« 尾も白い | トップページ | ホットヨガ(一三五回目) »

2009.01.09

映画『リダクテッド 真実の価値』

尾も白いの記事に応援クリックしてくださった皆さん、どうもありがとうございます。m(__)m 考えてみれば、「尾も白い」というのは、尾以外のところも白くなければなりませんでしたね。まあ、大目に見てやってくださいませ。(苦笑)

 今回、レビューを書かせていただく映画もまた、一ヶ月ほど前に鑑賞した作品である。イラクで実際に起こった、アメリカ人兵士による十四歳の少女レイプ及び彼女を含む四人の家族殺害事件を題材に、その前後の様子を推測して製作されている。ドラマ仕立てではなく、ドキュメンタリータッチで仕上がっているため、よりリアリティがある。

 去年、映画『告発のとき』という作品を鑑賞したが、今回、鑑賞した作品もまた、映画『告発のとき』で描き出されていた問題と同様の問題を含んでいるように思う。どちらの作品も私たちに強く訴え掛けているのは、イラクに送り込まれたアメリカ人兵士たちにとって、イラク戦争が長引くことは、心の平穏を保ち続けるのが困難になるということだ。人を殺めるという究極的な行為を繰り返していると、第三者に痛みを与えることに対して鈍感になってしまう。

 検問所で疑わしきイラク人女性を銃殺したアメリカ人兵士がスクリーンに映し出されている。人を殺めたというのに、彼はとてもヘラヘラしている。イラク人を殺すことなど、朝飯前といったところだ。もともと戦争とは、兵士同士の戦いであるらしい。だから、アメリカ人兵士の敵はイラク軍の兵士であって、一般のイラク人ではない。しかも、疑わしきイラク人女性と言っても、決してやましいことがあったわけではない。それなのに、彼はイラク人女性を銃殺してしまったのだ。彼は、仲間からイラク人女性を銃殺した感想を求められているのに、それに答えようとしながらも途中から別の話を始めてしまう。見ていて、「この人、何?」と思う。彼は度胸が据わっているのではない。開かれるべきところが閉じているのだ。だから、人を殺めてもヘラヘラしていられる。人を殺したことを自分で受け入れることのほうが辛いために、心を閉じてごまかしているのだ。

 のちに彼らは自らの性欲を満たすために、十四歳の少女の自宅を襲う。その少女は、通学途中に何度も検問所を通過していた少女だ。あるアメリカ兵は、検問所でその少女の身体検査を念入りに行っていた。十四歳というと、日本で言えばまだ中学二年生である。そのような少女を性の捌け口として選んだばかりでなく、彼女を含んだ家族四人を殺害したことは、精神が麻痺しているとしか思えない。アメリカ人兵士たちのイラクへの長期滞在がそれほどの影響を与えているというのに、それでも戦争を辞めさせないのは、指揮を取っている大統領がおかしいのではないか。十四歳の少女とその家族がアメリカ人兵士たちに殺されたことが事実であるだけに、そんな憤りさえ感じる作品だった。

 この映画の監督は、かつて映画『カジュアリティーズ』という作品でベトナム戦争で実際に起こった集団強姦殺人事件を描いたブライアン・デ・パルマ監督だ。私はその作品も、この監督の代表作である映画『アンタッチャブル』も観てはいないが、映画『ブラック・ダリア』は鑑賞し、ストーリーに強く引き込まれたのを覚えている。もしかするとブライアン・デ・パルマ監督は、実際に起こった事件を取り上げて映像化するのがお好きなのだろうか。だからこそ、その時々で表現方法を模索し、今回はドキュメンタリータッチに仕上げようとしたのかもしれない。そして、このような方法で戦争に反対することは、戦場の現実を広く知らしめるという意味において、「戦争反対!」のプラカードを持って街を練り歩くよりもずっと説得力があるようにも思えた。

※皆さん、いつもたくさんの応援クリックをありがとうございます。m(__)m 今回はドキュメンタリータッチの作品だったのですが、同じテーマでドラマ仕立ての作品も観てみたい気がします。人を傷つけるということは、結局は自分自身をも傷つけていることになっているんですよね。カルマとかそういう形ではなく、もっと別の形で。この映画を観て、そのことを実感せずにはいられませんでした。

さて、今回も記事の中にボタンを埋め込ませていただきますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

哲学・思想[人気blogランキング]に

上記ボタンをクリックしてくださいますと、一日に一回、ランキングのポイントに加算されます。もしも毎日のように「ガンまる日記」を読んでくださっているならば、記事に共感したとき、あるいは応援してもいいと思ったとき、ポチッと押してくださると、大変うれしく思います。

|

« 尾も白い | トップページ | ホットヨガ(一三五回目) »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18521/43693965

この記事へのトラックバック一覧です: 映画『リダクテッド 真実の価値』:

« 尾も白い | トップページ | ホットヨガ(一三五回目) »