさらしのバス停で辛抱強く路線バスを待ち続けたのである。

 そして、二十分経ち、待ちに待った路線バスがようやくやって来た。私は暖かい路線バスに乗り込み、鈴蘭台駅まで移動した。鈴蘭台駅までは、うねうねと曲がった住宅街の中をいくつかのバス停に停車していたので、おそらく私の足で歩き続けることは不可能だったことだろう。鈴蘭台駅に着いたのは、二十一時くらいだった。すずらんの湯を出たのが十九時半過ぎだったので、私は一時間以上も掛けて鈴蘭台駅にたどり着いたことになる。

 何とか鈴蘭台駅に到着したので、私は仕事中のガンモに連絡を入れておいた。そこからいつものルートで電車に乗り、無事に帰宅したというわけである。この日はガンモも仕事にどっぷりはまっていて、ガンモが仕事から帰宅したのは夜中の一時過ぎだった。

 私は、この日歩いた道のりとバス停の位置を地図で確認してみた。どうやら、「水源地前」というバス停は二種類あるようだった。私が見付けたのは、すずらんの湯から直線に伸びているほうのバス停だったが、神戸駅行きの路線バスが夜遅くまで運行しているのは、その直線に交差する場所にある別のバス停のようだった。ちなみに、女性スタッフが教えてくださったのは、「水源地前」のバス停のことだったようだ。

星印:私が見付けた「水源地前」のバス停
花印:神戸駅行きの路線バスが遅い時間まで運行している「水源地前」バス停
太陽印:私が利用した「東町公園」バス停

 私にとっては大冒険の一日だったが、このような大冒険は、次回に活かさなければ意味がないだろうと思っている。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 実はこの日、すずらんの湯が発行しているメルマガの携帯電話会員に登録して、その登録プレゼントとして女性スタッフからお茶をいただいたのです。寒空の中でも、歩いていれば喉が渇いて来るものですね。遭難しかかったとき(苦笑)、登録プレゼントとしていただいたお茶がとても役に立ちました。大きな筋腫持ちの私が元気に歩くことができたのも、酵素浴のおかげかもしれません。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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